Identifying another piece in the Parkinson's disease pathology puzzle
International consortium identifies and validates cellular role of priority Parkinson's disease drug target, LRRK2 kinase
January 28, 2016
http://www.sciencedaily.com/releases/2016/01/160128133042.htm
公私が協力する国際的な研究コンソーシアムにより、パーキンソン病の主な薬剤標的であるLRRK2キナーゼの細胞内での役割が明らかになった
※コンソーシアム/consortium: 協会、共同体
オープンアクセス誌のeLifeで発表された今回の重要な発見により、パーキンソン病の治療開発や介入試験に役立つ全く新しい経路が明らかにされた
マックス・プランク生物化学研究所、ダンディー大学、マイケル・J・フォックス・パーキンソン病リサーチ財団(MJFF)、グラクソ・スミスクライン社(GSK)、MSD社からなる研究チームは、厳密でシステマティックな試験を実施するための独特なツールと専門技術を提供し、
LRRK2キナーゼが特定のRabタンパク質(Rab3、Rab8、Rab10、Rab12)の不活化により細胞内輸送を調節することを明らかにした
LRRK2遺伝子の突然変異はパーキンソン病の要因の一つとして非常によく知られており、製薬会社はLRRK2キナーゼの変異の影響を修正してパーキンソン病を治療すべく阻害剤を開発中である
今回の新たな画期的な発見は『突然変異体のLRRK2』と『Rabの機能の不適切な不活化』を結びつけるもので、これはRabタンパク質の役割について20年以上蓄積されてきた知識を解き明かすunlock
この知識は今や統合されて完全なものとなりintegrated、パーキンソン病の過程におけるLRRK2機能不全についての我々の知識を著しく改善する
「パーキンソン病のような脳の疾患につながる病的なカスケードには、おそらく多くの細胞内の要素が関与する」
マックス・プランク生物化学研究所のMatthias Mann, PhDは言う
「LRRK2の基質を同定したことにより、我々はこのパズルの中心となるピースを手に入れる
これは疾患プロセスに介入するためのもう一つの場所となるかもしれない」
マイケル・J・フォックス・パーキンソン病リサーチ財団のMarco Baptista, PhDは次のように言う
「LRRK2の基質としてRabタンパク質を同定したことにより我々はLRRK2阻害剤の影響を計測するためのツールを手に入れ、LRRK2レベルだけでなくLRRK2機能への効果が測定できるようになる
この重要な要素によりパーキンソン病の治療開発が前進するだろう」
このMJFFを中心とするコンソーシアムではいくつかのツールを組み合わせて研究を実施した
GSKはLRRK2遺伝子の最も一般的な変異を持つノックインマウス・モデルを作成し、
もう一つのノックインマウスはMJFFが作成した
LRRK2キナーゼ阻害剤はGSKとメルク/Merckが用意し、そして最先端の質量分析が使用された
これらのツールと、そしてパートナー同士を結びつける協力の心が今回の発見に必要だったのである
http://dx.doi.org/10.7554/eLife.12813
Phosphoproteomics reveals that Parkinson's disease kinase LRRK2 regulates a subset of Rab GTPases.
リン酸プロテオミクスによりパーキンソン病に関与するLRRK2キナーゼがRab GTPアーゼのサブセットを調節することを明らかにする
Abstract
Park8/LRRK2(Leucine-rich repeat kinase 2)の病的な突然変異ではG2019Sが最も一般的なアミノ酸置き換えであり、この変異はLRRK2キナーゼを2倍から3倍活性化する
しかしながら、LRRK2の生理的な基質についてのコンセンサスはほとんどない
我々はリン酸プロテオミクスphosphoproteomics、遺伝学、薬理学を組み合わせることにより、GTPアーゼのRabのサブセットをLRRK2の重要な基質として明確にしたunambiguously identify
LRRK2はin vivoとin vitroでこれらを直接リン酸化する
リン酸化される箇所はスイッチIIドメインに存在し、このアミノ酸残基は進化的に保存されている
様々な機能的ドメインを位置づける病原性pathogenicのLRRK2変異体はRabのリン酸化を増大させ、『Rab GDP解離抑制蛋白質/Rab GDP dissociation inhibitor(Rab GDI/ラブジーディーアイ)』のような調節性タンパク質への親和性を強く低下させる
我々の発見は真のLRRK2基質ならびにRabのまったく新しい調節メカニズムを明らかにする
それはRabをパーキンソン病へと結びつける
※Rab GDI: 低分子量Gタンパク質の一種。GDPと結合しているRabは不活性であり、Rab GDIはこれと結合して活性化を阻害する
Figure 7(PDF)
LRRK2(野生型)─(リン酸化)→[細胞質]GDI+Rabの解離→[細胞膜]GEF等によるRabの活性化
LRRK2(G2019S/R1441G変異)─(リン酸化↑↑)→[細胞質]GDI+Rabの解離↑↑→[細胞膜]GEF等によるRabの活性化↑↑
関連サイト
http://first.lifesciencedb.jp/archives/6527
RAB7L1とLRRK2は協調してニューロンにおける細胞内輸送を制御するとともにパーキンソン病の発症リスクを決定する
RAB7L1のノックダウンによってもリソソームの肥大化がみられること,同時に,リソソームの機能に重要な加水分解酵素の輸送を担うカチオン非依存性のマンノース6-リン酸受容体のリソソームへの局在が減少することが見い出された.
一方,RAB7L1の過剰発現によりG2019S変異をもつLRRK2の発現によるリソソームの肥大とマンノース6-リン酸受容体のリソソームへの局在の低下は回復した.
