「黒冷水」羽田圭介 2003河出書房新社
『文藝』2003年冬号 第40回文藝賞受賞
出だしの文章に拙さが演出だったなんて!(たまたま?17歳で計算してたらすごい)最初は〈心の焦り〉を表現しているのかと思った。兄貴の机をあさるなんてのは結構あるのか・・・私は気付かなったぞ。で、私は兄貴なのにわくわくしたよ。
あと、兄弟間の(特に弟から兄への)殺意!たまたま、「ダウンタウンDX」で兄弟特集やっていて、そこでも殺意は言っていたわ。自分のやったことを忘れてしまう兄貴と、いつまでも根に持つ弟。あ、兄貴(姉貴)が悪者にされるっていうのも兄弟あるあるだね、下は泣いたり嘘をついて逃げる。
しっくりし過ぎのカウンセリングと、それをはねのける黒冷水。
しゃべり過ぎの青野は、自身が助けてほしいのではないかと思った。が、カウンセリング同様、最終展開への伏線だった。
百円文庫(百均)って2003年にもうあったのか。(その多くのがきっとkindleでは無料でよめるんじゃないか。あと青空文庫と)
おお、弟が兄貴の部屋をあさるのは親から見ると安全弁ってのは卓見だね。しかし、子供はもっとうまくやっちゃうけど。
そしてラストの祈り。
弟の生還を祈る兄貴への絶望。
すごい作品を17歳で書いたな。
「スクラップ・アンド・ビルド」は第153回芥川賞(2015)を受賞したが、私の目からは「黒冷水」を超えていない。
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