リッスン・トゥ・ハー

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絶体絶命カレー

2010-09-23 | リッスン・トゥ・ハー
そもそもが間違っている。たしかに、状況が食べ物をうまくする、とはよく言われたことだが。カレーの味は普通だ。まったく普通のレトルトカレー。ボンカレー。それを温めて、やはりレトルトのパックごはんにかけただけの代物。味はまずいわけではないが、うまいわけでもない。普通なのだ。それを状況により、うまくする、と豪語した。その料理人は味を高めるのではなく、状況で食わせる方法を選んだ。食べる前に絶体絶命の状況を作り上げ、それを乗り越えた後で食べるカレーのうまさと言ったらないぜ、料理人は自信を持っていった。絶体絶命とは。イメージとしてはリポビタンだ。あの屈強な肉体をもつふたりの若者がいつも絶体絶命の状況に陥っている。それを知恵と勇気で乗り切った後に飲むからリポビタンだってうまいんだ。リポビタンはうまさをアピールしているわけじゃないでしょうに。とは言えない。料理人がとても純粋な目をしていたから。同じような状況になるように店を改造しました。店に入ってからテーブルにつくまでの間に滝がある。それをなんとか乗り越えないといけない。素人でも大丈夫、専門のスタッフが手伝ってくれます。そして、乗り越えてテーブルにつき、有無を言わせずにカレーを食わせる。本当のうまさ、恐怖を乗り越えた感情が最高のスパイスだ。カレー店大人気。運動不足のあなたに、本格派アスレチック。いつしかカレーださなくなる。最初からそんなに好評だったわけではないし。アスレチックで十分食っていけそうだからそっちメインで軌道修正。

