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血小板で癌を診断する

2015-11-04 06:10:54 | 癌の治療法
Tumor RNA in platelets may diagnose and classify cancer, identify treatment strategies

Platelet RNA may provide easily accessible 'liquid biopsy' for many types of tumor

October 30, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/10/151030161342.htm

血小板によって運ばれる腫瘍のRNA分析は他の『液体生検liquid biopsy』よりも有用であり、
癌を診断して原発巣の場所を決定できることが判明した
この技術は新たな治療アプローチとして使える可能性がある

国際的な研究チームはCancer Cellで発表された論文で今回の発見について記述している
それによると、腫瘍によって教育された血小板/tumor-educated platelets、つまり腫瘍からこぼれ落ちた分子を拾い上げた血小板のRNAプロファイルにより健康な人と6種類の癌患者から得られた血液サンプルを区別することが可能であり、
さらに原発腫瘍の場所を決定し、治療方針の決定を導く腫瘍の変異を同定することもできたという

「次世代シーケンサーによる血小板RNAの遺伝子発現プロファイルと我々が開発したコンピューターアルゴリズムとを組み合わせることにより、
癌の存在を96%の正確さで検出することが可能になった」
マサチューセッツ総合病院の神経学者で共主席著者のBakhos Tannous, PhDは言う
今回の論文はアムステルダムVU大学医療センターの研究者たちとの共著である

血小板は腫瘍からタンパク質やRNA分子を取り込むことが最近の研究で明らかになり、あるいは腫瘍の増殖や転移にも関与する可能性もあるという
今回の研究は血小板が運ぶ腫瘍RNAが腫瘍の診断や分類に使えるかを調べるためにデザインされた

研究の参加者は健康なドナー55人と早期ステージの癌患者39人、進行した転移性の癌患者189人であり、彼らから血液サンプルを得て血小板を単離した
参加した患者は非小細胞肺癌、結腸直腸癌、膠芽腫、膵臓癌、肝胆道癌hepatobiliary cancer、乳癌のいずれかだった

個々人からの血液一滴分の血小板RNA量を増幅してシーケンシングした後、研究者は5000以上の様々な血小板RNAを同定した
健康な人と癌患者のRNAプロファイルを比較した結果、ほぼ1500のRNAのレベルが上昇し、800が減少していた
上昇していたものの多くは癌と関連するプロセスに関与していた

ほぼ300人からの約1000種のRNAのレベルを癌の存在を示すかどうかで分類するコンピューターアルゴリズムで検討し、
96%の正確さで癌の存在を示すことが可能だった

局所腫瘍の患者の全てと、中枢神経系腫瘍の患者39人中33人が正確に診断された

血小板のmRNAプロファイル分析では、3種類の胃腸腺癌、つまり結腸直腸癌、膵臓癌、肝胆道癌について
それぞれの患者における特定の癌のタイプを同定することに成功した

KRASまたはEGFR変異がドライバの腫瘍を持つ患者の血小板は、独特なRNAプロファイルを持つことも判明したprove
これらの変異は、治療として変異を標的とする薬剤を使うかどうかを決定するバイオマーカーである

血液が持つ因子を分析するためのアプローチが他にもいくつか開発されている
それは例えば血液中を循環する腫瘍細胞や遊離DNAであり癌の発達と進行を特徴づけて追跡するために使われるが、
今回の研究の著者らによるとそのどれもが癌を診断して原発腫瘍の場所を特定するpinpointことができずにいるという

「腫瘍によって教育された血小板/TEPのmRNAプロファイルは癌を検出するための感度と特異度を持ち、しかも早期の転移しない腫瘍ですら検出可能である」
ハーバード・メディカルスクールの神経学准教授/associate professorであるTannousは言う

「我々はさらにTEPベース・スクリーニングの治療決定に関する可能性potentialを評価し、
癌以外の疾患がどのようにしてTEPのRNAレパートリーに影響する可能性があるのかを調べている」


http://dx.doi.org/10.1016/j.ccell.2015.09.018
http://www.cell.com/cancer-cell/abstract/S1535-6108(15)00349-9
RNA-Seq of Tumor-Educated Platelets Enables Blood-Based Pan-Cancer, Multiclass, and Molecular Pathway Cancer Diagnostics


Highlights
・腫瘍は血小板RNAプロファイルを変化させることにより血小板を『教育する/educate』 (TEPs)
・血小板の総RNAは100から500ピコグラムでTEPベースの診断には十分である



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