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さんぽみちプロジェクト

さんぽみちプロジェクトの記録。
和歌山新報で日曜日一面に連載中の「WAKAYAMA NEWS HARBOR」と連携。

ブームから地域の文化へ 正装として扱われる「アロハシャツ」

2025-07-12 13:30:00 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号より、和歌山の捺染技術と縁深い「アロハシャツ」の文化と歴史を取り上げている。今週は現地でアロハシャツの文化が広がった経緯を紹介したい。


【写真】あらゆるシーンで着用できる「アロハシャツ」(写真は筆者)

ハワイでアロハシャツは正装として扱われる。高級なレストランではドレスコードとして、襟付きのドレスシャツまたはアロハシャツを指定されることが多い。

アロハシャツのブームを一時的なものではなく、文化として定着させようと、官民が一体となった着用を促す試みが行われた。1947年に実業家らがハワイの伝統文化を守り後世に伝えようと主催した「アロハウィーク」では、祭事期間中に職場でアロハシャツを着て働くことを許可。翌年には製造メーカーなどが「アロハウェンズデー」として水曜日にアロハシャツを着て働くことを呼びかけ。1956年には現地のファッション組合などが「アロハフライデー」として、金曜はカジュアルに過ごすことを呼びかけるなど、公私共に着用できるものとして地域に根付いていった。

仕事や冠婚葬祭に使用できる万能なアロハシャツだが、使い分けがある。例えば、結婚式では「結ぶ」を意味する「マイレの葉柄」、事業を始めるときはキャリアのスタートを意味する「ウルの木柄」、葬儀の際は万物の終わりを意味する「ラウハラの葉柄」など。

県内では、ホノルル市と友好都市提携をする白浜町の職員や鉄道会社の社員が、夏季にアロハシャツを着用するのは、夏の風物詩として知る方も多いだろう。南国情緒の表現や友好都市としての連携のみならず、観光客をもてなす正装としての役割をもつアロハシャツ。和歌山でもこの文化が広がってほしい。

(次田尚弘/ホノルル)
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和歌山の捺染技術に縁あり 「アロハシャツ」の文化と歴史

2025-07-05 18:27:00 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、特産の果物と細かな氷を使用した、色とりどりの氷菓子「シェイブアイス」を取り上げた。シェイブアイスと同じく市民の暮らしに溶け込むものがある。今週はハワイを象徴するウェアである「アロハシャツ」と和歌山のつながりを紹介したい。


【写真】華やかなデザインの「アロハシャツ」

アロハシャツ(ハワイアンシャツ)は、やしの木やパイナップルなどのデザインがあしらわれ、華やかでカラフルな色彩が特徴の開襟シャツは、皆さんもご存知のことだろう。

アロハシャツの起源もまた、日本からの移民に由来する。ヨーロッパの船員が着用していたパラカという開襟シャツが「木綿絣(もめんかすり)」に似ていることから、農場で働く日本人が好んで着用するようになった。やがて、日本から持ち込んだ着物をリメイクし作ったシャツが現地の人々にも好評となり、1904年に日本人が服飾店を起業。以降、アロハシャツの名前が浸透していくことになる。

アロハシャツに使用される生地の素材は、シルク、レーヨン、綿など。ハワイには精緻な染色ができる工場が無いため、日本からの輸入品であったという。

和歌山市は1889年頃から地場産業として染色業が発展。2009年の統計によると、国内における「捺染(なっせん)」加工の全国シェアは3割以上を占めるほど。捺染とは、染料を糊に混ぜた「色糊(いろのり)」を使い、布に模様をプリントする技術。この技術がアロハシャツの生地を作るうえで適しており、古くから製造してきた歴史がある。

ハワイの文化と日本の技術が融合したウェア。和歌山との縁を知り、一気に親近感を覚えるのは筆者だけだろうか。


(次田尚弘/ホノルル)
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特産の果物と細かな氷を使用 色とりどりの「シェイブアイス」

2025-06-28 15:50:00 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、環境に配慮した移動を促進する、米国のライドシェアの事例を取り上げた。今年は梅雨らしくなく既に真夏のような暑い日々。ハワイでも涼を求めて、氷菓子を食べる文化がある。今週はハワイで愛される「シェイブアイス」を紹介したい。


【写真】虹色のトッピングが美しい「シェイブアイス」

シェイブアイスは削った氷にシロップをかけた氷菓子で、日本のかき氷に近い。かき氷よりも氷を細かく削ることにより、シャリシャリとした食感ではなく、フワフワして軽い口当たりであるのが特徴。ここに、色とりどりのシロップがかけられ、さらにフルーツや練乳、アイスクリームなどがトッピングされる。カラフルなシロップで虹色を表現するシェイブアイスは、ハワイを代表するスイーツのひとつである。