黒木メイサ「赤に負けずに黒もイケてる」

2010-09-22 | リッスン・トゥ・ハー
「メイサはやっぱり黒が好きなんだね」

「いやそんなことないですけど」

「でも黒を選んじゃってるじゃないか」

「そうでもないですよ、もちろん黒は好きですけれど選んだのは本当に偶然で」

「偶然かもしれないけれども、好きなんでしょ」

「好きですね」

「じゃあいいじゃない、素直にそういってればいいじゃない」

「いいです」

「じゃあ、黒いきます」

「なんですか、何がはじまるんですか」

「墨汁を頭からかけます」

「なんで?あたしなんで墨汁をかけられるの?」

「黒が好きだからですよ」

「イヤ意味が分かりませんし」

「黒くなってもらおうととにかく」

「嫌ですよ」

「嫌でももうスタンバイ完了してます」

「嫌ですよ」

「ではいってみようか、リハなしです」

「嫌ですって、聞いてちょっと聞いて」

「はい、墨汁入りの巨大バケツどーん」

「どーんって何?」

「どーんと頭上にセット」

「どーんじゃないでしょう」

「はい、キャメラさん左右、上下、引き、ハンディ、どーん」

「いいですよ、どーんつけなくても」

「はい、音声さん、スタンバイどーん」

「どーん」

「じゃあいきます、用意スター!」

「トって言って!」

「墨汁どーん」

「かかってたまるか」

「逃げた!墨汁さん追って!」

「墨汁さんって?」

「墨汁をかける係の人たち」

「ああ、墨汁さんが追いかけてくる!」

「はい、墨汁さんおいかけてどーん」

「かけられたー!」

「キャメラさんとった?とった?今の画ばっちりおさめたどーん」

「撮られたー!」

「オーケー、10分休憩はいりますどーん」

「お疲れっすどーん」

「オマエ真似するなよどーん」

「真似してませんよどーん」

「してるじゃねえかどーん」

「してませんよどーん」

「どーん」

「どーん」

「どーん」

「どーん」

ドラゴンクエストモンスターズジョーカー2プロフェッショナル

2010-09-22 | リッスン・トゥ・ハー
ドラゴンクエストと言うと、あの有名なゲームのドラゴンクエストですか?と聞かれたけれど、はいそうです、とそのまま答えていいのか、ちょっとひねって、あれから派生した進化系が私です、と答えるべきなのかちょっと迷った。その娘さんは、露出がすごい服をきていて、最新のファッションというやつなんだろうけど、ジーパンのいろんなところが破れていて、服としての機能を成していない。下着は、下に履くから下着という名称をいただいているのだろうけれど、娘さんのそれは、上着みたいなものだ。派手な色のそれががつんと表に出ていて、いやそれはそういう履き方をする専用の下着なので大丈夫です、とあとから聞いたけれど、はじめてのそのときはどこに目をやっていいのかわからず、下着と肌の境目を凝視していた。うわあ、すごいなあ、あの有名なドラゴンクエストなんだあ、あたし好きだったんですよ、握手いいですか?娘さんはわたしが肯定も否定もしない段階で決めつけて手を差し出した。ああ、この子はそういう無防備なところがあって、それが周りの男達を混乱させるんだろうな、とわたしはぼんやり思いながら、手を握ってやった。わたしは多汗症で手のひらはかなりだくだくで、にゅるっとしたが娘さんが気にすることもなく感謝の意を表した。素直ないい子だな、とわたしは感心した。それから娘さんは、場所を変えましょう、と町の中心部のバーへわたしを引っぱっていった。いろいろとみんなの知らないひみつのエピソードを教えてくださいよ、と楽しそうに聞いた。わたしはおそらく彼女が楽しんでいたゲームのエピソードは全く知らないのだが、うんうん、とうなづいた。どうにでもなるような気がした。それからわたしは適当にエピソードをでっち上げてはなし、娘さんは最高の反応を示してくれ、わたしは気分が良くなり、どんどん飲んで、かなり酔っぱらって、眠ってしまった。気付いたらこれは俺のベッドじゃねえ。

