議会雑感

国会のルールや決まりごとなど、議会人が備忘録を兼ねて記します。

会期途中における会派解散と結成

2016-03-06 | 雑感
今開かれている第190回国会は、今年1月4日に召集されました。

もちろん、召集にあたっては、昨年12月から議院運営委員会理事会で召集協議が行われ、その中では常会に臨むため会派を届け出の確定期限を設定するなど、常会をスムーズに迎えられるようにしてきました。

理由は、会派の陣容が確定することで、控室や常任委員等の割り振りが明確になり、一会期内での院内の活動範囲が確定することができるからです。

しかし、参議院においては、「常会冒頭における新会派結成」で紹介したとおり、常会召集から3日しか経たないにも関わらず、1月7日に新会派が結成されたのです。

そして、今度は、3月4日、新会派の結成から2か月経たずして、その新会派の解散届が出され、新会派を結成した2つの会派が元に戻るための結成届が出されました。

つまり、別々の会派が常会召集直後に統一会派を結成したものの、2か月経たずして同会期内に統一会派を解消し、元の別々の会派に戻ったということですが、結果として、様々な側面において院全体を振り回したことになり、拙速であった感は否めません。

というわけで、今回の解散・結成届出に伴う参議院の会派と所属議員数のグラフ(筆者作成)を掲載します。
             
             参議院の会派と所属議員数(平成28年3月6日現在)


国会事務局-その1

2016-02-23 | 雑感
国民の代表による議論を通して得られた結論に基づき、国の将来を決定するのが「議会制民主主義」です。

「議会制民主主義」は所与のものではなく、数えきれないほどの多くの先人が、その実現を目指して奔走した結果、勝ち取ってきたものです。

そして、国会法や議院規則はもちろん、先例はこれまでの議事運営の積み重ね、議会の先人たる諸先輩の知恵の結果ですから、これらを十分に尊重しながら、「議会制民主主義」を体現していかねばなりません。

国会事務局は、この「議会制民主主義」を支えることを使命としており、運営面から本会議・委員会をサポートする会議運営部門、内容面からサポートする調査部門、院の活動を多角的にサポートする総務部門の3部門で成り立っています。

それぞれの機能を最大限発揮し、また相互に連携することにより、院及び議員の活動を補佐し、公正かつ円滑な議会運営、充実した審議の実現を図ることを通して、「議会制民主主義」を支えるという使命を、国会事務局は果たしているのです。

かつて、議長や委員長の権限の下に明確に位置づけられていた国会事務局の補佐機能は、会派との直接的な関係の色合いが濃くなる中で、その中立性の在り方が問われる場面が増えてきたことは否めない側面です。

だからこそ、国会に身を置く者は、ひとりひとりが議会人としての矜持を持ち、法規・先例等に則り、議員に対し的確な情報提供を行うこと、そして何より大切なのは不偏不党の立場で職務を行うこと、これこそが「議会制民主主義」を守るために、今、求められていると痛感しています。

色々見えてくると、その分、あえて黙っていることも増えますが、実は知っていたり、見えていたりすることが意外と多いんですよね・・。

以前も書きましたが、どんな局面に立たされようとも、私は議会人としての矜持を持っていたいと思います。

公職選挙法の規定とダブル選の可能性

2016-02-15 | 雑感
今回は、第190回国会(平成28年/2016年)の会期と公職選挙法の関係から読み解ける、衆参ダブル選挙の可能性とその期日について見てみたいと思います。

まず、前提として、現在開会中の国会の会期末と、この夏から適用される18歳投票の適用条件、衆参議員選挙の要件を確認します。

[国会の会期末と18歳投票の適用条件]

○現在開会中の第190回国会の会期末:6月1日
○18歳投票の適用:公示が6月19日以後

[衆参議員選挙の要件]

