Dark matter dominates in nearby dwarf galaxy
November 18, 2015
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/11/151118155444.htm
(矮小銀河は星の数は少ないがダークマターは多い
上の画像はカリフォルニア工科大学 (Caltech) の 『現実的環境におけるフィードバック/Feedback in Realistic Environments (FIRE)』によるシミュレーション画像で、
左はそこから示される銀河系のような銀河の周囲に予想される星の分布、右図がダークマターの分布である
画像中の赤い円はさんかく座II/Triangulum IIのような矮小銀河を示す
矮小銀河は多くのダークマターを持つにもかかわらず、星の数は非常に少ない
さんかく座矮小銀河IIのようにダークマター優位の銀河は、ダークマターの自己消滅self-annihilationから放出されるガンマ線シグナルを検出をするための有力な候補excellent prospectsである)
ダークマターが『ダーク/暗い』と呼ばれるのはもっともな理由good reasonがある
ダークマターは通常の物質より10倍以上/by a factor of 10も多いが、その粒子が具体的に何なのかは不明であるelusive
※by a factor of ~:「~倍」。動詞がdecreaseなどの場合は「~分の一」の意
その存在は銀河における重力の影響によって推測されているが、これまで直接ダークマターからのシグナルを観察した者は一人もいない
天文学の助教授であるEvan Kirbyは、銀河に近い『さんかく座矮小銀河II/Triangulum II』の質量を計測することにより既知の銀河で最も高濃度のダークマターを発見した可能性がある
2015年に発見されたさんかく座IIは我々の銀河系の近くに存在する小さくて不鮮明な矮小銀河であり、その星の数はわずか1000個ほどに過ぎない
今回Kirbyは矮小銀河の中心を動きまわる6つの星の速度velocityを検討することでさんかく座IIの質量を計測した
Kirbyは「この銀河は観察するのが非常に難しいchallenging」という
「ハワイのケック望遠鏡で観察するのに十分明るい星は6つしかない」
Kirbyは6つの星の速度を計測して星にはたらく重力を推測し、銀河の質量を決定した
「この銀河の総質量は、目に見える星の総質量よりも本当に非常に大きかった
このことは、多くのダークマターが密集して詰め込まれた状態で存在し、莫大な総質量に寄与していることを意味する」
「この銀河の通常の物質に対するダークマターの比率は我々が知るどんな銀河よりも高く、
計測結果を見た私は声を出すのも忘れて驚くばかりだった(After I had made my measurements, I was just thinking--wow.)」
この結果から、さんかく座IIはダークマターのシグネチャーを直接検出するための最も有力な候補になりうるという
あるダークマターの粒子は超対称性WIMP (weakly interacting massive particles)と呼ばれ、それが互いに衝突して対消滅するannihilate際にガンマ線を生じて地球から検出できる可能性がある
現在の理論ではダークマターが宇宙のいたるところでガンマ線を生じていると予測されるが、パルサーから放出されるガンマ線のような宇宙のノイズの中からこれら特定のシグナルを検出するのは難題である
一方でさんかく座IIはとても静かな銀河であり、星を形成するためのガスや他の物質が存在しないため『死んでいる』銀河である
ダークマター粒子が衝突して生じるガンマ線シグナルは理論的に観察が容易である
しかしながら、Kirbyが計測したものが銀河の総質量であるかどうかが完全に確認されているわけではない
フランス・ストラスブール大学/University of Strasbourgの研究グループがさんかく座矮小銀河IIのちょうど外側の星の速度を計測し、
それらの星が予測に反して矮小銀河の中心に向かって近づく星the stars closer into the galaxy's centerよりも速く動いていることを明らかにしている
このことは、矮小銀河が銀河系の重力によって引き裂かれpulled apartつつあることを示唆する(『潮汐力で破壊される/tidally disrupted』)
※tidal disruption: 潮汐破壊
「次のステップは他の研究グループの結果を計測して確認することだ」とKirbyは言う
「もし外側の星が内側よりも速く動いていなければ、矮小銀河はいわゆる『動的平衡/dynamic equilibrium』状態にある可能性がある
であれば、ガンマ線でダークマターを検出するための最も優れた候補となりうるだろう」
この研究についての論文は11月17日号のAstrophysical Journal Lettersに掲載される
http://dx.doi.org/10.1088/2041-8205/814/1/L7
TRIANGULUM II: POSSIBLY A VERY DENSE ULTRA-FAINT DWARF GALAXY.