International consortium identifies and validates cellular role of priority Parkinson's disease drug target, LRRK2 kinase
January 28, 2016
http://www.sciencedaily.com/releases/2016/01/160128133042.htm
公私が協力する国際的な研究コンソーシアムにより、パーキンソン病の主な薬剤標的であるLRRK2キナーゼの細胞内での役割が明らかになった
※コンソーシアム/consortium: 協会、共同体
オープンアクセス誌のeLifeで発表された今回の重要な発見により、パーキンソン病の治療開発や介入試験に役立つ全く新しい経路が明らかにされた
マックス・プランク生物化学研究所、ダンディー大学、マイケル・J・フォックス・パーキンソン病リサーチ財団(MJFF)、グラクソ・スミスクライン社(GSK)、MSD社からなる研究チームは、厳密でシステマティックな試験を実施するための独特なツールと専門技術を提供し、
LRRK2キナーゼが特定のRabタンパク質(Rab3、Rab8、Rab10、Rab12)の不活化により細胞内輸送を調節することを明らかにした
LRRK2遺伝子の突然変異はパーキンソン病の要因の一つとして非常によく知られており、製薬会社はLRRK2キナーゼの変異の影響を修正してパーキンソン病を治療すべく阻害剤を開発中である
今回の新たな画期的な発見は『突然変異体のLRRK2』と『Rabの機能の不適切な不活化』を結びつけるもので、これはRabタンパク質の役割について20年以上蓄積されてきた知識を解き明かすunlock
この知識は今や統合されて完全なものとなりintegrated、パーキンソン病の過程におけるLRRK2機能不全についての我々の知識を著しく改善する
「パーキンソン病のような脳の疾患につながる病的なカスケードには、おそらく多くの細胞内の要素が関与する」
マックス・プランク生物化学研究所のMatthias Mann, PhDは言う
「LRRK2の基質を同定したことにより、我々はこのパズルの中心となるピースを手に入れる
これは疾患プロセスに介入するためのもう一つの場所となるかもしれない」
マイケル・J・フォックス・パーキンソン病リサーチ財団のMarco Baptista, PhDは次のように言う
「LRRK2の基質としてRabタンパク質を同定したことにより我々はLRRK2阻害剤の影響を計測するためのツールを手に入れ、LRRK2レベルだけでなくLRRK2機能への効果が測定できるようになる
この重要な要素によりパーキンソン病の治療開発が前進するだろう」
このMJFFを中心とするコンソーシアムではいくつかのツールを組み合わせて研究を実施した
GSKはLRRK2遺伝子の最も一般的な変異を持つノックインマウス・モデルを作成し、
もう一つのノックインマウスはMJFFが作成した
LRRK2キナーゼ阻害剤はGSKとメルク/Merckが用意し、そして最先端の質量分析が使用された
これらのツールと、そしてパートナー同士を結びつける協力の心が今回の発見に必要だったのである
http://dx.doi.org/10.7554/eLife.12813
Phosphoproteomics reveals that Parkinson's disease kinase LRRK2 regulates a subset of Rab GTPases.
リン酸プロテオミクスによりパーキンソン病に関与するLRRK2キナーゼがRab GTPアーゼのサブセットを調節することを明らかにする
Abstract
Park8/LRRK2(Leucine-rich repeat kinase 2)の病的な突然変異ではG2019Sが最も一般的なアミノ酸置き換えであり、この変異はLRRK2キナーゼを2倍から3倍活性化する
しかしながら、LRRK2の生理的な基質についてのコンセンサスはほとんどない
我々はリン酸プロテオミクスphosphoproteomics、遺伝学、薬理学を組み合わせることにより、GTPアーゼのRabのサブセットをLRRK2の重要な基質として明確にしたunambiguously identify
LRRK2はin vivoとin vitroでこれらを直接リン酸化する
リン酸化される箇所はスイッチIIドメインに存在し、このアミノ酸残基は進化的に保存されている
様々な機能的ドメインを位置づける病原性pathogenicのLRRK2変異体はRabのリン酸化を増大させ、『Rab GDP解離抑制蛋白質/Rab GDP dissociation inhibitor(Rab GDI/ラブジーディーアイ)』のような調節性タンパク質への親和性を強く低下させる
我々の発見は真のLRRK2基質ならびにRabのまったく新しい調節メカニズムを明らかにする
それはRabをパーキンソン病へと結びつける
※Rab GDI: 低分子量Gタンパク質の一種。GDPと結合しているRabは不活性であり、Rab GDIはこれと結合して活性化を阻害する
Figure 7(PDF)
LRRK2(野生型)─(リン酸化)→[細胞質]GDI+Rabの解離→[細胞膜]GEF等によるRabの活性化
LRRK2(G2019S/R1441G変異)─(リン酸化↑↑)→[細胞質]GDI+Rabの解離↑↑→[細胞膜]GEF等によるRabの活性化↑↑
関連サイト
http://first.lifesciencedb.jp/archives/6527
RAB7L1とLRRK2は協調してニューロンにおける細胞内輸送を制御するとともにパーキンソン病の発症リスクを決定する
RAB7L1のノックダウンによってもリソソームの肥大化がみられること,同時に,リソソームの機能に重要な加水分解酵素の輸送を担うカチオン非依存性のマンノース6-リン酸受容体のリソソームへの局在が減少することが見い出された.
一方,RAB7L1の過剰発現によりG2019S変異をもつLRRK2の発現によるリソソームの肥大とマンノース6-リン酸受容体のリソソームへの局在の低下は回復した.