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さんぽみちプロジェクト

さんぽみちプロジェクトの記録。
和歌山新報で日曜日一面に連載中の「WAKAYAMA NEWS HARBOR」と連携。

地域への思いやりを育む「レスポンシブル・ツーリズム」の取り組み

2025-03-30 15:27:16 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号より、ハワイ州独自のSDGs「アロハ・プラス・チャレンジ」を取り上げている。責任ある観光を意味する「レスポンシブル・ツーリズム」の具体的な取り組みを紹介したい。

持続可能な観光を意味する「サステナブル・ツーリズム」については、和歌山市においても数年前から観光協会と事業者が協力した取り組みを行い、筆者も携わってきた。サステナブル・ツーリズムは環境保護や地域経済の維持を重視し、オーバーツーリズム対策、宿泊施設が提供するアメニティに使われる材料や提供方法の見直し、地域の食材を使った地産地消の促進などが一般的。一方でレスポンシブル・ツーリズムは、観光客自身がその地域でどのように行動すべきか、個人の責任ある行動を促し意識させることを重視する。

ワイキキエリアの一部ホテルでは宿泊者にマイボトルを提供。共用部に浄水された水を自由に入れることができるコーナーがあり、外出の際もここで水を入れ持ち歩くことを推奨。マイボトルは記念に持って帰ることができる。


【写真】ホテルで提供される「マイボトル」

他にも宿泊者限定のワークショップとして、地域の花を使った首飾りの「レイ」作りや、ウクレレの演奏体験、ビーチクリーンなどを催している。これまでは旅の思い出作りのサービスのひとつであったかもしれないが、地域特有の文化がなぜできて現代まで継承されているかを知り、理解することでその地域への敬意や愛着が生まれ、おのずと観光客の行動の変化やリピートにつながっていく。

地域の人々には観光客に情報をわかりやすく伝え、観光客はそれを積極的に受け取り意識的に行動する。そこには互いの共感や思いやりが重要。おもてなしを超えた観光客とのコミュニケーションが求められている。

(次田尚弘/ホノルル)
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ハワイ州独自のSDGs 「アロハ・プラス・チャレンジ」

2025-03-23 17:00:00 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、条例で景観や治安維持に取り組む、ワイキキビーチの対策を取り上げた。今週はハワイ州が推進する持続可能な社会づくりの取り組みを紹介したい。


【写真】「ラナイ」からビーチとダイヤモンドヘッドを望む

ワイキキのリゾートホテルの魅力のひとつであるのが「ラナイ」。ラナイとは客室から出られるベランダのことで、椅子や机が置かれ、ビーチやダイヤモンドヘッドを望みながらゆっくりとしたひと時を過ごすことができる場所。ホテルによってはラナイでモーニングの提供を受けることもできる。

客室とラナイを行き来するなかで気付いたことがある。隔てる大きな窓が少しでも開いていると、客室の空調が止まるということ。環境保護の取り組みの一環で、外気が客室内に入り温度が上昇することで、不用意に空調が稼働することを防ぐため、扉にセンサーを取り付け、空調を操作しているという。これはホテル独自の取り組みであるが、ハワイ州が推進する様々な取り組みがある。

ハワイ州は国連が進める持続可能な開発目標「SDGs」を基準に、独自にゴールを設定した「アロハ・プラス・チャレンジ」という特別なプログラムを設けている。歴史を辿ると約50年前に「ハワイを思いやる心」という意味がある「アラマハワイ」の概念が生まれ、国連総会でSDGsが採択される以前から、持続可能な社会を実現するための6つの取り組みを定め、世界に先駆けた活動を推進している。

6つの取り組みとは「クリーンエネルギーへの転換」「地産地消の促進」「天然資源の管理」「固形廃棄物の削減」「地域コミュニティの促進」「環境経営と教育の推進」を指し、官民が一体となった「レスポンシブル・ツーリズム(責任ある観光)」が進んでいる。

(次田尚弘/ホノルル)
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条例で景観・治安を維持 一大リゾート「ワイキキ」の対策

2025-03-16 18:03:33 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、美しい白砂のビーチを形成する「白良浜」と「ワイキキビーチ」の歴史を取り上げた。
一大リゾート地であるワイキキビーチでは、その景観や治安を維持するために様々なルールがある。今週はハワイ州における条例について紹介したい。


【写真】パラソルが並ぶ「ワイキキビーチ」

まずは、公共の場所での飲酒の禁止。美しい砂浜と海を前に思わずビールやカクテルを飲みたくなるものだが、ビーチでアルコールを飲むことは罰金の対象。ビーチに隣接するリゾートホテルにはレストランやバーが設置されておりそこでの飲酒は問題ない。他にもルールがあり、アルコール飲料を缶や瓶のまま手にして街を歩くことは禁止されるなど、飲酒については厳しいものがある。

