機械翻訳2

興味のある科学/医学ニュースを適当に翻訳していきます。

免疫療法の限界をエピジェネティックに改善する

2015-11-05 06:15:27 | 癌の治療法
Research explains limits of cancer immunotherapy drugs

Finding offers possibility to improve response to therapies

October 26, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/10/151026125028.htm

癌への免疫療法は一部の患者で大変な成功を収めてきたが、患者の大部分majorityは免疫療法に反応しない
ミシガン大学の総合がんセンターによる新たな研究で、腫瘍の中で分子レベルでの変化が生じて免疫療法の効果を妨害する仕組みが明らかになった


臨床試験の結果から、炎症を引き起こすT細胞が数多く浸潤している腫瘍はPD-L1やPD-1を阻害する免疫療法に応答しやすく、
炎症が弱いかT細胞が少ない腫瘍は応答しにくいことが示唆されていた
しかし、腫瘍の微小環境でT細胞を制御するのが何なのかは不明のままだった

「腫瘍によって炎症が起きるものと起きないものがある理由を説明する分子的なメカニズムを、我々は明らかにしたdefine
これはなぜ免疫療法に応答する患者とそうでない患者がいるのかについても説明する」
首席著者のWeiping Zou, M.D., Ph.D.は言う

「この『エピジェネティックな』メカニズムを再プログラムすることができれば、免疫療法はもっと多くの患者で作用するかもしれない」
ミシガン大学メディカルスクールのZou, Charles B教授は言う

Zouたちはヒトの癌の微小環境において、樹状細胞のPD-L1の発現と調節、そしてその機能的阻害を初めて示した研究グループである

彼らは今回の研究でヒトとマウスモデルにおいて卵巣癌を研究した
研究チームがエピジェネティックに作用する薬剤(5-AZA-dC/5-アザ-2-デオキシシチジン)を使用したところ腫瘍に浸潤するT細胞の数は増加し、
しかもエピジェネティックな薬剤はPD-L1阻害剤と相乗作用を示した

※5-AZA-dC: 5-アザ-2-デオキシシチジン/5-aza-2-deoxycytidine


http://dx.doi.org/10.1038/nature15520
Epigenetic silencing of Th1 type chemokines shapes tumor immunity and immunotherapy.
Th1タイプケモカインのエピジェネティックなサイレンシングは腫瘍免疫ならびに免疫療法を方向づける

ヒストン修飾やDNAメチル化のようなエピジェネティックなサイレンシングは重要な発癌メカニズムである(1
しかしながら、癌の免疫病理immunopathologyならびに免疫療法immunotherapyにおけるその役割はほとんど理解されていない

我々はヒト卵巣癌をモデルとして使い、
EZH2/enhancer of zeste homologue 2によるヒストンH3リジン27トリメチル化 (H3K27me3)
ならびに
DNMT1/DNA methyltransferase 1によるDNAメチル化が腫瘍の作るTh1タイプケモカインのCXCL9とCXCL10を抑制し、
それがエフェクターT細胞の腫瘍微小環境への輸送に影響するdetermineことを示す

(5-AZA-dCのような)エピジェネティックな調節因子を投与すると
抑制は取り除かれてエフェクターT細胞の腫瘍への浸潤は増加し、腫瘍の進行は遅くなって、
PD-L1チェックポイント阻害(2, 3, 4
ならびにT細胞養子移入(5による腫瘍マウスへの治療効果therapeutic efficacyは改善される

さらに、腫瘍のEZH2とDNMT1は、腫瘍へのCD8陽性T細胞の浸潤ならびに患者の転帰と負の相関を示す

このように、TH1タイプケモカインのエピジェネティックなサイレンシングは腫瘍の新たな免疫回避メカニズムである
選択的なエピジェネティック再プログラムは癌におけるT細胞の状況landscape(6を変化させ、治療の臨床的な効果clinical efficacyを促進する可能性がある



http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/fig_tab/nature15520_SF5.html
Extended Data Figure 5: EZH2/H3K27 and DNMT1 interaction affects clinical outcome.

拡張データ画像5: EZH2/H3K27とDNMT1の相互作用は臨床転帰に影響する
(i)
TH1タイプケモカインのエピジェネティックなサイレンシングと、
エフェクターT細胞の輸送、抗腫瘍免疫、免疫療法、患者の転帰との間の関係を表す模式図

※Mはメチル化を表す



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/532f5008161c8bf2e3aad801fa7d002d
癌細胞のウイルス防御経路のスイッチを入れることでインターフェロンを分泌させ、免疫細胞を目覚めさせる



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/3266b03a7ede0094a15e8310a435d9d6
癌細胞にウイルス感染を擬似的に誘導することにより、癌幹細胞を標的にする