<コメント>
Triangulum IIの日本語訳が見つかりませんでしたが、他の矮小銀河の呼び方からとりあえず『さんかく座II/さんかく座矮小銀河II』としておきます
関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/b90af671e5f7ca0075e8c8d3dd31c5fd
ダークマターの候補「ステライルニュートリノ」が崩壊したと思われるX線シグナルを捕らえる
関連サイト
http://www.astroarts.co.jp/news/2015/03/13reticulum2/index-j.shtml
「ダークマターを探すにあたり、矮小銀河からのガンマ線は、強力な証拠の1つと長い間考えられてきました。どうやら私たちは初めてその証拠を検出したようです」
ダークマターの正体はわかっていないが、ほとんど相互作用を起こさない粒子「WIMP」はダークマター候補の1つとされる。
November 18, 2015
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/11/151118155444.htm
(矮小銀河は星の数は少ないがダークマターは多い
上の画像はカリフォルニア工科大学 (Caltech) の 『現実的環境におけるフィードバック/Feedback in Realistic Environments (FIRE)』によるシミュレーション画像で、
左はそこから示される銀河系のような銀河の周囲に予想される星の分布、右図がダークマターの分布である
画像中の赤い円はさんかく座II/Triangulum IIのような矮小銀河を示す
矮小銀河は多くのダークマターを持つにもかかわらず、星の数は非常に少ない
さんかく座矮小銀河IIのようにダークマター優位の銀河は、ダークマターの自己消滅self-annihilationから放出されるガンマ線シグナルを検出をするための有力な候補excellent prospectsである)
ダークマターが『ダーク/暗い』と呼ばれるのはもっともな理由good reasonがある
ダークマターは通常の物質より10倍以上/by a factor of 10も多いが、その粒子が具体的に何なのかは不明であるelusive
※by a factor of ~:「~倍」。動詞がdecreaseなどの場合は「~分の一」の意
その存在は銀河における重力の影響によって推測されているが、これまで直接ダークマターからのシグナルを観察した者は一人もいない
天文学の助教授であるEvan Kirbyは、銀河に近い『さんかく座矮小銀河II/Triangulum II』の質量を計測することにより既知の銀河で最も高濃度のダークマターを発見した可能性がある
2015年に発見されたさんかく座IIは我々の銀河系の近くに存在する小さくて不鮮明な矮小銀河であり、その星の数はわずか1000個ほどに過ぎない
今回Kirbyは矮小銀河の中心を動きまわる6つの星の速度velocityを検討することでさんかく座IIの質量を計測した
Kirbyは「この銀河は観察するのが非常に難しいchallenging」という
「ハワイのケック望遠鏡で観察するのに十分明るい星は6つしかない」
Kirbyは6つの星の速度を計測して星にはたらく重力を推測し、銀河の質量を決定した
「この銀河の総質量は、目に見える星の総質量よりも本当に非常に大きかった
このことは、多くのダークマターが密集して詰め込まれた状態で存在し、莫大な総質量に寄与していることを意味する」
「この銀河の通常の物質に対するダークマターの比率は我々が知るどんな銀河よりも高く、
計測結果を見た私は声を出すのも忘れて驚くばかりだった(After I had made my measurements, I was just thinking--wow.)」
この結果から、さんかく座IIはダークマターのシグネチャーを直接検出するための最も有力な候補になりうるという
あるダークマターの粒子は超対称性WIMP (weakly interacting massive particles)と呼ばれ、それが互いに衝突して対消滅するannihilate際にガンマ線を生じて地球から検出できる可能性がある
現在の理論ではダークマターが宇宙のいたるところでガンマ線を生じていると予測されるが、パルサーから放出されるガンマ線のような宇宙のノイズの中からこれら特定のシグナルを検出するのは難題である
一方でさんかく座IIはとても静かな銀河であり、星を形成するためのガスや他の物質が存在しないため『死んでいる』銀河である
ダークマター粒子が衝突して生じるガンマ線シグナルは理論的に観察が容易である
しかしながら、Kirbyが計測したものが銀河の総質量であるかどうかが完全に確認されているわけではない
フランス・ストラスブール大学/University of Strasbourgの研究グループがさんかく座矮小銀河IIのちょうど外側の星の速度を計測し、
それらの星が予測に反して矮小銀河の中心に向かって近づく星the stars closer into the galaxy's centerよりも速く動いていることを明らかにしている
このことは、矮小銀河が銀河系の重力によって引き裂かれpulled apartつつあることを示唆する(『潮汐力で破壊される/tidally disrupted』)
※tidal disruption: 潮汐破壊
「次のステップは他の研究グループの結果を計測して確認することだ」とKirbyは言う
「もし外側の星が内側よりも速く動いていなければ、矮小銀河はいわゆる『動的平衡/dynamic equilibrium』状態にある可能性がある
であれば、ガンマ線でダークマターを検出するための最も優れた候補となりうるだろう」
この研究についての論文は11月17日号のAstrophysical Journal Lettersに掲載される
http://dx.doi.org/10.1088/2041-8205/814/1/L7
TRIANGULUM II: POSSIBLY A VERY DENSE ULTRA-FAINT DWARF GALAXY.
<コメント>
Triangulum IIの日本語訳が見つかりませんでしたが、他の矮小銀河の呼び方からとりあえず『さんかく座II/さんかく座矮小銀河II』としておきます
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http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/b90af671e5f7ca0075e8c8d3dd31c5fd
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関連サイト
http://www.astroarts.co.jp/news/2015/03/13reticulum2/index-j.shtml
「ダークマターを探すにあたり、矮小銀河からのガンマ線は、強力な証拠の1つと長い間考えられてきました。どうやら私たちは初めてその証拠を検出したようです」
ダークマターの正体はわかっていないが、ほとんど相互作用を起こさない粒子「WIMP」はダークマター候補の1つとされる。