重々しい引き戸を開ける。
玄関の上がりがまちの奥に、一目で酒蔵と思える重厚な扉と錠前。
左手の木の階段を上がる。
トン、トン、トン、トンと響いたスリッパの音は、広い空間を流れる音色にかき消された。
誰の歌声か不明だったが、「アメイジング・グレイス」の美しい歌声。
Amazing grace how sweet the sound
That saved a wretch like me.
I once was lost but now am found,
Was blind but now I see.
アメイジング・グレイス
何と美しい響きであろうか
私のような者までも救ってくださる
道を踏み外しさまよっていた私を
神は救い上げてくださり
今まで見えなかった神の恵みを
今は見出すことができる
雨上がりの夏の日、
誰もいなかったのが幸いした。
外観は、まったりとした夢心地に私を誘う。
四方を囲んだ書棚。沢山の蔵書。
ソファに身を任せて、お気に入りの本を読んでいたい気分。
食べられる木の実の絵。
ガマズミ、コバノガマズミ、ナツハゼ、アケビ、ミツバアケビ、ヤマボウシ、サンカクヅル、ヤマブドウ、サルナシ、エビヅル。
サルナシを食べてみたかった。キウイの味がして美味しいとか。
ヤマボウシも美味しい。熟すとすぐに落下。山では滅多に出会えない。
校庭のヤマボウシを拾ってきて、中島みゆきのCDジャケットの上に乗せ、デジカメで撮ったことがある。写真で遊ぶ面白さに気づいた頃だ。
脱線するが、ここ何年来、好きな歌い手は中島みゆき。彼女のスローバラード・・・
こんな空間で、一人だけで聴いていたい。
寄り添う風
理由もなく会いたいのに 理由を探してる
会わなければならないのと 理由を探してる
人恋しさは諸刃の剣
かかわりすぎて あなたを苦しめるくらいなら
寄り添う風 それだけでいい あなたの袖を揺らして
寄り添う風 それだけでいい 私は彼方で泣く
寄り添う風それだけでいい あなたの袖を揺らして
寄り添う風それだけでいい 私は彼方で泣く
肌寒い、夏の雨上がりの日、
口ずさむだけで、しんみりしてくる。
よいしょと、心を持ち上げる。
天然ドライフラワーの絵。
ヤマユリ、サルトリイバラ、シシウド、オオウバユリ、カラスウリ、エゾアジサイ、ツルウメモドキ、ノイバラ、オヤマボクチ、ワレモコウ。
ワレモコウ・・・好きな花。
八海醸造 八蔵資料館入り口。
また、来たい「空間」になった。
テーブルの上に置かれたノートに、「〈さとや〉や他の場所は教えるけど、絶対誰にも教えない私の空間になりました。大学のレポ書きや読書に来たいです」と、来訪者が書いていた。
魚沼の里 遊歩道。
樹木はまだ若木だが、秋もいいだろうな。ナナカマドが色づき始めたという。
静かな秋を満喫しに来たいものだ。
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