夏木広介の日本語ワールド

駄目な日本語を斬る。いい加減な発言も斬る。文化、科学、芸能、政治、暮しと、目にした物は何でも。文句は過激なくらいがいい。

八ツ場ダムが無くての50年間を考える

2009年10月28日 | 社会問題
 群馬県の八ツ場ダムについて、国交相が科学的根拠がはっきりしないと言った事に対して、工事を中止する根拠もまた明確ではない、と噛み付いた人達がいる。民主党のマニフェスト自体が曖昧だ、と言う人も居る。なるほどと思っていたら、今日、テレビで高木美保さんが、50年経っていてまだ完成していないのに、その50年間、災害は起きていない、と言った。私は頭をガーンと殴られたような気がした。
 そう、地元民は50年以上も苦労をさせられて来て、今更中止は無いだろう、と怒るし、首都圏の知事達も今までに出させられて来た資金を考えると中止はあり得ない、と言う。そして都知事はダムが出来れば水利にも役立つし、と言っているが、今現在、このダムが無くて水利に困っているとの話はなぜか聞かない。

 災害を防ぐために、水利に役立つように、とこのダムは計画されたはずである。災害は大型台風による体験がある。二度と繰り返されてはならない、との気持は分かる。だが、その科学的根拠としては、既に、ダムが出来ても大型台風による災害は防げない、との科学的証明がなされている。これをでたらめだ、と言うのだろうか。
 そして切羽詰まった工事だったはずなのに、何と50年以上も掛かって、まだ完成していない。そして、その間、これと言った不都合は起きていないらしい。この50年間、ダム無しでも困らなかった。だからこれからの50年間も困りはしないだろう、との考え方と、いや、これからの50年間に困る事が発生する恐れがある、との考え方の二つがある。しかし今までの日本に、こうした50年、100年先を見通しての考え方がされた事があるだろうか。建物だって、耐用年数は50年以下である。50年も経てば、いずれは壊してしまうに違いない。そこに50年先を見据えた考え方があるとはとても思えない。

 東京タワーは1958年12月23日に完成した。50年経った現在、その電波塔としての役目は終わりつつある。その役目は東京スカイツリーに受け継がれる。もしも東京タワーが50年掛かって完成したなら、出来た時には既に役に立たない物になっている訳だ。
 だから、東京タワーを50年掛かって建設しようなどと素っ頓狂な事を考える人間は居ない。なのに、八ツ場ダムは違う。一つだけはっきりしているのは、八ツ場ダムには巨額の費用が費やされている、それは国民の税金であり、工事関係者達はそのカネで潤って来たし、これからもそうだ、と言う事だ。
 何かみなさん、大きな勘違いをしているのではないだろうか、と思われて仕方がない。

2 コメント

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Unknown (流螢)
2009-10-29 08:51:52
 八ツ場ダムの建設中止に関して、「地元住民」で反対しているのは、自民党・公明党系の議員や建設業者らであって、あれを50年にも及んで「作りつづけている」ことで利益を得ている連中なのです。
 日本でダムが必要になっている(?)現状というのは、森林の管理の失敗です。端的にはスギの植林が大きく影響しました。単一種(スギ)の植林のため森林の保水力がなくなり、大雨が降ると、一気に雨水が地表を流れてしまい、川が増水し、洪水が発生するのです。だからダムをつくらざるを得なくなりました。そのダムも自然の摂理に反しているので、いくらも経たぬうちに山からの土砂で埋まってしまい、また下流にダムを造らざるを得なくなります。八ツ場ダムもそういうものです。
 江戸時代にはあまり記録もないのでしょうが、大洪水や土砂崩れは起きていないはずです。それは山林が自然の植生だったから保水力があったのです。山が水を貯めてくれたので、大雨が降っても大洪水にはならずに済んだわけです。
 その自然の植生を壊して、スギを一面に植えたからこそ、洪水が増え、大災害になるようになったのです。 
 スギは必要だったとは思いますが、あまりにも金儲けのために植え過ぎ、また計画性がなかったのです。
 脱ダムは根本的には、森の植生をできるだけ自然に戻すことからはじめなければなりません。
 しかし、そんなことを政治家が言えば、多方面の業者から死活問題だと言われ、落選してしまいますから、言えないのでしょう。

 マスゴミは、ダム建設中止に反対し、地元民でさえ民主党に怒っているなどと報道しますが、マスゴミがそういうのなら、正しいのはマスゴミの言うことの反対なのです。マスゴミは決して民衆の味方ではなく、権力の宣伝ツールですから。

 ご参考までに、以下のサイトをご覧ください。
 http://www.asyura2.com/09/senkyo73/msg/629.html
 http://www.asyura2.com/09/senkyo72/msg/265.html
 http://www.asyura2.com/09/senkyo72/msg/779.html
 
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まさにその通り (夏木広介)
2009-10-30 17:37:08
 杉を植林し過ぎたのは農林省の不手際だそうです。杉を育てれば良い金儲けになる、と言って農家の尻をひっぱたき、農業から林業へと転換をさせた。けれども、杉がカネになるのは何十年も先の話。その間、農家には一銭も入らず、杉が育ってやれやれと思った時には外国から安い木材が入って来た。農業は誰も継ぐ人がおらず、農地は興廃。
 それでも農林省は成果を約束した訳では無い、と知らん顔を決め込んだ。
 一体、国はどこまで国民を苦しめれば気が済むのか。それに同調している奴らは、ほんと国賊ですね。
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