雑文の旅

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猫爺のコラム「ディジタルの音」

2015-09-29 | コラム
 ある人気ブログを訪問して、アナログ・レコードを大切になさっておられるブロガーの方の記事を懐かしく拝読しました。

 アナログ・レコードの音は柔らかくて好きだと仰る諸兄が多いが、ディジタルの音とどう違うのだろうか? これをテキスト的ではなく、コラム風に書いてみよう。このような回想もまた、アルツハイマーに罹るのを遅らせるのに効果があるかも知れないから…。

 アナログは、音そのものの振動を盤に刻んだものである。その振動を針と「ピックアップ」で電流に変えて増幅し、スピーカーから音として出力する。ステレオでは、針は一本であるが、「ピックアップ」は二つ付いている。
 レコード盤の溝の両側面には、二つのマイクで拾った音がそれぞれの側面に刻まれており、針には45度と45度に傾斜した二つの「ピックアップ」が付いている。左の音と、右の音をそれぞれの「ピックアップ」が拾う訳だ。

 では、ディジタル、例えばCDではどう記録されているのだろうか。マイクで拾った左右二つの音の波から標本を抜き出すのだ。音の波を滑らかな折れ線グラフとしょう。標本は間隔が開いた棒グラフだ。棒グラフは、折れ線グラフから飛び飛びに拾っている。これはもはや音声ではない。高さが変化する棒グラフなのだ。
 次に、この標本を数値化する。これをA-D変換という。数値とは、若い方にはお馴染みの二進数だ。数は0と1だけで、1はそれぞれ重さを持っている。下から順に。1.2.4.8.16.32.64.128.256.…というやつだ。この数値で、動画も、画像も、文字なども記録し表すことができる。CDなどには、高度なテクニックでこの数値が記録されている。

 再生はどうするか。今までの逆で、数値を棒グラフのような標本に戻す。今度は、標本を折れ線グラフである音の波にする。標本はスカスカなので、間を詰めなければならない。これがD-A変換だ。この間を詰めるものは、再生機(プレーヤー)に用意した音である。従って、最初マイクで拾った音とは違う偽物の音だ。
 ディジタルの音は、雑音に強い。プレーヤーは数値さえ拾えば、偽物であろうと、ほぼ忠実に再現できるからである。Dはディジタル、Aはアナログであることはお察しの通りである。

 アナログ・レコードのファンの方は、この違いがわかるのであろう。アナログの音は柔らかで温かいが、ディジタルの音はクリア過ぎて馴染めないとおっしゃるのはその所為であろう。

 で、「猫爺はどちらが好きか」ですか?  「どっちもー」音楽なら何でも好きだし。


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