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2014年5月22日

2014-05-28 20:46:15 | 

宿主の細胞をリクルートして乳癌の転移を可能にするシグナルが発見される



ある種の乳癌が2種類の正常な細胞(癌の転移のために必要とされる)をリクルートするために使う化学シグナルがマウスで発見されたことを、ジョンズ・ホプキンスの研究者は報告する。

「もしヒトで同じシグナルを妨害する薬が発見されるなら、それは現在の乳癌治療にとってさらに役立つものになる ― 特に化学療法抵抗性の腫瘍患者にとっては ― 」、研究者の1人が言う。



「マウスの腫瘍でこれらの細胞をリクルートするシグナルの1つを妨害すると、転移もしくは拡散される可能性を大幅に低下させた」、ジョンズホプキンス大学医学部の細胞エンジニアリング研究所の血管生物学プログラム教授で管理であるグレッグSemenza医学博士は言う。

Semenzaの研究グループは低酸素誘導因子1(HIF-1)と呼ばれる化学シグナルを研究している。

低酸素状況に対処するのを助けるために、細胞はHIF-1をリリースする。



研究グループは以前、HIF-1が乳房腫瘍細胞が低酸素状況を生き残るのを助けることを発見した。

乳癌細胞は低酸素においてしばしば生存し、肺のような体内の他の部分へと広がる。

「乳癌で患者を殺すのは、最初の腫瘍ではない。転移である」、Semenzaは言う。



さらにSemenzaのグループは先行研究で、HIF-1により間葉系幹細胞(MSC)が近くの乳癌細胞に対してシグナルをリリースすることを発見した。

その結果、乳癌細胞は転移する可能性が高まった。



研究者は、このコミュニケーションが(癌細胞と間葉系幹細胞という)両方の道を走る可能性があり、そしてまた、幹細胞の存在が、癌による宿主の白血球のリクルートを助けている可能性も推測した。



乳癌は転移するために、間葉系幹細胞と白血球を含む、いくつかのタイプの宿主細胞のサポートを必要とするとSemenzaは言及する。

Semenzaのチームは、乳癌細胞、間葉系幹細胞と、白血球の間を飛び交っている網の目のようなシグナルをマップするために、さまざまなタンパク質の機能を妨害する化学物質をシャーレの癌細胞に使った。

ポジティブなフィードバックループの一つが、間葉系幹細胞を乳癌細胞へと近づけた。

幹細胞と癌細胞の間の別々のシグナルループは、白血球に引き寄せる「ビーコン(標識)」を癌細胞にリリースさせた。

ウェブのすべてのシグナルの濃度は、HIF-1の存在によって増大された - そして、最終的には低酸素状況によって。



チームはその次に、遺伝的なエンジニアリングを使って乳癌細胞による細胞リクルート・シグナルのレベルを低下させ、雌のマウスへとそれらの細胞を移植した。

変更のない乳癌細胞と比較して、リクルートの能力が減少した細胞は、同様の大きさの腫瘍へと成長した、が、拡散する可能性が非常に低下した。

本研究で使われる乳癌細胞の全ては、いわゆるトリプル・ネガティブ(エストロゲン、プロゲステロンとヒトの上皮成長因子受容体2のために受容体を欠いている)であった。

トリプル・ネガティブはそれらの受容体を目標にする治療法へと反応せず、さらに、それらがより多くのHIF-1を含むので他の乳癌より致命的な傾向があるとSemenzaは言う。

「本研究は、HIF-1阻害薬が特にトリプル・ネガティブ乳癌にとって有効であるというエビデンスへと加わる」、彼は言う。

この種類のいくつかの潜在的な薬は、今、開発の早期の段階である、彼は付け加えた。

学術誌参照:
1.トリプル・ネガティブ乳癌細胞と、間葉系幹細胞の間の低酸素誘導因子依存的なシグナル伝達は、マクロファージ・リクルートを促進する。

Proceedings of the National Academy of Sciences、2014;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/05/140522175637.htm

<コメント>
トリプル・ネガティブ乳癌細胞(BCC; breast cancer cell)と間葉系幹細胞(MSC; mesenchymal stem cell)の間の、2つの独立した(independent)、しかし転写因子HIF(hypoxia-inducible factor)に依存的な(dependent)ケモカインのフィードフォワード・ループが、BCCによるCSF-1(macrophage colony-stimulating factor 1)の転写を誘発し、それが腫瘍関連マクロファージ(Mφ)や骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC; myeloid-derived suppressor cell)のようなストロマ細胞をリクルートして、BCCの浸潤や転移を刺激するという研究です。

