今週刊誌やネットで話題となっている、日本共産党吉井英勝衆院議員のオフィシャルホームページのメッセージです。
【緊急メッセージ】地震・大津波と炉心溶融にいたる原発事故は何度も警告してきた
私の国会質問に非科学的答弁で答えてきた規制官庁と大臣
何も知らずに「原発安全神話」を信じて突き進んだ政党と政治家
3月11日の東日本大震災(東北地方太平洋沖大震災)によって、命を奪われた方々に哀悼の意を表します。家族を失い、自らも被災者となって厳しい生活を送られているすべての皆さんに、心からお見舞い申し上げます。
今回の災害は、地震・大津波・原発事故の三重災害ですが、その中の原発事故は人災です。この事態は早くから私が国会で繰り返し追及してきたことです。しかし、自民・公明政権も、民主・国民新党・社民連立政権も、具体的に、科学的に質問しても「日本の原発は大丈夫」だと繰り返すばかりで、全くまともに対策を取ろうとしてきませんでした。その結果、今回の福島第一原発の炉心溶融事故、水素爆発、水蒸気爆発、そして旧ソ連のチェルノブイリ原発事故のようになる前に、原発を冷却することができるかどうかという事態になりました。
≪津波被害と原発≫
津波には、押し波(高波)と引き波があります。押し波の時には、原発の機器冷却系のポンプとそれを動かすディーゼル発電機や蓄電池の配線などが海水に浸かって破損します。引き波の時は、この冷却水を取る取水口の位置は海水面の4~6メートル低い所ですが、それよりも低くなって沖合まで陸地に変わることがあります。そうなると、もはやポンプを回しても冷却水が入ってこないということになります。今回、押し波の海水中に沈んでディーゼル発電機が破損しました。
≪老朽化原発の安全性実証試験機破棄≫
全くひどい話ですが、原発を造る際の地震を起こす試験台(起振台)を使った試験はあるものの、何十年も運転してきた原発について、損傷の進んだ各部について起振台を使った実証データは全くありません。それどころか、一度運転した原発の機器については放射能を帯びていますから、それを起振台に乗せて実証データを採ると、その後は起振台をもつ施設全体を放射線管理区域にしなければなりません。
そこで、兵庫県にE-ディフェンス(実大三次元震動破壊実験施設)と呼ばれる新しい起振台を新設しました。ここでは放射化した原発機器の実験はできません。ところがE-ディフェンスを造った機会に、国は「行政改革だ」と称して香川県の多度津にあったこれまでの起振台を、造船会社が跡地を倉庫にするため廉価で売却(もともと300億円で造った施設を約3億円で売却)してしまったのです。このようなことをせず、多度津の起振台を老朽化原発のデータをとる装置として残しておけば、これから福島第一原発をはじめ全国の古くなった装置を交換するたびに、どれくらい傷んでいるかを調べる放射線管理区域にした装置として使うことができたのです。
≪電源喪失で炉心溶融≫
地震・大津波で原発が停止しても、それだけでは安全ではありません。核燃料棒は自然崩壊熱(核燃料は放射線を出しながら別の元素に変わっていく核分裂物質を含んでいるから、その時に熱を大量に出す)によって冷却し続けなかったら、どんどん温度が上がって水蒸気を発生し、原子炉圧力容器の中の圧力が異常に高くなります。蒸気を抜くと放射能が漏れますし、そのままではどんどん蒸発が進み圧力が高くなって液面が下がり、燃料棒が上に出るとますます温度が上がって溶け出すことになります。
この問題は、私が取り上げた時、寺坂信昭・原子力安全・保安院長が「(ディーゼル発電機も含めて内部電源が喪失されて)外部電源が全部喪失されて冷却機能が失われる」となると「炉心溶融につながるというのは論理的には考え得る」と認めていたことです。しかし、それに対応する対策を政府と東京電力は打ってこなかったのです。その結果、地震・大津波で今回、福島第一原発で想定どおりの事故が発生しました。事故後、菅総理が「想定外のことだった」というのは、まったくの素人の考えです。
≪電源喪失でも大丈夫とした原子力安全委員長≫
この問題は、すでに2006年にも国会質問で取り上げていたことです。この時、原発の安全に一番責任を持たなければならない専門の鈴木篤之・原子力安全委員長(元・東大工学部原子力工学科教授)は、「さらに耐震設計を基本的に厳しくしていきたい」「そういう基準をさらに超えるような大変大きな地震が来たときには、事業者(東京電力)に、まずそういうことが起こらないことを数字で確認するか何らかの方法で確認してください、そういう方針で考えている」と答弁しました。
