夏木広介の日本語ワールド

駄目な日本語を斬る。いい加減な発言も斬る。文化、科学、芸能、政治、暮しと、目にした物は何でも。文句は過激なくらいがいい。

日水のズワイガニいんちき表示商法

2009年06月16日 | 社会問題
 日水が紅ズワイガニをズワイガニだと偽って表示していた問題は、承知の上での事だ。なぜって、食品会社がそんな初歩的な事を知らないはずが無い。いや、知ってましたよ、でもね、どちらもズワイガニの種類だからそれで良いと思ってたんですよ、と言っている。
 馬鹿を言うんじゃない。ズワイガニと紅ズワイガニが全く別の物である事は我々だって知っている。何しろ、見た目が大いに違う。紅ズワイはその名の通り、赤いのだ。それに味だって落ちる。だから私は紅ズワイなど買わない。もちろん、値段はずっと安い。
 まあ、あまりカニに興味の無い人は分からないかも知れない。でも街の魚屋だって、きちんと両者を分けて売っている。どこから同じ種類だから良いではないか、との発想が生まれるのか。
 もちろん、これは単なる言い訳である。当人達はきちんと知っていて、だから儲けが大きくなるから紅ズワイを使っている。コロッケに入っているカニがそんなに旨い訳も無い。かにしゅうまい、と言ったって、「おっ、カニだ」と感激したりなどしない。そう言えば、何となくカニの感じがするなあ、と言った程度である。だから「ずわいがにコロッケ」にめくじら立てる事も無いと言えば無いのだが、商売にしているからにはそうは言えない。
 客がカニの旨さを感じる事と、生産会社が旨いカニが入っていますよ、と宣伝するのとは大いに違う。

 これは明確に「詐欺」である。しかしそこは一流会社は言い訳がお上手である。「法令確認を怠ったミスだ」と言っている。確かに法令確認を怠っている。だが、それはミスではない。承知してやった事だ。
 そうでなければ、法令には紅ズワイガニをズワイガニと称してはいけない、との文言がある事になる。果たしてそんな初歩的な文言があるのか。そしてズワイガニと紅ズワイガニは分類学的にきちんと分けられているのか。
 もしも法令でズワイガニと紅ズワイガニの区別がきちんとされていなければ、法令を確認しての上でなら、紅ズワイガニをズワイガニと称しても良い事になる。そんな事が許されるだろうか。

 水産業者にはとっくに周知の事実である。だから値段だって紅ズワイガニはズワイガニの十分の一ほどの安値なのだ。これは法令とは全く関係が無い。関係があるのはただただ、「良心」である。もちろん、それ以前に「常識」である。
 こんな会社は本当は食品製造に関わってはいけないのだと思う。この会社は多分、タラバガニと偽ってアブラガニを売るのでしょうね。
 繰り返すが、食品の知識が無い者が食品を製造してはならないのである。そしてつまらない道理の通らない言い訳をした事で恥の上塗りをしてしまった。多分、消費者の信頼は大幅に下落したと思う。麻生内閣と自民党どころの騒ぎじゃない。

 結局、みなさん、引き際が汚いから、どうしたって根性を疑られてしまう。そしてその心根は本当に汚いのである。