トリプル・ネガティブBCCではもともとHIFの発現が高く、そして低酸素もHIFを誘導して、フィードバック・ループと相乗作用します。

Abstractによれば、2つのループとは次のようなものです。

[1st]

(BCC) CXCL16 → (MSC) CXCR6

(MSC) CXCL10 → (BCC) CXCR3

→MSCリクルート

[2nd]

(MSC) CCL5 → (BCC) CCR5

(BCC) CSF1 → (MSC) CSF1受容体

→腫瘍関連Mφ・MDSCリクルート → BCC浸潤/転移



2014年5月25日

2014-05-28 14:46:24 | 

癌細胞の浸潤を引き起こすシグナル



癌細胞は精巧に統制された方法で近くの組織に侵入するが、その能力を制御するシグナル経路がイェシーバ・ユニヴァーシティのアルバート・アインシュタイン医科大学の研究者によって発見された。この発見は、転移に関与する早期の分子イベントへの洞察を与える。

癌細胞が原発腫瘍(primary tumor)から移動するためには、まず最初に細胞外マトリックス(ECM)という周囲の結合組織を突破しなければならない。

癌細胞は一時的にinvadopodia(浸潤突起; 癌細胞が侵入するために使う足様の突出。podiaはpodiumの複数形。pod/podiaはギリシャ語で『足』)を形成することによって突破する。invadopodiaはECMを分解させる酵素を放出し、他の突出は機関車が電車を引くように癌細胞を前方へ引っぱる。

浸潤する癌細胞は、腫瘍から体の遠い部分へと運ぶ近くの血管に入るためにinvadopodium形成と消失のサイクルに依存する。



「我々はinvadopodiaがアクチンと呼ばれるタンパク質フィラメントによって引き起こされるということを以前から知っていた」、研究のリーダーでアインシュタイン医科大学の解剖構造生物学准教授のルイス・ホジソン博士は言う。

先行研究では、Rac1と呼ばれるタンパク質が癌細胞の浸潤で役割を果たすことが示唆された。Rac1レベルが上昇すると癌細胞はより浸潤性の特性を示す。しかし、invadopodiaのそのような疑わしいRac1の活動はこれまで直接に観察されず、間接的に推測されているだけだった。

このハードルを乗り越えるために、ホジソン博士とアインシュタインのGrussリッパーBiophotonicsセンターの彼の同僚は、生きている細胞の画像化と組み合わせた蛍光タンパク質バイオセンサーを考案した。それはRac1が癌細胞のどの場所でどのような時に活性化されるかについて正確に明らかにする。

アインシュタインの研究チームは齧歯動物とヒトから得られた非常に浸潤しやすい乳癌細胞でこのバイオセンサーを使って研究を行った。その結果、個々のinvadopodiumが形成されて活発にECMを分解する時のRac1レベルは低い一方、Rac1レベルの上昇はinvadopodiumの消失と同時に起こることを発見した。

「Rac1の高いレベルはECMを分解するinvadopodiaの消失を誘発する一方で、低いレベルはそれらをとどまらせる - それはRac1がinvadopodiaで行っていると考えられていたものとは完全に正反対だった」、ホジソン博士は言った。

この観察を確認するため、研究者はsiRNAを使ってRac1タンパク質を合成するRAC1遺伝子をオフにした。遺伝子が沈黙すると、ECM分解は増大した。反対に『光を使って』Rac1活動が高められると、invadopodiaは消失した。

 Rac1─┤invadopodia→ECM分解



その後の実験でアインシュタインの研究チームは浸潤する間のRac1シグナルカスケードをさらに調査し、正常な胸部上皮細胞ではこのシグナルのメカニズムが異なった調節をされていることを示した。

「浸潤性の腫瘍細胞のinvadopodiaのRac1レベルは急に上がり、そして正確に調節された間隔で、細胞の浸潤性の能力を最大にするように弱まるように見えた」、ホジソン博士は言う。

「現在、Rac1の阻害因子が開発されているが、見境なくそれらを使うことは安全ではないだろう。Rac1は免疫細胞を含む正常な細胞の重要な分子であり、したがって、このシグナル経路を癌細胞だけで止める方法を発見する必要がある。」

学術誌参照:
1.Trio-Rac1-Pak1シグナル軸は、invadopodia分解を引き起こす。

Nature Cell Biology、2014;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/05/140525154722.htm