起源は日本からハワイに移民した労働者。農園で暑さをしのぐため、日本から持ち込んだ機械を用いて氷を削るようになったという。そこにハワイのトロピカルなフルーツを使ったシロップや様々なトッピングが加わり、シェイブアイスの文化が定着した。

主に現地の農園で収穫されるマンゴー、パインアップル、ココナッツ、ストロベリーなど、濃い味の果物が使われ、お店によって種類は様々。オリジナリティのあるシェイブアイスを作ることができ、見ているだけで暑さを忘れ、晴れ晴れとした気持ちになれる。

気候が温暖な和歌山では、ハワイのようなトロピカルな果物の収穫は難しいが、全国に誇る果物の産地。新鮮で口当たりのよい水も存在し、ポテンシャルはあるはず。地域の特産品で作られた華やかなスイーツ。見る喜びと食べる喜びを兼ねそろえたシェイブアイスをぜひ。

(次田尚弘/ホノルル)
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環境に配慮した移動を促進 「グリーン」選択で地域に貢献

2025-06-21 14:30:10 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号より、安価で便利な移動手段として米国で浸透している「ライドシェア」を取り上げている。今週は電気自動車(EV)の配車を選択できる事例を紹介したい。

ライドシェアを利用しようとアプリを立ち上げると、用途に応じて様々な車種が選択できる。この中に「グリーン」という選択肢があり、「手頃な価格で環境に優しい車に乗れる」という記載が。配車を依頼し乗ってみることにした。


【写真】「グリーン」の選択で配車された電気自動車

配車されたのは日本でも浸透している米国メーカーの電気自動車。車種特有のなめらかな走りと静粛性、透明のルーフからは青空が見え、ワイキキのビーチ沿いの走行はとても快適であった。

乗車が完了すると、ガソリン車と比べ削減できた二酸化炭素の推定量が表示される。滞在中に複数回、グリーンを選択し乗車したところ、削減量が累積値として表示された。また「あなたがもたらしたプラスの影響」として、削減できたガソリン使用量も表示。自らの貢献が可視化されることで、旅行先の環境に配慮できたという自覚も生まれる。利用する時間帯にもよるが、料金は他の車種と比べ1割程度割高である程度。

このサービスを提供する事業者では、移動による二酸化炭素の排出を抑えることを掲げ、自動車メーカーと連携し、ドライバーに電気自動車への乗り換えを促進。一定の基準を満たせば購入費用の一部が補助されるなどドライバーにとっても、メリットがある仕組みである。

日本国内でも東京の一部の地域で、配車時にタクシー会社が運行する電気自動車を選択できるサービスがあるが、まだまだ限定的。サステナブルな社会の実現に向け、市民や観光客ができる選択が広がることを期待したい。

(次田尚弘/ホノルル)
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安価で便利な移動手段 米国で浸透「ライドシェア」

2025-06-14 16:22:00 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、公共交通の利用促進と環境対策を目的に、ホノルル市を走る路線バスで取り入れられている「パーク&ライド」を取り上げた。昨今、海外では「ライドシェア」が広まり、ホノルル市内でも一般的に。今週は安価で便利に利用できる海外のライドシェアを紹介したい。


【写真】ライドシェアの車内から

ライドシェアはアプリなどを使いドライバーと利用者をマッチングさせ、目的地まで利用者を有償で運ぶサービス。日本のタクシーアプリとは違い、タクシー会社に属さない一般ドライバーの自家用車が使用される。日本でも昨年4月からタクシー会社が運営主体となり、タクシーが不足する時間帯に限り一般ドライバーが自家用車で利用者を運ぶ「日本版ライドシェア」が解禁されている。

ホノルルでは日本国内でも使用できる「ウーバー」、アメリカで普及している「リフト」、ハワイの企業が運営する「ホロホロ」がサービスを提供。迎車までの時間や目的地までの所要時間がわかり、運賃は事前に確定。チップを含め決済はアプリ上で完結する。時間帯や車種によって差があるが、料金は日本のタクシー並みで、現地のタクシーと比べると半額程度となる。

乗車後は目的地を伝える必要がなく、ドライバーが積極的に会話を求めてくることもないため、英語が苦手な観光客でも気軽に利用できる。日本のようなきめ細やかなサービスは期待できないが、安価で便利に目的地へ移動するという意味では優れたサービスである。

安全性やタクシー会社とのバランスから、日本国内での浸透は限定的だが地域の交通を支えるひとつの手段であることは確か。公共交通を維持しつつ、利便性の高い新しいサービスとの融合で、ストレスなく移動できる社会の仕組みが見えた。

(次田尚弘/ホノルル)
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