出生前の妊娠第一トリメスターの食事による葉酸と他のメチル基供与体の摂取は、7歳児の喘息リスクに影響を及ぼす
2014年アメリカ胸部学会(American Thoracic Society; ATS)の国際会議で発表される新しい調査によれば、妊娠の第一トリメスター(trimester; 3ヶ月間)の食事によるメチル基供与体の母親の摂取は、7歳児の喘息の発病リスクを変化させる。
メチル基供与体はメチル化と呼ばれる生化学的プロセスに関係する栄養分である。そのプロセスにおいて、メチル基は体内でタンパク質、DNA、または他の分子と関連する。
「小児喘息に関する食事のメチル基供与体摂取の影響に関するエビデンスは、混乱していた」、筆頭著者でボストンのマサチューセッツ総合病院小児科学呼吸器科のクリニカルフェローであるミシェル・トリベディ医学博士は言った。
「米国において、食品の葉酸強化は喘息とアレルギー有病率の増大に寄与した可能性が示唆されていた。
今回、約1000組の母と小児についての研究で、我々は6つのメチル基供与体(葉酸、コリン、ベタイン、ビタミンB2、B6、B12)の母親による摂取が、小児喘息を発病する危険に関する保護的な影響を持つことを発見した。
これらの栄養分との間の相互作用は、発病リスクの大きさと方向に影響を及ぼした。」
メチル基供与体はメチル化と呼ばれる生化学的プロセスに関与する栄養分である。
このプロセスは体内で多くの重要な機能で関与しており、メチル基供与体の食事の摂取は心臓病や癌など多くの疾患の発病リスクに影響を及ぼすことが示されている。
今回の研究では、1,052組の母と小児で、1番目および2番目の3カ月間の母親の食事およびサプリメントのメチル基供与体摂取が、食物頻度アンケートで評価された。
1,052人の小児のうち、219人(20.8%)は7歳で喘息と診断された。
生下時の体重、性、人種/民族性、母乳栄養の継続、副流煙への曝露、小児の湿疹、そして母親の年齢、BMI、喘息、教育と世帯収入に関して調整された分析において、第1トリメスターのビタミンB12とコリンの食事による摂取だけが、7歳で、より低い喘息有病率と関連した。
「我々の結果は、妊娠中の葉酸と他のメチル基供与体の食事の摂取は喘息のリスクを増大させず、実際には、子供たちの喘息発病リスクを低下させるかもしれないことを示唆する」、トリベディ博士は言った。
トリベディ博士のグループは、葉酸と他のメチル基供与体がDNAのメチル化状態に影響を及ぼすメカニズムに関して更なる研究を計画している。
ストーリー源:
上記のストーリーは、アメリカ胸部学会(ATS)により提供される材料に基づく。
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/05/140520184636.htm
<コメント>
妊娠初期の母親によるメチル基の摂取量が、子どもの喘息リスクに影響するという研究です。
実際、サイトカインの発現はメチル化により制御されていることがわかっています。
http://ta4000.exblog.jp/19093665/
http://ta4000.exblog.jp/19128687/
http://ta4000.exblog.jp/19315901/
ほかにDNAメチル化のわかりやすい例として、次のアグーチマウスの実験があります。
関連記事には、妊娠中の低脂肪ヨーグルトと、子どもの喘息/花粉症リスクの関連についてがあります。
興味深いのは、低脂肪ヨーグルトとフルーツを一緒に食べることが7歳児の喘息リスクの上昇と関連があった一方で、牛乳の摂取はリスクと関連しなかったということです。
もちろん、関連があるというだけで、因果関係があるという話ではありません。
http://www.sciencedaily.com/releases/2011/09/110918024046.htm
>Low-fat yogurt intake when pregnant linked to increased risk of child asthma and hay fever, study suggests
>The results showed that milk intake during pregnancy was not associated with increased risk of developing asthma and it actually protected against asthma development.
>However, women who ate low-fat yogurt with fruit once a day were 1.6-times more likely to have children who developed asthma by age 7, compared with children of women who reported no intake.
>They were also more likely to have allergic rhinitis and to display current asthma symptoms.