New link between Down syndrome, Alzheimer's revealed
Study raises hope for new treatments
November 2, 2015
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/11/151102152727.htm
成人するまで生き残ったダウン症候群の人たちは脳内に有毒なアミロイドプラークが形成されて蓄積し、アルツハイマー病と非常によく似た認知症を早くに発症するというさらなる困難に直面する
テンプル大学ルイス・カッツ医学部/Lewis Katz School of Medicine at Temple University (LKSOM) の新たな研究により、ダウン症候群の認知症はγ-セクレターゼ活性化タンパク質/γ-secretase activating protein (GSAP) という調節酵素の異常defectsを伴うことが示された
そして『偶然にも』、GSAPの機能不全はアルツハイマーでも起きるalso happen to malfunction
ダウン症候群の研究分野においてこの新しい発見は非常に画期的であり、LKSOMの薬理学部・微生物学部の教授であるDomenico Praticò, MDによると今回の研究はすぐにGSAPを標的とするダウン症の認知症治療薬の開発につながるだろうという
過去にもγ-セクレターぜを阻害する薬剤が開発されたが、その強い毒性により失敗している
Annals of Neurologyのオンライン版に発表された今回の研究で、GSAPの過剰な活性とAβ前駆体タンパク質(APP)の過剰なプロセシングとの間の関連性が初めて明らかになった
APPは最終的にアミロイドベータ/Aβになるタンパク質である
Praticò博士たちが死亡後に献体として寄贈donatedされたダウン症候群患者の脳組織を調べたところ、健康な人の死後の脳組織と比較してGSAPタンパク質とその活性がかなり上昇していた
また、Praticò'博士のチームはGSAPの過剰な活性がGATA1という転写因子の異常と関連することを発見した
GATA1はGSAPの産生を制御する転写因子である
APPが過剰発現するニューロンでGATA1の活性が抑制されるとGSAPレベルとAβペプチドレベルが両方とも上昇する一方、GATA1の過剰発現は正反対の結果を生じることが実験で実証された
GATA1↓─┤GSAP↑─γ-セクレターゼによるAβ↑
ダウン症ではAPPが通常の4倍から5倍も過剰に作られており、この極端に過剰な産生は21番染色体トリソミー/3倍のコピー/triplicate copyの直接の結果である
21番染色体にはAPP遺伝子も存在するため、ダウン症ではAPPが過剰になる
「ダウン症での高レベルのAPPの結果としてAβペプチドの形成が増加し、Aβは脳内のアミロイドプラークの形成を促進する」
Praticò博士は説明する
「アミロイドプラークは患者の脳内で10代後半から20代前半に形成され始める」
何割かのダウン症患者では認知症の症状が30代から始まる
この新たな発見はダウン症サバイバーの転機となりうるだろう
「我々はGSAPの阻害がアミロイド産生を抑制することを示した
GSAPはアミロイド形成に特異的であり他の経路には影響しないため、直接γ-セクレターゼを阻害する他の治療戦略に対して安全な代替案alternativeとなるはずである」
Praticò博士たちは既にGSAP阻害剤を入手have access toしており、彼らの次の計画はマウスで前臨床研究を実施して薬剤の効果を調査することである
「我々は非常に楽観的である
我々の動物モデルがうまくいけば、次に臨床試験に移るだろう」
http://dx.doi.org/10.1002/ana.24540
GATA1-mediated transcriptional regulation of the γ-secretase activating protein increases Aβ formation in Down syndrome.