○参議院議員選挙:公示から投票日まで17日間
○衆議院議員選挙:解散から40日以内に投票
○衆議院議員選挙:公示から投票日まで12日間

上記の点が、今回のダブル選挙の行く末を占ううえでの前提条件です。ちなみに、今年改選の参議院議員の任期満了は7月25日です。

で、ここからは、公職選挙法の規定に基づき仮定を立てます。

○公職選挙法第32条

1項 参議院議員の通常選挙は、議員の任期が終る日の前30日以内に行う。

2項 前項の規定により通常選挙を行うべき期間が参議院開会中又は参議院閉会の日から23日以内にかかる場合においては、通常選挙は、参議院閉会の日から24日以後30日以内に行う。


上記1項に基づく参院選の場合は、衆参ダブル選挙を仮定すると、会期内の衆議院の解散は、5月31日と6月1日の2日間しか選択肢がありません。

上記2項に基づく場合は、衆議院の解散は会期延長後の6月10日以降で衆参ダブル選挙が可能となります。

いずれの場合も、衆参ダブル選挙の投票日は最短で7月10日です。

ちなみに、仮に現在の第190回国会の会期が延長されたとしても、6月2日から6月9日の間に衆議院が解散された場合、公職選挙法の関係で、18歳投票の適用での衆参ダブル選挙は実施できません。

第190回国会における束ね法案-その1

2016-02-07 | 雑感
先日、「第190回国会における内閣提出法案(過去最少)」で、今国会の内閣提出法案数が過去最少であることを紹介しました。

今年は、第24回参議院通常選挙が予定されており、大幅延長が難しいことなども念頭にあると思いますが、過去最少となっている要因のひとつに、いわゆる「束ね法案」が関係していることも考えられます。

私は、立法府に身を置く議会人のひとりとして、行政府が法案を束ねて提出してくることにより、束ねられた中にどのような法案が含まれているか分からないことによる、国民への情報公開という観点、個々の法案の詳細な議論が制約されることによる、国会審議を形骸化しかねない観点等から、「束ね法案」について、これまで問題点を指摘してきました。

束ね法案と一括審議-その1
束ね法案と一括審議-その2
束ね法案と一括審議-その3
束ね法案と一括審議-その4
束ね法案と審議時間

今国会の内閣提出法案は、55本とされています。

うち、本則で3本以上の束ね法案は、実に20本にも上ります。

ちなみに、昨年の第189回国会の束ね法を幾つか紹介すると、「内閣の重要政策に関する総合調整等に関する機能の強化のための国家行政組織法等の一部を改正する法律」が92本、「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」が19本、「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律」が10本、「電気事業法等の一部を改正する等の法律」が7本という具合です。

上記でいえば、前者2法は束ねざるを得ない側面を持つ法案ですが、後者2法は、束ねることによって、詳細な議論が制約され、国会審議が形骸化された側面を持つものだったと考えます。

なお、全ての束ね法案が問題なのではなく、立法府の審議を形骸化させてしまう側面を持つ束ね法案が問題なのだと考えています。機会があれば、束ね法案のルールについて紹介したいと思います。

国会の予算

2016-01-24 | 雑感
○財政法第20条第2項
 
衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官、会計検査院長並びに内閣総理大臣及び各省大臣は、毎会計年度、第18条の閣議決定のあつた概算の範囲内で予定経費要求書、継続費要求書、繰越明許費要求書及び国庫債務負担行為要求書を作製し、これを財務大臣に送付しなければならない。

○財政法第21条

財務大臣は、歳入予算明細書、衆議院、参議院、裁判所、会計検査院並びに内閣、内閣府及び各省の予定経費要求書等に基づいて予算を作成し、閣議の決定を経なければならない。

今回は、国会自身の予算について少しだけ紹介したいと思います。

国会は、国権の最高機関たらしめるため、その権能を維持するための経費が必要です。衆議院も参議院も予定経費要求書等に基づいて予算案を作成し、閣議の決定を経ることになりますが、その前に国会の手続きを終える必要があります。

