薬剤耐性と関連がある癌幹細胞
肺、胸、膵臓癌を処置するために使われる大部分の薬は、薬剤耐性も促進して、最終的に腫瘍成長に拍車をかける。
カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部の研究者は、癌細胞の幹細胞様の特性を増強することによって腫瘍転移を誘導することの原因であると思われる薬物抵抗性腫瘍の表面上のCD61(インテグリンβ3)と呼ばれるバイオマーカを発見した。
「癌の初期治療の間は、応答する多くの薬がある。しかし、癌細胞が薬物抵抗性になると、再発が起こる」、デイビッドCheresh博士は言った。
「我々は細胞が抵抗するようになる前と後に観察して、そして尋ねた。『細胞で何が変化したのか?』」
Chereshと同僚は、腫瘍細胞がどのようにエルロチニブやラパチニブの様な薬に対して耐性を示すようになるかについて調査した。それは受容体型チロシンキナーゼ阻害剤として知られ、標準の癌療法で一般的に使われてきた。
薬剤耐性が起こるにつれて、腫瘍細胞は幹細胞様の特性を得ることがわかった。それは、体の全体で生存する能力を与え、薬を無視するのに必須である。
科学者は具体的に、癌の幹細胞的な特性(stemness)と、薬剤耐性を促進する分子の経路を詳細に描写して、この経路を利用する既存の薬を特定することができた。
これらの薬はただ腫瘍の幹細胞様の特性を逆転させるだけでなく、癌細胞が抵抗を獲得した薬に腫瘍を再感作するようにも見える。
これらの発見に基づいて、ハーティム・フサイン博士(ムアーズ癌センターの准教授)は、腫瘍が薬物抵抗性の患者で、この経路を攻撃するための臨床試験を設計した。
試験は癌進行を経験してエルロチニブに薬剤耐性を持つ肺癌患者に開かれ、来年から始まると思われる。
学術誌参照:
1.インテグリンβ3 - KRAS - RalB複合体は、腫瘍stemnessとEGFR阻害剤耐性へ駆り立てる。
自然細胞生物学、2014;
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/03/140320173158.htm
<コメント>
EGFRやHER2(ErbB2)のような受容体型チロシンキナーゼを阻害しても、β3インテグリン(CD61)、KRAS、RalBにより、癌は幹細胞に似た特性を獲得して、阻害剤への耐性ができるという研究です。
以前にもBRAF阻害剤に対して耐性を獲得したメラノーマに対して、BRAF阻害剤とMEK阻害剤を組み合わせる治療がFDAに承認されたという記事がありました。
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/090347b9785630a17df772727457742e