妊娠期糖尿病と2型糖尿病に存在するファクターは、新しい治療の選択肢を提供する可能性がある
妊娠糖尿病と2型糖尿病患者はどちらも、インスリンを分泌する膵臓β細胞を損なう脂肪代謝産物のレベルが高い。
この脂肪代謝産物の影響をブロックすることが糖尿病を予防し、治療するのを助けるかもしれないことを今回の発見は示唆する。
この糖尿病の2つの種類の背後に共有されるメカニズムを理解するため、トロント大学のマイケル・ホイーラー博士の研究室は、この2つの糖尿病と健康な人たちからの血液サンプルで340以上の分子を調べた。
代謝学アプローチを用いて分析した結果、研究チームは妊娠/2型糖尿病の両方の血液が、糖、アミノ酸と脂肪を含む代謝産物の多くが著しく変化していたことを発見した。
特に脂肪代謝産物の一つのCMPFは、妊娠/2型糖尿病患者の両方で劇的に増加した。
マウスの実験ではCMPFの濃度の増加によって、膵臓のβ細胞からインスリン分泌の減少が起きて糖尿病の発症に至ることを示した。
より詳細な実験で、CMPFが有機陰イオン輸送体3(OAT3)によりベータ細胞に取り込まれることが分かった。CMPFが一旦細胞の中に入ると、それは酸化ストレスなどの負の影響を生じる。
次に研究者は、β細胞へのCMPFの輸送をブロックするか、または抗酸化物質による投与により、CMPFの効果は抑制することができることを発見した。
学術誌参照:
1.フラン脂肪酸代謝産物のCMPFは、糖尿病で上昇して、β細胞機能不全を誘発する。
Cell Metabolism 2014;
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/04/140401122359.htm
<コメント>
質量分析法を利用したメタボロミクスにより、3-カルボキシ-4-メチル-5-プロピル-2-フランプロピオン酸(CMPF)という脂質代謝物がβ細胞のインスリン分泌を阻害することが判明したという記事です。
下の図は少し関係がわかりにくいかもしれませんが、Extended PDFの図ではわかりやすいと思います。
CMPF─(β細胞OAT3)→ROS─┤Akt─┤FoxO1/GSK3β─┤インスリン転写/分泌