政治の腐敗 首相が私物化 事件次々

2021年09月11日 20時56分06秒 | 日記

安倍・菅政権での政治腐敗がとまりません。安倍晋三前首相と菅義偉首相の9年間で「政治とカネ」の疑惑で閣僚を辞任したり、刑事責任を問われたりした自民党国会議員は9人にのぼります。うち7人は閣僚経験者です。安倍前首相も「桜を見る会」前夜祭をめぐる事件で捜査対象になっています。なぜここまで「政治とカネ」の問題が噴出したのか―。(社会部「政治とカネ」取材班)


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(写真)2017年の桜を見る会であいさつする安倍晋三前首相=首相官邸のホームページから

 「安倍前首相は『桜を見る会』の疑惑の追及を今も怖がっている」。永田町に詳しいメディア関係者は、そう指摘します。

 安倍氏の後援会は、首相主催の公的行事「桜を見る会」の前日に、地元の有権者を招いて都内の高級ホテルで前夜祭を開催。会費の不足分は安倍氏側が補てんしていました。

“疑惑の宝庫”

 「桜」疑惑は「しんぶん赤旗」日曜版のスクープが発端となり、刑事事件に発展。東京地検は昨年12月、補てんを後援会の政治資金収支報告書に記載していなかったとして、安倍氏の公設秘書(当時)を政治資金規正法違反(不記載)で略式起訴にしました。安倍氏本人は不起訴になりましたが…。

 東京第1検察審査会が今年7月に、安倍氏について「不起訴不当」と議決。安倍氏は再び捜査の対象となりました。

 東京地検特捜部を担当するベテラン記者は「安倍氏の政治資金は“疑惑の宝庫”だから、捜査されるのは相当つらいだろう」と言います。

 「桜」疑惑を追及されるなか安倍氏は体調不良を理由にして昨年9月に政権を投げ出しました。しかし、いま自民党総裁選で候補者の議員と相次いで面会するなど、活発な動きを見せています。

 前出のメディア関係者は「前夜祭で補てんした金の出どころが最大の問題。ここを検察に調べられると安倍氏は詰んでしまう。そうさせないためにも自民党内で影響力を保とうとしているのだろう」と解説します。

安倍氏の元で

 安倍氏を告発した政治資金オンブズマン共同代表の上脇博之・神戸学院大学教授は、こう指摘します。

 「安倍氏は選挙のため地元有権者を『桜を見る会』に招待した。首相が不適切な行為を平然とやる中で、金権事件があちこちで起こるようになった。いま自民党総裁選で名前が取りざたされているのは、安倍氏の元で閣僚を務め政権を支えてきた議員ばかりだ。自公政権では金権腐敗を変えることができない」

問題噴出も解明に背

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 安倍前首相の妻昭恵氏が深くかかわった学校法人森友学園をめぐる疑惑も、真相解明を求める動きが続いています。

 財務省に公文書改ざん作業を強制され、自ら命を絶った近畿財務局職員赤木俊夫さん=当時(54)=の妻雅子さんが、真相解明を求めて国などを相手にして大阪地裁に提訴。その裁判のなかで、俊夫さんが改ざん過程をまとめた文書(赤木ファイル)も公開されました。

 しかし改ざんを指示した財務省理財局の職員名は黒塗りが目立ちます。雅子さんの弁護団は「指揮系統の解明をすすめる必要がある」と指摘しており、真相解明のためには全面開示と、疑惑全体の再調査が必須です。

 自民党総裁選に立候補を表明している岸田文雄前政調会長は森友疑惑の再調査について「国民は足りないと言っている」と述べていました。ところが突然「再調査は考えていない」と発言を翻したのです。

 岸田派の関係者は「再調査しないと発言を変えたのはかなり評判が悪い…。やっぱり安倍氏の言いなりか、という印象を持たれたかもしれない」と言います。岸田氏も安倍・菅政治の枠内であることを示す象徴的な事態でした。

菅首相と親密

 昨年9月に菅政権が発足すると「政治とカネ」の醜聞が一気に噴出。国会議員4人が自民党を離党し、議員辞職しています。

 2019年の参院広島選挙区をめぐる公職選挙法違反事件では、県内の地方議員や首長ら100人に票の取りまとめなどを依頼する目的で現金を配ったとして、河井克行元法相と同選挙で当選した妻の案里氏に東京地裁で有罪判決が言い渡されました。案里氏の判決(懲役1年4月、執行猶予5年)は確定しましたが、克行元法相は懲役3年の実刑判決を受けて控訴しています。

 克行元法相が案里氏と共謀も含めて配った現金の総額は約2900万円にのぼります。この選挙で河井陣営には、自民党本部から1億5000万円の資金が提供され、それが買収の原資にされた疑いがあります。

 菅首相は、河井夫妻を離党と議員辞職だけで済ませ、自民党の二階俊博幹事長は「他山の石」と述べるばかりです。

 安倍政権で経済産業相を務めた菅原一秀元衆院議員は、地元選挙区(東京9区)で有権者に現金など約80万円相当を配ったとして今年6月、公選法違反で東京地検に略式起訴されました。自民党を離党し、議員辞職しましたが、罰金40万円と公民権停止3年が確定しています。

 鶏卵生産会社の前代表から計500万円の現金を受け取ったとして収賄罪に問われた吉川貴盛元農相は、東京地裁で公判が続いています。在宅起訴される前に自民党を離党し、健康問題を理由に議員辞職しています。8月3日の初公判で吉川元農水相は、現金の受領を認めました。

 河井夫妻と吉川元農水相、菅原氏は、いずれも菅首相と親密な関係にありました。

 克行元法相は1996年の衆院選で初当選し、菅首相と同期です。19年の参院選では、菅首相が公示前と公示後の計3回、案里氏の応援に駆けつけました。

 吉川元農水相も菅首相と同期で、20年9月の自民党総裁選では、自らの支援者に菅首相を推薦する一文を出しています。

 菅原氏も自民党内で菅首相と同じ無派閥の議員でした。18年の菅原氏の政治資金パーティーには、官房長官だった菅首相が出席し、壇上であいさつしています。

自浄作用なし

 実刑判決を受けても辞職せず、総選挙に立候補する意向を示した議員もいます。

 IR(カジノを中核とする統合型リゾート)事業をめぐって収賄罪に問われ、自民党を離党した秋元司衆院議員は7日、東京地裁で懲役4年の実刑判決が言い渡されました。

 安倍政権でIR担当の内閣府副大臣を務めた秋元議員は、日本でIR参入を計画していた中国企業の元顧問から議員会館で現金300万円を受け取るなど計約760万円の賄賂を受領したとされています。贈賄側は秋元議員の他にも複数の自民党議員に現金を渡したと証言しています。

 逮捕後に保釈中の昨年、贈賄側に虚偽の証言をさせようと現金の提供を持ちかけたとして組織犯罪処罰法違反(証人等買収)でも有罪に。判決は「公人としての倫理観はおろか、この種の犯罪に関する最低限の遵法(じゅんぽう)精神すら欠如している」と指摘しています。

 河井元法相夫妻、菅原元経産相、吉川元農水相、秋元議員…。いずれの事件についても菅首相、自公政権は国会での証人喚問にも応じず、独自の真相解明にも背を向け続けています。

 安倍・菅政権の9年間で「政治とカネ」の膿がたまり、自公政権に自浄作用がないことが“証明”された形です。


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