原発の安全を東京電力が設置申請してくる「数字」に期待するという姿勢でした。いま福島原発の現実を前にして、この国会答弁について、鈴木元原子力安全委員長はどのように自らの責任を考えているのでしょうか。
≪メルトダウンを起こさせない≫
自民党政権、自・公政権だけでなく、民主党政権(民主・国民新党・当初は社民も参加)になってからも、「多重防護でしっかり事故を防いでいく、メルトダウンというようなことを起こさせない、このための様々な仕組みをつくっている」と、直嶋正行・経済産業大臣は胸を張って答えました。
いま、TMI(スリーマイル島原発事故)のように炉心溶融が起こり、圧力容器が溶け出すかどうかという事態を前にして、下請会社の社員や、消防・警察・自衛隊のみなさんが、東京電力の会長や社長に代わって、放射能汚染の危険にさらされながら命がけの放水で、チェルノブイリのような事態は起こさせないと頑張っています。
≪原発推進・トップセールスで原発輸出≫
民主党政権になってから、原発推進政策は自公政権に劣らずすさまじい事態になっています。
そこで私は、このことに関わって、原発を輸出した先で福島原発事故のような事故が起こった時に、偏西風などに乗って放射性物質が日本へ飛んでくる影響はどうなるか、アセスメントをやっているのかと質問しました。これに対し直嶋正行・経済産業大臣は、「輸出する相手国で事故が起こった際の影響については、経済産業省では行っていません。(輸出相手になる)それぞれの国がみずから安全の確保に万全を期することは大前提だ」と答えました。
原発トップセールスに走り、原発メーカーの営業マンになったような仕事は熱心にやっても、国民の安全への思いはほとんど感じられないものでした。
≪炉心内の放射性物質の量と影響≫
炉心溶融が起き最悪の事態にまで発展した時、いくらの放射性物質が炉内にあるかを質問すると、寺坂原子力安全・保安院長は「審査中の例でいえば、・・・・」と答えました。かつて政府が原子力産業会議に委託して原発災害の試算したものによると、現在の原発の約10分の1の電気出力のもので、東海原発を想定して、7シーベルトの放出で、死者720人、放射線障害を受ける人が数1000人、要観察者は百数十万人、年間国家予算の2倍の財政措置が必要になると「報告書」に記載していました。この報告書の試算手法は、有馬朗人・元科学技術庁長官(元東大理学部教授)が「きちっとした科学的な技法でやられており、かなり正確に検討している」と答弁したことと、試算に参画した原子力産業会議の故・森一久氏も「今でも方法論は役に立つ」と答弁したことを示して、私は全国の原発ごとに被害予測をせよと迫りました。しかし、直嶋経済産業大臣も寺坂保安院長も「多重防護の考えでやっている」「設計、運転管理、点検等充実を図って安全確保に努めている」とか先のように「メルトダウンは起こさない仕組み」などと言うだけで、真剣な取り組みをしようとしませんでした。
≪原発から撤退してどのようなエネルギーを考えるか≫
電力の3分の1が原発依存となっている現実を見ながら、安全なエネルギーへの転換を図ることが必要です。それには、「地産地消」「地域分散」型のエネルギーシステムの構築が必要になります。そしてそれは、それぞれの実情に合わせて変わってくるものです。また、それが地域の農業、林業から中小の商工業と結びついて発展することが重要です。同時に、広く日本の経済と社会のあり方を、省資源・低エネルギー型の構造に転換していくことも大事な課題です。
私はそのことを『原発抜き・地域再生の温暖化対策へ』(新日本出版社、2010年10月)という著書の中で明らかにしました。
これは、これまで原発に関わって行った数多い国会質問の集大成のようなものです。全体のダイジェスト版のようにお読みいただけると幸いです。
日本共産党に全国各地から託された救援募金は2億6800万円
そのなかから、岩手県、宮城県、福島県に各1000万円を届けたのにつづき、20市、20町、7村の合計47自治体をたずね、第一次分として直接、届けつつあります。
足立地区では総額255万円を超えました!