雑文の旅

猫爺の長編小説、短編小説、掌編小説、随筆、日記の投稿用ブログ

猫爺の日記から「頑張れよ」

2015-04-22 | 日記
 仕事が溜まってしまい、ちょっと頑張ると体調を崩す。年寄りや病人にとって、「頑張る」ことは良くないことだと実感する。
 何昔か前に、うつ病を患っている人に「頑張れ」と励ますことはするなと教えられたことがある。命令形で励ますのは、やはり健全な心と体を持った若者にこそ有効であれ、病人や年寄りには重過ぎるようだ。

 テレビドラマで、大きな手術のためにストレッチャーでオペ室に運ばれる患者に、家族や友人などが「頑張れよ」と励ますシーンがよくあるのだが、その声を聞いて患者はどう頑張るのだろうと思ってしまう。ましてや、全身麻酔をかけられて望む手術に、頑張りようがないではないか。
 私なら、「これでまた元気になれるぞ」と、声をかけて貰う方が、緊張がとれるだろうと思う。私もまた何度か手術を受けたが、平然と構えているようにつくろっている割には、ガチガチに緊張しまくっていた。

 阪神淡路の震災のあと、神戸では「がんばろや!」と励まし合うスローガンが目立ったが、これは共にがんばろうと言う意味。上から目線でも、命令形でもない。それでも、頑張りきれずに励まし合いの輪から抜け落ちて、ひっそりと死んでいった病人や老人がたくさん居た。その人達にとっては、この思いやりのある励ましでさえも、きっと重かったに違いない。

最新の画像もっと見る