衆議院、参議院ともに来年度予定経費要求に関する手続きは、閣議決定前日の1月21日に終えています。

なお、その際、衆議院・参議院予算案のみならず、国立国会図書館、裁判官弾劾裁判所、裁判官訴追委員会の予定経費要求の手続きもなされています。

これらは、議院運営委員会理事会・庶務関係小委員会・図書館運営小委員会・議院運営委員会で審議されています。

衆議院は、庶務小委員会も図書館運営小委員会も会議録が存在するのですが、参議院に、これらの会議録は存在しません。

もちろん、衆議院の庶務小も図書小も懇談部分は伏せられていますが、懇談に入った時間と終わった時間が明記されていますので、議論の有無を推し量ることは可能です。

さらに衆参の違いを紹介すると、衆議院の場合、庶務小委員長と図書小委員長は、議院運営委員会の与野党筆頭理事が務めていますが、参議院の場合、議院運営委員会の委員の中から与野党一人ずつ選任する形をとっています。

国会の予算案は、詳細を眺めれば眺めるほど、色んなものが見えてきます。

委員長の権限(番外編)

2016-01-17 | 雑感
○国会法第48条

委員長は、委員会の議事を整理し、秩序を保持する。

○衆議院規則第66条

委員長は、委員会の議事を整理し、秩序を保持し、委員会を代表する。
※参議院に同趣旨の規則は存在しません。代わりに、参議院委員会先例録13に同趣旨の記述はあります。


かなり前になりますが、「委員長の権限」や「委員長の配分-その1」で委員長の権限について紹介しました。

今回は、委員長の議事整理権、秩序保持権のひとつと一般的に解されている写真撮影について、過去に起こった出来事と、昨年の開会中に気になった出来事を紹介したいと思います。

まず、委員会における写真撮影は、委員長の許可の下、認められているのが現状です。

平成15年3月11日 第156回国会
衆議院議院運営委員会院内の警察及び秩序に関する小委員会

          

下記は、委員会での写真撮影を、委員長の許可を得ずに行ったところ発生した事態です。ちなみに、許可を得ずに写真を撮ったのは、議員です。

平成21年1月13日 第171回国会
衆議院予算委員会

○委員長 
静粛にお願いいたします。静粛にお願いいたします。
委員長の許可なく写真撮影は厳禁とします。なお、委員長の許可なく撮影したものについては、フィルムを委員長として没収いたします。○○君。(発言する者あり)

諸君、静粛にお願いいたします。委員長の議事整理権に従ってください。
再度申し上げます。委員長の許可なくしてカメラの撮影は厳禁いたします。なお、撮影したフィルムは、委員長が直ちに没収します。
カメラを委員長のもとに、ここにお持ちください。
委員長は、直ちに、ただいま撮影されたフィルムを手元に没収いたしました。(以下略)
       
もちろん、議員でも許可は必要です。実際に、委員長の許可を得たうえで、委員会で写真撮影した議員を知っています。

前置きが長くなりましたが、昨年の開会中に、こんな写真を見つけました。
                
                      当該部分を拡大すると、↓です。
実は、この投稿、この後削除されましたので、委員長の許可を得ずに撮影されたのかも・・と思うと夜も眠れませんマイナ。

国会同意人事(番外編)

2016-01-12 | 雑感
○会計検査院法第2条 

会計検査院は、3人の検査官を以て構成する検査官会議と事務総局を以てこれを組織する。

○会計検査院法第4条 

検査官は、両議院の同意を経て、内閣がこれを任命する。

会計検査院は、検査官が3人と会計検査院法(以下、院法)によって定められています。

また、この検査官は、国会同意人事対象であり、なおかつ「国会同意人事-その2」で紹介したとおり、衆参議院運営委員会を開会する所信聴取・質疑の対象者ともされています。

しかしながら、その対象者である検査官1人が、昨年12月7日に任期満了、つまり任期切れを起こしており、本来3人いるはずの検査官が2人しか存在しない状態が続いています。

