羽田空港への飛行ルート変更で足立区の安全対策は大丈夫?

2018年07月24日 17時41分54秒 | 日記

 安倍政権は、「首都圏空港の機能強化」として、さらなる発着回数拡大を計画しています。羽田空港を発着する航空機を現在の東京湾上空から都心上空のルートに変更し、成田空港については夜間発着時間帯拡大と新滑走路の建設が検討されています。墜落や落下物の危険、騒音など安全面でも環境面でも新たな危険と負担をもたらすもので、反対の声が広がっています。
 首都圏空港の現在の処理能力は、羽田では「海から入って海に出る」=東京湾上空の経路設定、成田では夜間の離着陸制限など、一定の生活環境を守ることが前提で許容されてきました。これを反故にする政府の計画は、国際競争力に名を借りた経済利益優先のもと住民犠牲を強いるものであり、住民合意もなく強行は許されません。

 国土交通省「首都圏空港の機能強化策について」(2014年8月)では首都圏の国際競争力強化や訪日外国人の増加等を理由として、今後も航空需要が増え続けると予測、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までに羽田空港の国際線の年間の発着を約三・九万回増加させるため、都心上空ルートの飛行経路を変更するとしています。

相次ぐ落下物は大丈夫?
 国土交通省によると、飛行後の点検で航空機から部品が無くなっていることが確認されたケースは、平成28年度までの8年間で451件にのぼります。重さが1キロ以上の物だけで66件ありました。
 国は、新たな飛行ルートについて2020年までに運用を開始したいとしていて、住民の理解を得るため平成27年から航空機が通過する18の自治体を対象にこれまで50回の住民説明会を開いてきました。

足立区に氷塊の落下も
 ジャンボジェットの飛行時間で世界一の記録を持つ、元JAL機長で航空評論家の杉江弘さんは、「氷塊の落下は防ぎようがありません。たとえば、空港に雨が降っている中で離陸した飛行機は水分を含んだ状態で上昇し、高度1万メートル、気温マイナス50度の上空を飛ぶので必ず氷塊ができます。その氷塊が落ちる可能性が高いのは、着陸体勢で車輪を出すときです。もし直径10センチ大の氷塊が地上にいる人間を直撃するようなことが起きれば大変なことになります」「危険なのは車輪を出すときだけではありません。着陸に向けて翼の可動部分を下ろすのですが、そのときに振動が発生します。埼玉県上空から板橋区、足立区に氷塊が落下する可能性もあります」と指摘します。

騒音は大丈夫?
 現在の羽田空港の飛行経路では、東京湾を最大限に有効活用することにより、陸域での騒音の総量が抑えられています。都心上空ルートをとった場合、航空機による騒音は住民生活全般に影響を及ぼすことになります。
 現在でも、着陸機の一部が高度600メートルで飛行する江戸川区の一部では、あまりの騒音に自費で二重窓を設置してようやくテレビの音が聞こえるようになったという声も聴きます。
 新たな飛行ルートの運用を始める前に実際にどれほどの騒音があるのかを住民が体感するためデモンストレーションの飛行を行うよう求めている自治体もあります。しかし、国土交通省は困難としています。
 羽田空港の新飛行ルートは多くの住民の毎日の暮らしに大きく関わるだけに、国は住民に一層丁寧な情報提供していくことが不可欠です。


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