リッスン・トゥ・ハー

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うどんと素うどん

2006-11-15 | リッスン・トゥ・ハー
うどんは嘘つきだ。だって自分はアラブの石油王だと言い張るし、実家に帰ったら30人の召使がいて、とても美味しく茹でてくれるんだと言うから。刻み葱とてんかす散らして汁に沈んでいるうどんが石油王なわけない。身の程をわきまえろと、天麩羅によく言われる。もう誰もお前の話なんか信じない、弁護士の俺が言うのだから嘘ばかりついていると痛い目に会うぜ。実際うどんの話を誰も信じていない。かまぼこも油揚げも七味唐辛子も一味唐辛子だって、やっこさんまた言ってるよ、と内心ばかにしている、たった一人を除いて。素うどんは鈍い。良く言えば、純真で疑う事を知らない。素うどんは、うどんの話を聞いていいるだけで、コシがでてくる。素うどんにとってうどんは憧れの的だった。自分とは違う見たこともない世界を教えてくれる教師だった。何よりうどんが好きだった。

僕は能力者でうどんがのどにするすると入っていく瞬間彼らの記憶が僕の脳裏に。


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6 コメント

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土鍋にとっては (三四郎)
2006-11-16 21:48:14
土鍋としては、うどんはただ見栄っ張りなだけの扱いやすいやつだと思っている。がたがた言ったら「でん」と押さえつけてしまえばいい。すぐに腰がなくなる。その点、素うどんは手ごわい。初心な振りをしているがどうしてなかなか。なにより自分には安いどんぶりがお似合い、といって土鍋に近寄ろうとさえしないのが、小面憎い。そんな素うどんが、どうしてうどんに憧れるのか、土鍋にはその辺がわからない。
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ぽん酢にとっては (なゆら)
2006-11-17 20:28:56
ぽん酢としては、うどんも素うどんもごちゃごちゃ言わず、しっかり絡まって欲しいと思っている。一度試して欲しい、一度で良いから私ぽん酢を試して欲しい。だまされたと思って試して欲しい。私ってぽん酢ってすごいから。もっと、世に知って欲しい。だからもっと自分を出していこうと思う。でも何も言わないし、何もしない。だって所詮被食者なのだから。
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Unknown (三四郎)
2006-11-18 22:53:54
そんなぽん酢に密かに思いを寄せているのが、刻み葱だ。刻み葱には、自分は誰にとっても欠かせない存在だという思い込みがある。それにしてもぽん酢に寄せる思いは尋常でない。俺がいなくちゃだめだ、いつでも一緒にいなきゃだめなんだという、これはもうストーカーに近い信じ込みがある。
ぽん酢は、最近すこし鬱陶しくて、ゆずにいろいろと相談しているようだ。
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すみません、つい (三四郎)
2006-11-18 22:57:17
物語の腰を折りまくりですね。これは外伝として、本編を心置きなく展開してください。つい、調子に乗ってしまってます・・。
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Unknown (なゆら)
2006-11-19 12:14:01
外伝を興してくれて感謝です。
土鍋もぽん酢も刻み葱だって生まれて初めてスポットライトを浴びたといって喜んでいるはずですよ。

食べ物裏ストーリーシリーズでまたやってみようと思いました。
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Unknown (なゆら)
2006-11-19 12:21:15
ぽん酢がゆずに相談する。ゆずは決して自分を飾らないし、とてもあっさりしている。ぽん酢もゆずのそういうところがとても好きで、でもそれは友達として好きなわけで、愛情ではないし、と思っていた。でも回数を重ねるごとにそこに愛情が混じりだす。ゆずのほうも本当はぽん酢のことが好きだった。それをうまく隠していたのだが、もう、隠せない、隠せない。ああ、隠せないよ。この想い。

正月、煮干のところに年賀状が届く。
「僕たち結婚しました、そして、子どもが生まれました」
ふたりの満面の笑顔の真ん中で笑っているゆずポン。
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