ボーイング社、宇宙飛行販売でスペース・アドベンチャーズ社と提携

2010-09-21 | リッスン・トゥ・ハー
「そもそも宇宙飛行販売ってなんですか」

「知らないの?」

「残念ながら知りませんねえ」

「宇宙飛行販売ってのは」

「はい」

「宇宙飛行を売っているんだよ」

「まさかのひねりなし」

「宇宙での飛行を」

「はい」

「売っているんだよ」

「なぜ言い直したんですか」

「ほら、今は金さえ出せば誰でも宇宙いけるじゃない」

「そうらしいですね」

「それにかんすること」

「はあ」

「お値ははるけど、価値ある買い物だよ」

「行ったことあるんですか」

「一度だけいかせてもらいました」

「それはすごい」

「あれは3ヶ月前になるかな」

「ついこの間ですね」

「申し込んでたら急に連絡があってね」

「どこからですか?」

「そら、NASAですよ」

「へえ」

「来てくれって」

「ヒューストンですか?」

「大阪ドームに」

「なんで」

「秘密基地があるんだってそこの地下に」

「ええ!」

「で、行きましたよ、喜び勇んで」

「大阪ドームですか」

「そうそう、で入場口のところで、山、って言われるのね」

「なんすかその古めかしい響きは」

「で、ぼくが、皮、って答える」

「まさかの合い言葉、表記は間違ってませんか?」

「すると黒尽くめの人が出てきて、目隠しをされてどこかへ連れて行かれる」

「怖いじゃないですか」

「結構歩いて目隠しが外される」

「地下への通路はひみつなんですね」

「そこは月でした」

「いや、ちゃうでしょ」

「たしかにクレ-ターっぽいものがあるし」

「いやちゃうでしょ」

「そういえばさっきから息苦しいし」

「もし月なら苦しいなんてもんじゃないですよ」

「暗いし」

「日本中のどこでも暗いところはありますから」

「さすがNASAと感心して、1000円払って帰ってきた」

「それただの、月博物館みたいなところじゃないですか」

「月の石、お土産に持って帰ってきたから、はい、どうぞ」

「俺に?いいんすか?」

「いつも世話になってるからね、どうぞ」

「ありがとうございます、大切にします、これ、軽いっすね」

「やっぱり月だから、引力の関係でね、軽いんでしょうね」

「発泡スチロールの匂いばんばんしてますね」

「月の匂いさ」

「もう、このロマンチスト」

赤シャツのタクシン派

2010-09-21 | リッスン・トゥ・ハー
だいたい赤シャツはいけすかない。性に合わない。はっきり言えば俺は奴がキライだ。だからといって、邪険には扱わないし、社会人なのだから、命じられればともに仕事はする。しかし、赤シャツの奴は違う。あからさまに俺のことを煙たい目で見る。波だなんか流した振りをしている。そういうところが赤シャツは子どもだ。まるで子どもだ。子どもなのに俺の上司なのだから始末に負えない。いっそのこと俺に三行半を突きつけてくれればそれですっきりするのに、そうはしないで、嫌がらせをし、徐々に追いつめていく姿勢が気に入らない。いつか、懲らしめてやらねばならないと俺は思っている。その機会は意外と近いのではないかと思っている。なぜなら俺の我慢の限界がもうすぐだからだ。俺の我慢の限界すなわち攻撃開始の合図だからだ。それに耐えているのはひとえに故郷にいるタクシンのためだ。俺が赤シャツに食って掛かり、ぶん殴ってくびになってしまえば、タクシンは悲しむ。俺はタクシンに育てられ、今もタクシンだけが俺を支持しているから、タクシンの信用まで失ってしまうことは、避けたい。だから俺は赤シャツへの怒りを抑える。おさえるために温泉につかる。温泉につかれば疲れや怒りや様々な感情が癒される。俺は温泉が好きなのだ。それほど長くつからずに、みず風呂も大いに利用し、ほかほかしている状態で風呂上がりにコーヒー牛乳を流し込めば喉がごくごくと鳴り、非常に気持ちがいい。これがあれば生きていける。タクシンに手紙でも出してやろうという気になる。あまり心配させたくないので、いいことばかりを書いておく。こちらは問題ない、安心して暮らしてくれ。これぐらいでいい。あまり書きすぎるとつっこまれるから。俺はタクシンに手紙を出して、宿に帰る。今日は早めに寝よう。忘れてしまおう。