ちなみに、院法により、3人の検査官から会計検査院長を互選していますので、残された2人のうち、1人が検査院長、1人が検査官となっており、検査官会議が合議体としての機能を失っている状態なのです。

今回は、この欠員状況のみならず、検査官に欠員を生じている状況下で、検査院から国会に報告書が出されていた、ということを紹介したいと思います。

あくまで、これは昨年、行政権(内閣)が臨時会を召集しなかったことにより、このような状況を発生させてしまったことに対して、立法権に身を置く者のひとりとして思いを吐露するものです。

○会計検査院法第30条の2 

会計検査院は、第34条又は第36条の規定により意見を表示し又は処置を要求した事項その他特に必要と認める事項については、随時、国会及び内閣に報告することができる。


上記院法は、検査院が国会及び内閣に対し、「随時」報告することができると定めたものですが、上記により、昨年12月10日、国会に対し、2件の報告書が提出されています。
          

3人の検査官のうち1人の任期満了が12月7日ですから、直後の12月10日に報告書を提出することもなかったのではないでしょうか。もちろん、前段の手続きである検査官会議は、1人が任期切れを起こす前に3人で行われたものと考えます。

しかしながら、昨年、臨時会が開かれてさえいれば、このような事態は避けられたはずであり、かかる事態を発生させた行政権である内閣は、立法権に対して不誠実であり、院の構成をはじめとし、様々な側面において多くの弊害を生んでしまったということを強く認識すべきだと思います。

常会冒頭における新会派結成

2016-01-07 | 雑感
年末のエントリー、「現在の会派と所属議員数」において、衆参それぞれで会派の数と所属議員数が確定したことを紹介しました。

衆参の議院運営委員会理事会は、確定した会派と所属議員数に応じて、委員長や理事、院内の議員控室等の割り振りを年内中に終え、1月4日の第190回国会の召集日を迎えました。

1月4日の召集日は、1回目の本会議にて院の構成を確定し、国会がようやく始動したところです。

にもかかわらず、1月7日午前9時、参議院事務局に対し、新会派の届出が行われました。召集日から3日しか経っていないにも関わらず、です。

6人会派と5人会派が統一会派を組んで、10人以上になることを目指していたものと推測されますが、蓋を開けてみれば、新会派に集った議員は9人となりました。

参議院では、所属議員10人以上の会派が「院内交渉会派」と呼ばれ、議院の運営についての協議に参加できる資格、つまり議院運営委員会に委員を出せる最小限の単位となっており、会派所属議員が10人以上であることは重要な意味を持つのですが、現時点では9人にとどまりました。

いずれにせよ、年内の会派届出期限に提出されなかったこと、召集から日を置かずして新たな会派が届け出られたこと等に鑑みると、拙速であった感は否めないのではないでしょうか。

というわけで、新会派届出に伴う参議院の会派と所属議員数のグラフ(筆者作成)を掲載します。まさか、1週間強でグラフを作り直すことになろうとは、思いもしませんでしたねえ・・。
            
            参議院の会派と所属議員数(平成28年1月7日現在)

ついでに、今回、統一会派を組んだ共同代表の発言を紹介します。議会人のひとりとして、数日前に決めたばかりの院の構成が、今回、軽々に変更されたものではないと信じています。            
           

第190回国会冒頭の動き

2015-12-30 | 雑感
今回は、第190回国会冒頭の動きで、既に決定している分についてお知らせしたいと思います。

久々に召集される国会冒頭の動きを紹介することで、政治に少しでも興味を持っていただけるきっかけになれば、とても嬉しいです。

ただ、単なる国会日程の説明ではなく、これまでに紹介した国会ルールを含めた形(リンク部分)をとりたいと思います。

といいつつ、私自身がこれまで何を書いてきたのかの復習を兼ねています・・。そこで、久々にカレンダーをつくってみました。



まず、国会召集日の1月4日は、衆参両院で院の構成を確定するための1回目の本会議が10時と12時に開会されます。その後、本会議で設置が議決された特別委員会を開会し、委員長互選と理事の選任が行われます。

