夏木広介の日本語ワールド

駄目な日本語を斬る。いい加減な発言も斬る。文化、科学、芸能、政治、暮しと、目にした物は何でも。文句は過激なくらいがいい。

ちょっと気が付いた事

2009年04月25日 | 社会問題
 東京の玉川高島屋が配管のミスで汚水を多摩川に流していた事件があった。テレビで見た高島屋側の記者会見では、「申し訳ありません」に類する言葉が一言も無かった。挙げ句には、「迷惑を掛けていない」である。本家の日本橋高島屋の建物が重要文化財に指定されたと聞いたばかりなのに、「仏造って魂入れず」の見本みたいだ。先日この重文指定で、「東京都の重要文化財」と言ってしまったが、「国の重要文化財」の間違いでした。御免なさい。

 古い話になるが、謝らない事で思い出した。生命保険会社の第一生命は20年間、配当金を支払っていなかった事が判明した時、コンピューターのミスだった、と言い訳をした。同社ではこの技術革新の著しい時代に、20年間も同じコンピューターとシステムソフトを使い続けていた、と言う訳だ。
 それにしても、延べ何万件か何十万件か知らないが、そのどこかで、あれ? おかしいぞ、と言う事態に必ず出くわすはずだと思うのだが。まあ、配当金の支払いだけがミスだったとしても、ほかの作業がよく無事で出来たもんだと感心する。
 
 4年前の福知山線の脱線事故の命日が巡って来た。遺族が悲しみの言葉を述べるのをテレビのニュースで見たが、こうした姿は何年経っても変わらないだろう。その深い悲しみは我々にだって分かる。それが取り返しのつかない事であるのもまた分かる。しかし、我々には分からない事がまだたくさんある。
 その一つが、遺族や被害者への補償や対応はどうなっているのか、である。事故から1年とわずか過ぎた2010年の5月8日、事故で入院していた全員が退院した、との能天気なニュースが朝日新聞に載った。最後の一人が20歳になる女子学生で、頸椎を損傷し、両足に麻痺が残った、と記事は伝えていた。麻痺の程度がどうなのかは、記事には無かった。まるで、「おめでとう」と言っているように思えて、私は実に嫌な気がした。
 NHKの特別番組では、事故の対応について遺族とJR西日本が対立している、との報道もあるのだ。
 本当に事後処理はどうなっているのか。それが是非とも知りたい。

 日立の100%子会社が省エネを売り物にしていた冷蔵庫で表示を偽装していた事が発覚した。そして同社は社内の連絡ミスが原因だと弁解した。更には、性能には問題は無いので回収はしない、と言った。
 たとえ本当に社内の連絡ミスだとしても、今度はそんな簡単な連絡が出来ないのか、と言う事になる。それでは「技術の日立」の名前が泣く。結果的には嘘をついて消費者を騙した事になる。回収はしなくても良いだろうが、「申し訳ありません」と謝るのが筋である。社内の連絡さえミスがあるような会社の技術に信頼が置けないのは当然である。

 すべて自分の非を認めない事によって、墓穴を掘っている。みんな、単純ミスではないのだから、考える所あっての所業だろうから、簡単に謝って済む問題ではない事は分かっている。それでも、まずは謝る事から始めなければ、自らを窮地に追い込んでしまう事にもなる。可哀想にそんな事も分からないのである。
 謝罪は最低のルールである。謝って、その上で、どうしたら被害者にその損害の補償が出来るのかをきちんと考えるべきなのである。マスコミの報道はそこまできちんとやるべきだろう。少なくとも、公然猥褻で騒ぐよりも、そのほかの事件でのきちんとした事後の追跡調査をするべきである。単に騒ぐだけなら素人にだって出来る。