遺伝子異型は、加工肉を食べることによる結腸直腸癌のリスクを増す
PLOS遺伝学で今日公表される研究によれば、3人の内で1人に影響する一般的な遺伝子の異型は、結腸直腸癌のリスクを加工肉の消費から著しく増すように見える。
アメリカ、カナダ、オーストラリアとヨーロッパからの18,000人の研究は、結腸直腸癌のリスクファクターの多くを説明できる遺伝子の異型と食事のパターンの最初の大規模なゲノム全体の分析を意味する。
南カリフォルニア大学ケック医学部のジェーン・フィゲィレード博士は、加工肉が結腸直腸癌の増加したリスクと関係していると説明した。
そして、この遺伝子の異型を持っている全体の約3分の1の人にとって、加工肉を食べる危険は高くなる。
研究された集団は、合計9,287例の結腸直腸癌患者と、癌のない9,117人の個人のコントロール・グループである。
10件の観察研究のすべての参加者は、最大のメタアナリシスでプールされた。これは国立衛生研究所による出資で主催された結腸直腸癌コンソーシアムの遺伝学と疫学(GECCO; Genetics and Epidemiology of Colorectal Cancer Consortium)、そして結腸直腸癌家系登録による。
科学者が、肉、線維、果物と野菜の消費と関係している270万の異型をシステマティックに検索した結果、遺伝子の異型rs4143094と加工肉の消費の間に重要な相互作用が検出された。
この異型は、GATA3(転写因子遺伝子)を含む同じ10番染色体領域にあって、これは以前、癌のいくつかの種類との関連があるとされている。
この遺伝子によってコード化される転写因子は、免疫系で役割を果たす。
学術誌参照:
1.結腸直腸癌リスクに関する、ゲノム全体の食事と遺伝子の相互作用を分析する。
PLoS遺伝学、2014;
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/04/140417191612.htm
<コメント>
GATA結合タンパク質3(GATA3)はTh2の分化に関与する転写因子として知られていますが、PlosのDiscussionにもあるようにGATAは細胞の成熟と増殖の停止にも関与しています。
>GATA3 is up-regulated in ulcerative colitis [26], which is associated with increased risk of colorectal cancer [27].
>However, the role of GATA genes as transcription factors extends to epithelial structures with a known role in breast, prostate and other cancers [28]–[30].
>GATA factors are involved in cellular maturation with proliferation arrest and cell survival. Loss of GATA genes or silencing of expression have been described for breast, colorectal and lung cancers [30].
rs4143094や他のSNPはGATA3の上流に存在していて、そこにはGATA3-AS1というGATA3のアンチセンスノンコーディングRNAがコードされているので、GATA3の発現レベルに影響を与えている可能性があるとのことです。
>Many of the other SNPs upstream of GATA3 are located in GATA3-antisense RNA1 (GATA3-AS1) (formerly FLJ45983).
>GATA3-AS1 is a non-coding RNA that may regulate GATA3 transcript levels in the cell.
>Further studies are required to elucidate the relationship between GATA3 and GATA3-AS1 and determine whether variants in the 10p14 region cause perturbations in regulation.
この多型によるリスクは2割から3割ぐらいで、逆に野菜、果物、食物繊維ではリスクが下がるので、肉ばかり食べて他を食べないとリスクはさらに上がると思われます。