13時からは参議院議場で開会式です。

総理の外交報告と財務相の財政演説は、衆院で14時、参院で14時半予定でそれぞれ2回目の本会議が開会されて召集日は散会です。

これらの演説に対する本会議での代表質問は、1日空けて1月6日から衆議院で行われます。なぜ、1日空けて行うのかについては、政府4演説の例に倣っているからです。

そして、1月6日には、臨時会を召集しなかったことにより発生した、欠員中のものを含む国会同意人事案が、衆参の議院運営委員会理事会で同時刻に提示されることとなっています。

同意人事、特に今回は立法権と行政権の関係から気になる事象がありますので、機会があれば思うところを書いてみたいと思います。

1月7日は、参議院で代表質問が行われますが、衆参ともにこの代表質問にはTV中継が入ります

ここまでが第190回国会冒頭で、確定している動きです。

それにしても、来年からどんなことを書いていこうか、少し考え込んでいます。

現在の会派と所属議員数

2015-12-28 | 雑感
第190回国会は、平成28年1月4日の召集のため、国会内は普段の年末年始と異なり、慌ただしい雰囲気です。

12月14日には、衆参の議院運営委員会理事会に官房長官が常会召集の伝達に出席し、その後、衆参の議運理事会で召集に向けた協議が行われてきました。

衆参で手続きの過程にちょっとした違いがあり、衆議院は12月18日の議運理事会で年内の協議を全て終わりましたが、参議院は12月25日まで断続的に議運理事会が開会されました。

これらの結果、衆参ともに、常会での会派と所属議員数が確定しました。

詳細は、下記のグラフ(筆者作成)をご覧いただければ幸いですが、注目すべきは、下記の点ではないでしょうか。

○衆議院:与党第一党の割合が圧倒的に高い点、統一会派を組んでも野党第一会派の割合が相対的に低い点
○参議院:会派の数がとにかく多い点、与党第一党が過半数の議席を有していない点
                  
              衆議院の会派と所属議員数(平成27年12月22日現在)
                  
              参議院の会派と所属議員数(平成27年12月26日現在)

平成28年7月にも予定される参院選に向けて、そのうちまた変動があるんでしょうね。

現在の院の構成における問題点-その2

2015-12-15 | 雑感
○衆議院規則第38条

(前項略)委員長に事故があるときは、理事が委員長の職務を行う。

○参議院規則第31条

(前項略)委員長に事故があるとき、又は委員長が欠けたときは、理事がその職務を行う。(以下略)


10月初旬の内閣改造を経ながら、長期間国会が開かれないことの問題点について、院の構成という観点から、前回は、立法権である国会と行政権である内閣、双方に立場を持つという、本来あってはならない事例を紹介しました。

今回は、この問題が、委員長だけにとどまらないという観点から、事例を紹介したいと思います。

ついでに紹介しますと、常任委員長が欠けている期間は、平成に入ってから最長記録です。なんともはや・・。

上記で紹介した、衆参両院の議院規則は、委員長に事故があるとき、もしくは欠けたときの事態について規定しています。つまり、委員会を代表する委員長に事故があるとき等は、理事が委員長代理として、その職務を行うとするものです。

さて、現在は、常任委員長が欠けているのみならず、委員会の理事についても欠けている事例が散見されます。

これは、衆参によって、多少傾向が異なります。

なぜならば、衆議院の現在の定数は475ですが、参議院の現在の定数は242です。他方で、国会法第41条の定めにより、常任委員会の数は、衆参ともに同数の17委員会です。

つまり、衆参両院の議員定数には2倍近くの差がありながら、常任委員会の数は同一です。つまり、一委員会あたり、常任委員長は一人であっても、理事の配分は、衆議院より参議院が小さくなります。

