議会雑感

国会のルールや決まりごとなど、議会人が備忘録を兼ねて記します。

束ね法案と一括審議-その4

2015-07-17 | 雑感
2か月ほど前に、いわゆる束ね法案に対する問題意識を3回にわたって、思うところを書き綴りました。

束ね法案と一括審議-その1
束ね法案と一括審議-その2
束ね法案と一括審議-その3

また、幾つもの法案を1本に束ねて立法府に提出することの問題点については、他のエントリーでも事あるごとに、議会人のひとりとして取り上げてきたつもりです。

束ね法案に対する問題意識を書き綴る契機となったのは、5月15日、我が国の在り方を大きく転換することになるであろう重い法案が立法府である国会に束ねて提出されたからです。

このブログを継続的にご覧いただいている方は既にお気づきのことと思いますが、今回の法案について、法案名そのものを明示したことは一度もありません。強いて言えば、この法案を審議する特別委員会の名称を一度取り上げたのみです。

ただ、与野党間でなぜこれほど対立するのか、を分かりやすくするために、これからは必要に応じて「安保法案」と表現することとします。前回、世論調査を引用した際に、調査項目の中にも出ていましたしね。

で、今回の本題です。

この安保法案は、衆議院特別委員会で7月15日に強行採決され、委員会で可決しました。

特別委員会の委員長は、与党委員長ですが、与党出身であるにも関わらず、委員会での法案採決後、以下のように発言しています。
7月16日の各紙報道の該当部分のみ、書き出してみます。

[日本経済新聞] 10法案一括化を反省

衆院平和安全法制特別委員会の委員長は15日の法案可決後、国会内で記者団に「もっと丁寧にすべきだとの批判もあった。分かりやすくするためにも法律を10本束ねたのはいかがなものか」と語った。

[読売新聞]

安保関連法案はまた、自衛隊法など改正10法案を一括した「平和安全法整備法案」と、「国際平和支援法案」の2本で構成される。一つのテーマが複数の法案に関係することも多いため、与野党から「議論が拡散する原因になっている」との指摘が出ている。

15日の採決後、委員長は、国会内で記者団に「もう少し分かりやすくすべきだ。10本の法案を束ねたのはいかがなものか」と語った。

[朝日新聞] 一括審議 拡散した議論

採決を強行した委員長ですら、審議を振り返って「法律10本(の改正案)を束ねたのはいかがなものか」と政府に苦言を呈したほどだ。

[毎日新聞] 「10本一括はいかがか」

採決の立役者となった委員長も、平和安全法制整備法案として既存の10法を一括して改正しようとしていることについて「政府として10本をまとめたこと自体はいかがかなというふうに思う。もっと丁寧にやれという批判もあるので」と記者団に語った。

[東京新聞] 「10本ひとまとめ いかがなものか」委員長が政府案に疑義

安全保障関連法案に関する衆院特別委員会の委員長(自民)は15日、法案採決後に「政府として(法案を)10本束ねたのは、いかがなものかと思っている」と記者団に述べた。法案審議の円滑な進行が求められる与党選出の委員長が政府提出法案に疑義を唱えるのは異例。

次回は、審議時間という側面から見てみたいと思います。

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