犬21匹もう飼えない

2010-09-20 | リッスン・トゥ・ハー
「もうね、10匹超えた時点で限界だったんですよ」

「そうでしょうね」

「部屋のひろさには限りがあるんだから、犬犬犬で人間のいるところもない」

「それらに分け隔てなく餌をやらなければならないしね」

「そう、餌は大切です。捨て犬を引き取るのはいいんですけど、餌を与えないといけない」

「生き物ですから大変ですね」

「大変です、糞や尿もするわけですからね、その始末もこちらでするわけです」

「21匹いたら、それはもうお祭りでしょうね」

「お祭りですよ、毎日がわっしょいわっしょい」

「楽しい?」

「楽しいじゃないですよ、餌祭、糞祭、尿祭、誰がやるのそんなのいったい」

「そうかあ、でもどうしようもないですものね」

「そう、間に合わない糞や尿のせいで、ご近所さん激怒」

「深刻ですね」

「さあ、どうしようか、もともと殺傷処分されるのが忍びないんで引き取ってたんですけど」

「殺傷処分でも仕方ないんじゃないですか」

「それはポリシーに反するわけ、それをしてしまうとこの団体の意味がないわけ」

「難しいところですねえ、現実の問題とポリシーの問題と、その折り合いをうまく付けないと」

「そう、だから考えました」

「いい案がありましたか」

「聞いてください、犬に選挙権を与えるんです」

「突飛だなあ」

「選挙権を与えてしまうと、犬たくさんいますからね日本中に」

「そうですねえ、一家に一匹ぐらいの勢いですねえ」

「次の選挙には犬も出てきます」

「日本中の犬の支持があれば、怖いものなしですから、あるいは出てくるかもしれませんね」

「犬の政治家が増える、そして犬は独立するのです」

「ペットからの解放」

「犬は北海道の余っている土地に移り住みます」

「壮大な計画」

「富良野わんわん王国と名付けます」

「ムツゴロウ?」

「そこで自活するわけです」

「将来的にはいい案かも知れません」

「でしょう」

「しかし時間がかかります」

「うん」

「それまでにもたくさんの犬がここにやってきます」

「うん」

「受け入れられなくなり殺傷処分になります」

「それは仕方ない」

「割り切っている」

「できる範囲でやりましょうよ」

「この現代人!」

海老蔵の義理の姉になりました

2010-09-20 | リッスン・トゥ・ハー
「大変ねえ」

「そうでもないですよ、お手伝いさんがいるから家事しなくていいし」

「精神的に」

「いやいや、みんないい人ばかりだから」

「そっちの世界はやっぱりいろいろ独特の習慣があるんでしょ?」

「まあ、それはありますね」

「毎朝海老蔵を赤く塗ってるんでしょ?」

「塗りませんよ、海老じゃないんですから」

「塗らないの?じゃあ海老蔵の海老たる所以はどこなの」

「ただ名前がそうなってるだけですって、海老たる所以なんてありませんって」

「しかし、それだと海老が黙ってないでしょう」

「海老が?」

「群れをなして襲ってくるでしょう」

「きませんし、きたとしても広い屋敷に住んでますので海老の群れ無勢ではびくともしませんわ」

「あなたはまだ海老の本当の実力に気付いていない」

「は?」

「怒った海老をなめてはいけない」

「いや別になめてませんけど」

「海老は闇に乗じて屋敷に侵入するわ」

「なんと手慣れた感じ」

「海老だからって赤いものだけに注意してたらダメ」

「幼稚園児じゃないんですから、それだけに注意しませんよ」

「海老は侵入するときちゃんと黒装束を着てるから」

「忍者じゃないですか」

「いいえ、忍者じゃない海老」

「意外と冷静」

「海老は自分の姿を見たものを残さず抹殺するから気をつけて」

「たちの悪いやつですね」

「それが群れでくるから、悪いことは言わない、赤く塗りなさい」

「海老蔵さんをですか?」

「そう」

「わかりました」

「いや、赤く塗るとなると、海老蔵も黙っていない」

「海老蔵さんが?」

「そう彼はプライド高い男、赤く塗られるなんて耐えられないはず」

「そうでしょうね」

「対決ね」

「海老と海老蔵さんの」

「壮絶な戦いになるでしょうね」

「我々はそれを記録する必要がある」

「後世に残す必要がある」

「専門のクルーを伴って撮影しましょう」

「合点承知」

温泉/言葉にならない、笑顔を見せてくれよ/くるり

2010-09-20 | 若者的図鑑
軽いタッチで好感度をあげようと狙ってきます。

温泉。みんな大好き。あーあ、あちちのち。
アコースティックギターでの軽やかなコード進行が、そうだ温泉へ行こう、とわたしたちを駆り立てる何か。

忘れた一瞬で忘れたんですからいいんです、ややこしいことをは忘れて。愛の力ですよ。
べっぴんさんだよ。夜空だ、上、願い事かないそう。
かなうわけないよ、かなうわけないけれど、まあいいんですよ、この歌は、現代版ばばんばばんばんばんあーびばのんのん、なんでしょうよ。といったら言い過ぎか、いや、そうでもないですよ。

ベースが骨太なんで、意外とね、ちぐはぐ感を味わえます。
細かいことは気にしない、わかちこわかちこ。

あ!のぼせたぞ、もう、長い間つかってたもんだから、完全にのぼせ上がってさあ大変ですよ。
はやくあがろうか、眠ろうか、さあ、一緒に眠ろうか、とわたしはつぶやくのです。

ロッテ、鬼門の仙台で

2010-09-19 | リッスン・トゥ・ハー
ロッテは仙台に入る前からすでに不調だった。やることなすこと空回りだった。頼んだピザにはタバスコがついていなかった。悪いことは重なる。ロッテが仙台でまずしたことそれは、洋服を買うことだった。洋服をいれたトランクは盗まれてしまった。そんなに治安の悪い地域ではない。仕方なくロッテはユニクロで一式そろえた。あのマネキンがきとるやつを全部ください、と言うと店員は面倒くさそうな顔をした。あからさまな店員はまだ入りたてなのか、長い時間かけて店内からその一式を持ってきた。全部で2万円ですね、と言った。ユニクロでそんなにも高いと思っていなかったロッテは思わず財布の中身を見た。どう見積もっても5000円しかなかった。仕方なく特売品のジャージ上下を買うことにした。1000円だった。店を出てロッテは何か食べようと思った。仙台だけに牛タンがいい、と思ったが財布には4000円しかなく、牛タンを食べてしまうと安くあげても1000円ほどしか残らない。しかしそこで牛タンを食べるのが男爵の宿命だと考えた。男爵であれば金がなくとも牛タンを食べるべきであった。店に入ると、店員がロッテの全身をじろじろと見た。いかにもロッテの風貌は、ヒッピーのそれだった。ロッテは金を出してこれで食べられるだけの牛タンを、と店員に命じた。あまり関わると良くないことが起こると店員は考えたのかもしれない。素直に奥に引っ込み、3000円分の牛タンを持ってきた。それをね、焼いてね、煮てね、食った。うまかった。ロッテは満足して店を出た。風がやけに冷たかった。