たとえば、衆議院の常任委員会の与党理事が5人だったとしても、参議院の場合は2人、という具合です。

そこで、本題に戻ります。

参議院の常任委員会においては、10月の内閣改造により、与党理事全員が政府入りしたことにより、与党理事が誰もいない状態になってしまった委員会がありました。

現在も、幾つかの委員会で閉会中審査が行われていますが、委員会を開会するためには、与野党の筆頭理事による、いわゆる筆頭間協議が重要となります。

にもかかわらず、その時点では理事がいないため、理事予定者が理事の代理をしたものの、充分な事前協議ができず、結局、予定された時刻に委員会が開会できない事態に陥るなど、混乱がありました。

もちろん、閉会中といえど、委員会を開会すれば、理事は選任できますが、委員会開会に向けての協議時点で理事が不在だったことは動かし難い事実であり、それが十分に機能しなかったのであれば、院の構成を確定させるためにも、内閣改造から日を置かずして、臨時会はやはり召集されるべきだった、といえるのではないでしょうか。

(例外として衆議院議院運営委員会の理事は、閉会中委員会を開かなくとも選任可能)

会派の数と名称問題

2015-12-13 | 雑感
前回のエントリーで予告した、現状の院の構成における問題点に入る前に、現在の会派の数について振り返っておきたいと思います。

まず、「会派」については、「師走の永田町-その2(統一会派)」で紹介しましたが、議院内で活動を共にしようとする議員の団体であって、2人以上の議員で結成できます。

会派の多くは、政党単位や政党を中心として結成されています。

そして、「師走の永田町-その3(議員控室)」では、参議院の会派の数が多くて大変・・とも紹介しました。なお、衆議院においても、その後、会派の数が増えています。       
            

現在、参議院には12(!)もの会派が存在しています。これまでで、同一時期に会派の数が最も多かったのは、現在と同じ12会派で、平成24年12月以来のことです。

二番目に多かったのは、11会派で、過去に4回の事例があります。

一方、会派の数が最も少なかったのは、5会派で、昭和30年11月、平成16年7月、平成19年10月、平成21年9月です。

そして、会派の名称に着目してみると、現在、「維新の党」と「維新の党(参議院)」と似通った2つの会派が存在していますが、昭和20年代にも似通った会派名が存在したことはあります。

ただし、昭和20年代と現在で大きく違うのは、前者は、今回と同様、政党分裂に伴うものでしたが、合意のうえでの会派名の類似でした。

現在の会派名類似は、政党から除名された議員が、会派代表を務めており、政党人としては正当性を失ったともいえる会派代表者が、除名されていない議員5名の退会届を提出したことに依るものでした。

もちろん、政党と会派の考え方は整理する必要があるでしょう。あくまで、会派は、議院内を活動の単位とするからです。

しかしながら、今回分裂した「維新の党」の政党名と会派名は同一であり、当時、会派所属議員全員が、維新の党所属議員でした。

会派名称等の考え方については、多方面から検討する時期にきているのかもしれませんね。

師走の永田町-その1(政党交付金)

2015-12-08 | 雑感
○政党助成法第5条

政党交付金の交付を受けようとする政党は、その年の1月1日(同日が前年において行われた総選挙又は通常選挙に係る次条第1項の選挙基準日前にある場合には、当該選挙基準日とする。以下「基準日」という。)現在における次に掲げる事項を、基準日の翌日から起算して15日以内に、総務大臣に届け出なければならない。(以下略)

早いもので、あっという間に12月です。

ブログの更新(不定期)再開を宣言しながら、全くもって更新が滞りがちで、反省です。

ところで、永田町の年末の風物詩(?)のひとつに、議員の政党間移動が挙げられるのですが、今年も少し動きがありそうです。

といっても、今年は今のところ、政党間移動よりも、「統一会派」問題に焦点が絞られていますので、報道ではそれほど取り上げられていませんが、なぜ、年末に新党結成が盛んだったり、議員の政党間移動が多くなったりするのでしょうか。