<コメント>
Trio (GEF) - Rac1 - Pak1 というシグナルが、invadopodia(浸潤突起)の形成/消失に重要であることが確認されたという研究です。
Rac1の低下でinvadopodiaが形成、上昇で消失するというサイクルを引き起こすシグナル伝達経路は、正常な組織の細胞とは異なっていたとのことです。

下の電子顕微鏡写真は下の明るい領域が細胞外マトリックス(ECM)、上の暗い部分が浸潤している癌細胞で、3つのinvadopodiaが見えます。





2014年5月26日

2014-05-28 08:36:45 | 

食事の変化で癌と戦う



Breast Cancer Research and Treatmentで5月26日に公表される研究によれば、マウスの食事を制限すると、トリプル・ネガティブ・乳癌(最も悪性の種類の1つ)は、体の新しい部位へ浸潤・転移する可能性が下がる。

「食事の制限は、エピジェネティックなプログラムをオンにしてマウスを転移性疾患から保護した」、シニア著者でトーマス・ジェファーソン・ユニヴァーシティの放射線腫瘍学部の準教授のニコル・シモーン博士は言う。

実際、トリプル・ネガティブ癌のマウス・モデルの食べる量を30パーセント減らすと、食物にフリーアクセスさせたときよりも、癌細胞はマイクロRNA-17と20(miR-17/20)の産生を減少させた。

研究者はmiRのこのグループが、転移するトリプル・ネガティブ癌でしばしば増大することを発見した。



乳癌患者はしばしば、腫瘍成長を妨害するホルモン療法と、化学療法の副作用を打ち消すステロイドで治療される。

しかしながら、この二つの治療は患者の代謝の変化を引き起し、体重増加につながることがある。実際、治療を開始した女性は1年目で平均10ポンド(約4500グラム)体重が増える。

最近の研究は、あまりに体重が多いと乳癌の標準的治療の効果が低下することを示した。治療の間に体重が増える者は、癌の結果がより悪い。



以前の研究でシモーン博士と同僚は、カロリー制限が放射線治療の腫瘍殺害効果を押し上げることを示した。

本研究はどの分子経路がこの協力的な影響に関与していか調べることを意図した。

研究者はマイクロRNAに注目した。特にmiR-17と20はマウスが放射線治療とカロリー制限の両方で最も減少する。

このmiRの減少は、細胞外マトリックスの維持に関与するタンパク質の産生を増大した。

「カロリー制限は胸部組織のエピジェネティックな変化を促進して、細胞外マトリックスを強く保つ」、シモーン博士は言う。

「強いマトリックスは腫瘍周辺で一種のケージを生み出す。それは癌細胞が逃げて体内の別の部位へと広がるのを難しくする。」



理論的には、miR-17を減少させる薬は細胞外マトリックスに関してカロリー制限と同じ影響を持つ可能性がある。

しかしながら、単一の分子の経路(例えばmiR-17だけ)を目標にしても、カロリー制限と同程度の効果は期待できそうにないとシモーン博士は言う。



もしカロリー制限が動物モデルと同じくらい女性に効果的であるならば、それはおそらく遺伝子の発現パターンのひとまとまりを大きく変えるだろう。それは毒性なしに複数の目標を攻撃する。

この仮説がヒトでも正しいかをテストするため、シモーン博士は現在、患者をCaReFOR試験(Calorie Restriction for Oncology Research; 腫瘍学研究のためのカロリー制限)に登録している。

学術誌参照:
1.トリプル・ネガティブ乳癌の転移の可能性は、カロリー制限によって媒介されるmiR-17~92クラスタの減少によって減少する。

Breast Cancer Research and Treatment、2014;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/05/140526101503.htm

http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs10549-014-2978-7

<コメント>
カロリー制限は、miR-17~92クラスター(miR-17-5p、miR-17-3p、miR-18、miR-19a、miR-19b1、miR-20、miR-92)の発現を抑制して、細胞外マトリックスを強めることで、放射線治療と相乗的に作用するという研究です。

miR-17~92クラスターの標的は、細胞外マトリックスに関連するcollagen 4 alpha 3laminin alpha 3metallopeptidase inhibitors 2metallopeptidase inhibitors 3と推測されているようです。

別の研究では、miR-17~92クラスターの標的は、アポトーシスを促進する因子のPtenとBimとされています。

http://ta4000.exblog.jp/19274036/