おニャン子×AKB48

2010-09-19 | リッスン・トゥ・ハー
戦争だ。全面戦争だ。若さと数で圧倒する48と、老成した味わいと百戦錬磨の経験で応戦するおニャン子。互いに一歩も譲らぬ意地の張り合いとなった。精神的に負けたら、もうボロボロと攻め込まれて、血祭りにされる。血祭りはいやだった。嫌すぎる。血祭りですよ、血の祭ですよ、どうします、あなた。鼻からすごいでてるよ、鼻から。鼻だけじゃないよ、口からも、耳からも臍からも性器からも肛門からも、穴という穴から血が吹き出てるよ。噴水みたい、それが血祭りだ。各地から血が集まってきて、踊り狂うのが血祭り。踊り狂って、吹き出す。サンバのリズムでふしゅうふしゅうと吹き出す。楽しくってたまらないけれど、吹き出すほどにふらふらしてしまう。体中の血がなくなっていくのだから、このままいけば出血多量により、心肺機能停止、機能不全となってしまう。そうなればもうしゃべることも食べることも見ることも聞くこともその他多くのことができなくなってしまう。だから止血しなければならない。止血するには吹き出ている部分にガーゼを当てておさえる。おさえないといけないのだが、おさえるべき手は1本しかない。だからおさえることができない。その間にもどんどん吹き出していく。吹き出し続けると有利なのは48、なんと言っても数いるから、おニャン子は現在は10人以下、同じだけ吹き出すと先にいなくなるわけだ。

目玉のおやじ/言葉にならない、笑顔を見せてくれよ/くるり

2010-09-18 | 若者的図鑑
レレレのレの次だからでしょうか。

案外そうかもしれません、そういう遊び心がくるり。
イヤ確実にそうです、そこから着想を得ているに違いない。

さよならアメリカの次だから、アメリカのやろうなんざさっさとさよならしてしまい、目玉のおやじと戯れるのです。
なんでもありです。骨太なロックンロールだ。

基本的にシンプルな本作は、基本的には3人で奏でられる限界にちょうせんしたみたいなところでしょうか。
なんなら一発録りでいいじゃない、勢いついていいじゃないと、突っ走っていきます。
目玉の親父はあっさりしてしやがる。富士には月見草がよく似あう。全く綺麗だと思った。娘さんの心が綺麗だと思った。だからわたしはああ、本当に綺麗だとつぶやいた。娘さんはしきりにうなづきながら胸を張っていた。
目玉のおやじもない胸を張っていた。バランスを崩して後ろに倒れてしまいそうだ。

いや、意味あること言ってませんよ、知ってますよ、知っててあえてそうしてるんですから。
そういうものでしょうブログってのは。そうに違いない。

人間型ロボットHRP―4

2010-09-18 | リッスン・トゥ・ハー
HRP-4、愛称みゆきさんは人間に限りなく近いロボットだった。基本的な機能は人間とほぼ同じだった。食べる飲む吐く排泄する泣く怒る笑う、人間の感情の部分も機能として組み込まれており、また、見た目もロボットではなく、かすかに人工的な香りがするものの、変わり者の子なんやね、と思う程度でほとんど気にならなかった。これならば人間社会にとけ込めるのではないかと思われた。実験的に新聞配達員として働かせてみた。みゆきさんは文句一つ言わずに新聞を配り続けた。正確に、寸分の狂いもなく、時間通りに新聞は各家庭に届けられた。やった、これさえあれば人間がぞんぶんに怠けることができるぞ、と思われた矢先、事件は起こった。みゆきさんが恋をしたのだ。人間らしい感情を備えているみゆきさんが恋をしたのは、新聞配達所の主任だった。主任は容姿が良いわけでもなく、性格が良いわけでもなく、しかし家庭は持っていて、妻と2人の子どもと暮らしていた。特別みゆきさんに対して優しくしていたわけではない。どうしてみゆきさんが主任に恋をしたのか、全く謎のままだった。ひとつに主任の息にあるのではないかと想像された。というのは主任の好物は餃子で、毎晩それを食べていたせいで、主任の息はどぶ川のそれ、と噂されることもしばしばあった。本人も、餃子のためなら女房も泣かす、と高らかに歌い上げていた。みゆきさんがまだ研究所にいる頃、妙なデータがあった。それはにんにくの匂いへの執着であった。どの回路が影響しているのか、全くわからなかったが、日常生活を送る上でほぼ問題はない、との判断からそのデータは参考程度にされた。とにかく、みゆきさんは主任のことで胸がいっぱいになり、仕事が手につかなくなった。配達先を間違えることが多くなった。そのあからさまな変化から、ほどなくして主任はみゆきさんが自分に気があると気付く。主任も悪い気はしない。みゆきさんがロボットだということは知らない。そうは見えない。みゆきさんは人工に作っただけあって、人工的な美人であった。そんな美人から好意を寄せられたことはない。舞い上がった。主任も仕事が手につかなくなった。ある日、ふたりは逃げた。誰も知らない町で一緒に暮らします、との置き手紙があった。ある意味成功じゃない、人間に限りなく近いんだから恋したわけでしょ、と研究所の若手がつぶやいた。