これは、政党交付金の交付要件が大きく関係しており、1月1日現在が基準となって、政党交付金の支給が決定するためです。

というわけで、少数政党や新党にとっては、国会議員5人以上等の政党要件を満たすため、それこそ東奔西走することになるのです。

少数政党が乱立している現状に鑑みると、議会のコスト等、個人的に色々と思うところはありますけどね。

閉会と一時更新休止

2015-09-30 | 雑感
気が付けば、9月も末日を迎えました。
今年も残すところ、あと3か月。年度でも上半期が終わることになります。

さて、この「議会雑感」ブログは、国会法や議院規則、先例といった国会ルールの側面から、政治を少しでも身近に感じていただければ、との思いで、どうにかこうにか8か月近く継続して続けることができました。

本当にありがとうございます。

これまで、アクセス数について触れたことはありませんでしたが、嬉しいことに、ご覧いただいている方は徐々に増えています。

アクセス数が最も多かったのは、安保法案採決をめぐり、与野党の攻防が激化した9月17~19日の3日間でした。多くの方の関心が非常に高い法案であった証左だと感じています。

また、普段は、IP数とPV数しか分かりませんが、その時は偶然にもキーワード検索で何が多かったのか分かる状況でしたので、立法府に身を置く者として大変勉強になりましたし、次の更新に活かしたいと思います。

ただ、本当に長かった245日間の常会が終わり、秋の臨時会が召集されるのかどうかも含めて、今は未定です。

そこで(?)、少しだけ更新を休止し、その間、色々と勉強し直したいと考えています。

拙いブログですが、このブログを通じて政治に関心を持っていただける方が、一人でもいらっしゃるなら、また再開しようと思っています!
            

慎重審議(未完結編)

2015-09-27 | 雑感
平成27年9月27日が会期末の第189回国会。

継続審査(閉会中審査)手続きがとられた法案の中に、衆議院審議段階からずっと注目していた「刑事訴訟法等の一部を改正する法律案」があります。

これは、行政権が6つの法案を束ねて立法権である国会に提出した、いわゆる「束ね法案」ですが、衆議院段階では、非常に丁寧な審議が行われたものと捉えており、これまで、慎重審議のひとつの形態だとして、注目し、その審議方法と経緯を3回取り上げてきました。

慎重審議」 平成27年7月4日
慎重審議(続報)」 平成27年7月11日
慎重審議(衆院完結編)」 平成27年8月14日

詳しくは、上記の3エントリーをご覧いただければ幸いですが、束ね法案である刑訴法案に対して、テーマを4つに分類し、4つのテーマごとに、対政府質疑→参考人質疑→対政府質疑を丁寧に繰り返したのです。

過去に、逐条審議が行われたことはありますが、これとは異なる形の慎重審議だと捉えていました。

先日、成立した安保法案でもそうですが、どれだけ多くの法案が束ねられていようとも、テーマごとに参考人質疑を分けて行ったり、対政府質疑を行ったりすることはないからです。

よって、立法権である国会が、束ね法案を提出してきた行政権に対し、慎重審議を行った例として、個人的に注視していました。

さらに、衆議院における審議期間は、安保法案を上回るものでした。

衆議院における安保法案は、5月26日審議入り、7月16日参議院に送付。刑訴法案は、5月19日審議入り、8月7日参議院に送付となっており、審議期間は安保法案より長かったのです。

刑訴法案に関しては、結論から申し上げると、お盆期間明け初の参議院本会議で審議入りしましたが、参議院法務委員会では実質審議入りすることができず、よって継続審査の手続きがとられたのです。

再考の府、参議院でどのような形の充実審議が行われるのか注目していましたので、法案に対する個人的な思いはさておき、ちょっと残念でした。

理由に関しては、何かの機会に説明したいと思います。