雑文の旅

猫爺の長編小説、短編小説、掌編小説、随筆、日記の投稿用ブログ

丑三つ日記6・実験動物の世代

2012-02-07 | 日記
 昨今は朝食を摂らない人が多いのだそうである。 朝食を摂らないと午前中頭がぼーっとして、学生なら授業を受けていても身が入らないだろうに。 子供に「おめざ」を与えるのは、脳のエネルギー源である糖分を取らせるせて、頭をすっきりさせるねらいがあるのだろう。

 私の子供時代の朝食は、粉末ジュースのホットと、味付けパン1個が多かった。 粉末ジュースは、一杯分が5円、味付けパンは1個10円。

 味付けパンは、学校給食のコッペパンの2倍くらいの大きさで、上から見ると楕円形で、縦に割れ目がはいっていた。 味は砂糖と塩で付けただけの素朴なもの。 もちろんジャムもあんこも入っていない。 

 粉末ジュースは「渡辺のジュースの素」で、人工甘味料(多分、サッカリン)が使われており、人工甘味料が人体に悪影響を及ぼすことが発表されて、間もなく発売中止になった。 

 家庭で飲むコーヒーや紅茶にも、砂糖でなくサッカリンを入れて飲んでいた。 市販されているサッカリンは、直径5ミリ位の小さな錠剤で、1錠で砂糖の茶匙山盛り2杯分の甘さがあった。 

 甘味料は、サッカリンのほか、チクロ、ズルチンなどが有ったが、死者まで出たことから日本ではすべて禁止になった。 私の年代は、はその甘味料の入った食品を食べて育ったのだ。

 着色料もすごかった。 駄菓子店で売っているチョコレート状の駄菓子を食べると、口の中が真っ赤に染まって、まるで生肉を喰った猛獣の口のようになった。 それが面白くて、子供たちは真っ赤な駄菓子を買って食べたものだ。 

 有害な添加物は、私の年代の者がさんざん食べた後、食品添加物の指定が取り消され使用禁止になった。 言わば私の年代は、実験動物の世代とでも言うべきか。