仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

レオン オリジナル版

2017年11月06日 | ムービー
『レオン(原題Léon The Professional)』(1994年/リュック・ベッソン監督/アメリカ・フランス)を見た。
物語は、「ニューヨークで孤独に生きるイタリア系移民のレオン・モンタナ(ジャン・レノ)は殺し屋を生業としていた。仕事は、表向きレストラン経営者であるマフィアのボス、トニー(ダニー・アイエロ)から回ってくる。ある日、アパートの隣室に家族と一緒に住んでいる少女マチルダ・ランドー(ナタリー・ポートマン)に話しかけられた所、顔にあざを見つけたのだが、彼女は"転んだ"と言う。どうやら父親ジョセフ(マイケル・バダルコ)から日常的に暴行を受けているらしい。麻薬を密売しているジョセフは組織の純度100%の商品を横領したことが原因で、翌日、ボスのノーマン・スタンスフィールド(ゲイリー・オールドマン)率いる連中に襲撃され、妻マージ(エレン・グリーン)も4歳になるマチルダの弟も殺された。ちょうどそこへ帰ってきてしまったマチルダは他人のふりをして現場を横目に通り過ぎ、レオンに助けを求めるべく、彼の部屋のチャイムを鳴らすのだが・・・」という内容。
その日の朝、これから一日が始まる時間だというのに、「大人になっても人生はつらい?」とレオンに聞くマチルダ。
彼女が通っているはずのスペンサー学園から家にかかってきた電話には、「彼女は死んだわ」と母親のふりをして答え、切ってしまう。
まだぬいぐるみを抱えている年齢なのに、絶望感しか感じとれないこれら一連のエピソードは、どうにも切ないのだった。
麻薬密売のボス、スタンスフィールドという男はマトモな人間には見えない。
ピルケースから取り出したドギツイ色のカプセルを飲む際の仕草は異常だ。
そして、何人もの人間を銃殺したあと、弾丸がかすめた自分の上着を見て「上着がパーだ・・・」とつぶやく。
そんなスタンスフィードに対して、レオンはとても優しい男のようだ。
豚を描いたデザインの鍋つかみを手にはめて、豚の鳴き真似をしながらマチルダを笑わせようとする。
とても殺し屋とは思えないエピソードだが、観葉植物しか愛せず刹那的に生きるレオンにとって、マチルダという存在は人生の転機へ導いてくれ可能性がある存在だったのかもしれない。
しかし、マチルダはあまりにも子供で、自由奔放過ぎたようだ。
この"オリジナル版"の他に、後年になって22分の未公開シーンを追加した"完全版"というのも公開されたようだが、それはまた少し感じが違っているのかもしれないとも想像する。
何とも悲しい物語だった。

クローサー

2015年06月05日 | ムービー
『クローサー(原題Closer)』(2004年/マイク・ニコルズ監督/アメリカ)を見た。
物語は、「ロンドン。新聞社で死亡記事欄を担当している編集者のダン(ジュード・ロウ)は小説家志望。ある日の通勤途中、信号待ちで一人の女性と出会ったのだが、目の前でタクシーにはねられたその女性を病院まで連れて行く。ニューヨークからの旅行者だというので、治療後はロンドンの街を案内して歩いたのだが、立ち寄った公園でアリス(ナタリー・ポートマン)と名乗ったその彼女といつしか一緒に暮らすことになった。そして、その1年半後、アリスをモデルにした小説を出版することになったダンは、撮影スタジオで出会ったフォトグラファーのアンナ(ジュリア・ロバーツ)に一目惚れする。しかし、ダンはチャットでのいたずらで、医師のラリー(クライヴ・オーウェン)とアンナを引き合わせ・・・」という内容。
退屈な仕事を続けていたダンの人生がアリスとの出会いによって動き出し、上り調子の時にアンナと出会い、退屈を覚えてきた時にラリーの人生と関わることになる。
うまく立ち回っているかのようにも見えたダンだったが、他人の人生を手玉に取るかのような行動はやがて自分に返ってくるようだ。
何ともマヌケな登場の仕方でアンナと知り合ったラリーはダンの一番の被害者だったかもしれないが、最終的には彼が一番の勝者になったのかもしれない。
この物語のキーワードは、開始早々にアリスがダンに向かって使った"ストレンジャー"という言葉だったが、見終わってみると、それはダンではなくアリスのほうだったように思えた。
調べてみると、これは"世界中でヒットした舞台劇の映画化"なのだそうだが、最初はダンの物語と思いきや、最終的に美味しいところはアリスがすっかりかっさらっている。
(^_^)
原作者(パトリック・マーバー)がこの映画の脚本も担当しているらしいのだが、台詞やそれぞれの設定が充分に練られているということなのか、これはなかなかに面白い物語だった。