タバコについても同様でワイキキビーチは全面禁煙となっている。一部のビーチでは通り抜け以外のビーチの利用を禁止しているところも。

近年、海に生息するサンゴ礁に海水浴客が使用する日焼け止めの成分が深刻な影響を与えていることがわかり、有害成分を含む日焼け止めの販売を禁止。日本からの持ち込みは可能だが、環境保護に配慮したものを使用したい。

アメリカと比べマナーや治安が良いとされる日本。白良浜の場合はどうか。白浜町では2008年から白良浜を「禁煙ビーチ・ごみポイ捨て禁止ビーチ」としている。違反しても罰金は無い。訪れる観光客の意識に委ねられている。

来月には大阪・関西万博が開幕。和歌山県も世界から注目され、観光客の流入も進むだろう。条例を設けマナー違反を抑制するのではなく、観光客が訪れる地域のことを理解し、自律した行動を取ってもらえることがベスト。ますます地域の特性をわかりやすく発信する必要がありそうだ。

(次田尚弘/ホノルル)
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原点は天然か人工か 「白良浜」と「ワイキキ」の歴史

2025-03-09 19:43:10 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、白浜町と友好都市提携を結び、白砂が特徴である「ワイキキビーチ」の歴史と両市の関係を取り上げた。ワイキキビーチと白良浜はなぜ白砂なのか。両者の歴史を深堀したい。


【写真】湿地帯から美しい砂浜に変貌した「ワイキキビーチ」

かつてワイキキビーチが湿地帯であったことは前述のとおり。火山に近いことから、溶岩に由来する
玄武岩の黒い砂利が広がり、衛生的にも優れない環境であったという。ハワイはサトウキビ栽培などの第一次産業が盛んであったが、ハワイ州となってからは主産業を観光に変えようとする方針が掲げられ、投資家による大規模な開発が進んだ。港湾設備や運河が作られ、島内外から運ばれた白砂でビーチを形成。それに沿うようにしてホテルが建ち並び、現在の美しいリゾート地が出来上がった。港湾が整備されたことで大型客船の就航が叶ったことも発展の要因として大きい。
一方、白良浜は古くから海水浴場として知られ、大正の頃までは白砂が採取されガラス原料として使われていたほど。白砂の約9割は鉱物である「石英」であり、これを多く含む砂を加熱し溶かすことでガラスの原料になる。
かつては遠浅で、砂を踏むとキュッキュと音が鳴る「鳴き砂」が楽しめる砂浜であったが、高度成長期から周辺地域の開発が進んだことなどが原因で、白砂が流れるようになり減少。平成元年からはオーストラリアから砂を補充し、かつての姿を復元している。
歴史を辿ると白砂が特徴の美しいビーチという観点からは、原点が天然か人工かという違いから、白良浜の方が歴史が深いといえよう。とはいえ、両者は白砂を共通とする友好関係。ワイキキビーチが世界のリゾート地として親しまれる背景に触れていきたい。
(次田尚弘/ホノルル)
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白浜町と友好都市提携 ホノルル市の「ワイキキビーチ」

2025-03-02 19:43:50 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号より、日本から約6600㎞離れた常夏の島「ハワイ」を取り上げている。今週はハワイ州の州都、ホノルルにある「ワイキキビーチ」を紹介したい。


写真】白い砂浜が美しい「ワイキキビーチ」

ワイキキは浜辺に沿ってホテルが建ち並び、観光客を魅了するリゾート地。約3㎞に渡り、綺麗な白砂が特徴の砂浜が「ワイキキビーチ」である。

ワイキキビーチは「コロニーサーフビーチ」「カイマナビーチ」「カピオラニビーチ」「クイーンズビーチ」「プリンス・クヒオビーチ」「ロイヤル・ハワイアンビーチ」「グレイスビーチ」「フォート・デ・ルッシービーチ」「デューク・カハナモクビーチ」の8つのビーチの総称。

ホテルから直接ビーチへ行くことができる賑やかなビーチもあれば、比較的海水浴客が少ないビーチまで、その装いは様々である。

かつては湿地帯でハワイ王朝の保養地として使用されていた。ビーチになったのは1920年頃から。島内のノースショア地域やカリフォルニアのマンハッタンビーチから白砂が運ばれ、ビーチを形成していったという。

湾曲した地形に白い砂浜といえば、和歌山県民にとって身近な存在であるのが「白良浜」。白浜町にある約620mのビーチでワイキキビーチと酷似し、ホテルが近接するリゾート地としての共通点もある。

この共通点を活かそうと、平成12年に白良浜とワイキキビーチが「友好姉妹浜提携」を締結。翌年にはホノルル市を親善訪問し、平成15年にはホノルル市から代表団が来町するなど交流が進み、平成16年には白浜町とホノルル市が「友好都市提携」を締結するに至っている。

以降、親善訪問をはじめ双方が連携した催しが開催されるなど交流が活発に行われ、昨年20周年を迎えている。

(次田尚弘/ホノルル)
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