議会雑感

国会のルールや決まりごとなど、議会人が備忘録を兼ねて記します。

現在の院の構成における問題点-その1

2015-12-14 | 国会ルール
○国会法第16条

各議院の役員は、次の通りとする。
一 議長 二 副議長 三 仮議長 四 常任委員長 五 事務総長

○国会法第31条

役員は、特に法律の定めのある場合を除いては、国又は地方公共団体の公務員と兼ねることができない。(以下略)

平成27年10月7日の内閣改造に伴い、衆議院においても、参議院においても、数人の常任委員長が大臣や副大臣に就任しました。

以前、「国会役員とは」のエントリーで紹介しましたが、常任委員長は、国会法第16条の定めのとおり、国会役員です。

他方、特別委員長は、国会役員ではありません。今回は、この点に着目した国会ルールを紹介したいと思います。

参議院の例で見てみると、大臣に就任した常任委員長が2名、副大臣に就任した特別委員長が1名です。

ここで、国会法を見てみます。

国会法第31条は、役員は、国の公務員と兼ねることはできない、と規定しています。よって、役員たる常任委員長は、大臣と役員を兼ねることができませんので、ただちに辞任する必要があるのです。

国会法第30条の規定により、閉会中においては議長の許可があれば辞任することはできますが、閉会中に新たな常任委員長を補欠選任する方法はありません。

一方、特別委員長は役員ではありませんし、院の会議=本会議で選任される常任委員長と異なり、国会法第45条の規定に基づき、特別委員会委員の互選により選出されているため、当該議員が辞任願を出したところで委員会を開かない限り、辞められないのです。

○衆議院規則第102条

特別委員長の辞任は、その委員会がこれを決する。

○参議院規則第80条

(前項略)特別委員長の辞任は、委員会がこれを許可する。

よって、副大臣に就任した特別委員長に関しては、当該省庁と官邸のWebページには副大臣として、参議院のWebページには、今も特別委員長として、掲載されたままの状態が続いており、日本国憲法における三権分立の観点から見ると、異常な状態であると指摘せざるを得ません。

行政権は内閣改造により体制を新たにした一方、立法権である国会は、院の構成が尋常ではない状態が続いているのです。

立法権は、行政権の下請けではありません。
議会人のひとりとして、少なくとも私にとっては、哀しい状態が続いています。

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