ダウン症候群患者はAPPが存在する21番染色体の余分なコピーを持つため脳内のAβペプチドレベルが高く、アルツハイマー病のように脳のアミロイド症を人生早くに発症する
今回我々はGSAPがダウン症候群患者の脳内で増加し、そのレベルがGATA1転写因子によって特に調節されることを示す
<コメント>
記事中に「Praticò博士たちは既にGSAP阻害剤を入手している」とあります
この阻害剤についてですが、2010年にNatureでイマチニブがGSAPを阻害できると報告されています
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20811458
この報告は今回の論文のRefenece 6にも挙げられています。例によって揉めているようですが
http://dislocon.blog.fc2.com/?no=550
Refernce 9にはPraticò博士たち自身の報告が挙げられていて、これもイマチニブによるものです
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24662099
記事にはダウン症候群/DSでGATA1が低下する理由は書かれていませんが、もともとダウン症候群ではGATA1遺伝子変異によるAMKLやTMDという白血病の発症頻度が非常に高いのだそうです
http://www.med.tottori-u.ac.jp/chromosome/535/kiji.html
http://gantoku3.umin.jp/topics/shimizu.html
論文でもDiscussionに同様の意見が書かれています(Reference 17-19)
アルツハイマー病でもGSAPに異常が見られたという報告はReference 8にあります
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21718343
関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/0fa7089ea952eca189428743129954eb
[ダウン症候群]
miRNA-155↑─┤SNX27↓─┤γ-セクレターゼ↑→Aβ↑
Study raises hope for new treatments
November 2, 2015
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/11/151102152727.htm
成人するまで生き残ったダウン症候群の人たちは脳内に有毒なアミロイドプラークが形成されて蓄積し、アルツハイマー病と非常によく似た認知症を早くに発症するというさらなる困難に直面する
テンプル大学ルイス・カッツ医学部/Lewis Katz School of Medicine at Temple University (LKSOM) の新たな研究により、ダウン症候群の認知症はγ-セクレターゼ活性化タンパク質/γ-secretase activating protein (GSAP) という調節酵素の異常defectsを伴うことが示された
そして『偶然にも』、GSAPの機能不全はアルツハイマーでも起きるalso happen to malfunction
ダウン症候群の研究分野においてこの新しい発見は非常に画期的であり、LKSOMの薬理学部・微生物学部の教授であるDomenico Praticò, MDによると今回の研究はすぐにGSAPを標的とするダウン症の認知症治療薬の開発につながるだろうという
過去にもγ-セクレターぜを阻害する薬剤が開発されたが、その強い毒性により失敗している
Annals of Neurologyのオンライン版に発表された今回の研究で、GSAPの過剰な活性とAβ前駆体タンパク質(APP)の過剰なプロセシングとの間の関連性が初めて明らかになった
APPは最終的にアミロイドベータ/Aβになるタンパク質である
Praticò博士たちが死亡後に献体として寄贈donatedされたダウン症候群患者の脳組織を調べたところ、健康な人の死後の脳組織と比較してGSAPタンパク質とその活性がかなり上昇していた
また、Praticò'博士のチームはGSAPの過剰な活性がGATA1という転写因子の異常と関連することを発見した
GATA1はGSAPの産生を制御する転写因子である
APPが過剰発現するニューロンでGATA1の活性が抑制されるとGSAPレベルとAβペプチドレベルが両方とも上昇する一方、GATA1の過剰発現は正反対の結果を生じることが実験で実証された
GATA1↓─┤GSAP↑─γ-セクレターゼによるAβ↑
ダウン症ではAPPが通常の4倍から5倍も過剰に作られており、この極端に過剰な産生は21番染色体トリソミー/3倍のコピー/triplicate copyの直接の結果である
21番染色体にはAPP遺伝子も存在するため、ダウン症ではAPPが過剰になる
「ダウン症での高レベルのAPPの結果としてAβペプチドの形成が増加し、Aβは脳内のアミロイドプラークの形成を促進する」
Praticò博士は説明する
「アミロイドプラークは患者の脳内で10代後半から20代前半に形成され始める」
何割かのダウン症患者では認知症の症状が30代から始まる
この新たな発見はダウン症サバイバーの転機となりうるだろう
「我々はGSAPの阻害がアミロイド産生を抑制することを示した
GSAPはアミロイド形成に特異的であり他の経路には影響しないため、直接γ-セクレターゼを阻害する他の治療戦略に対して安全な代替案alternativeとなるはずである」
Praticò博士たちは既にGSAP阻害剤を入手have access toしており、彼らの次の計画はマウスで前臨床研究を実施して薬剤の効果を調査することである
「我々は非常に楽観的である
我々の動物モデルがうまくいけば、次に臨床試験に移るだろう」
http://dx.doi.org/10.1002/ana.24540
GATA1-mediated transcriptional regulation of the γ-secretase activating protein increases Aβ formation in Down syndrome.
ダウン症候群患者はAPPが存在する21番染色体の余分なコピーを持つため脳内のAβペプチドレベルが高く、アルツハイマー病のように脳のアミロイド症を人生早くに発症する
今回我々はGSAPがダウン症候群患者の脳内で増加し、そのレベルがGATA1転写因子によって特に調節されることを示す
<コメント>
記事中に「Praticò博士たちは既にGSAP阻害剤を入手している」とあります
この阻害剤についてですが、2010年にNatureでイマチニブがGSAPを阻害できると報告されています
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20811458
この報告は今回の論文のRefenece 6にも挙げられています。例によって揉めているようですが
http://dislocon.blog.fc2.com/?no=550
Refernce 9にはPraticò博士たち自身の報告が挙げられていて、これもイマチニブによるものです
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24662099
記事にはダウン症候群/DSでGATA1が低下する理由は書かれていませんが、もともとダウン症候群ではGATA1遺伝子変異によるAMKLやTMDという白血病の発症頻度が非常に高いのだそうです
http://www.med.tottori-u.ac.jp/chromosome/535/kiji.html
http://gantoku3.umin.jp/topics/shimizu.html
論文でもDiscussionに同様の意見が書かれています(Reference 17-19)
アルツハイマー病でもGSAPに異常が見られたという報告はReference 8にあります
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21718343
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[ダウン症候群]
miRNA-155↑─┤SNX27↓─┤γ-セクレターゼ↑→Aβ↑