外国人技能実習生や留学生の失跡が社会問題となる中、在留資格を失った外国人への偽造在留カードの密売が横行している。犯罪グループは組織化され、捜査による実態解明には至っていない現状だ。2019年に不法残留容疑で摘発されたのは4千人を超える。専門家は、実習生や留学生の処遇改善という根本的な課題が解決しない限り、不法在留を相手にした犯罪ビジネスはやまないと指摘する。
今年4月16日朝、兵庫、埼玉両県警の捜査員計36名が埼玉県内のアパートの一室に踏み込んだ。室内からは在留カードや年金手帳、運転免許証が多数発見される。すべて偽造品だった。押収したパソコンには、依頼主とみられるベトナム人や中国人、インドネシアらの個人情報が述べ1800人分残っていた。
両県警は住人の中国籍の男女2人を入管難民法違反(偽造在留カード所持)容疑で逮捕。7月には同法違反(在留カード偽造)容疑で再逮捕した。2人は犯罪組織の指示に従い、偽造品の製造と発送のみを担当していたとみられる。両県警は指示役や、注文の受け付け役がいたとみて調べる。
外国人の労働者や実習生、留学生は国の受け入れ推進で年々増加。不法残留なども増えており、警視庁によると、入管難民法違反容疑で摘発人数は19年に4279人と過去10年で最多を記録した。刑事事件に発展しない在留資格の取り消しも増えている。
捜査関係者によると、カードの偽造容疑で逮捕された女は『1日に200枚作ったこともある。寝る間もないほど忙しかった』と話したといい、需要の高さをうかがわせた。兵庫県警が7月に手掛けた別の不法就労助長事件でも、不法残留者を違法に雇った疑いがある神戸市の会社から偽造カードのコピーがみつかった。
警視庁は不法残留を容易にする偽造カード密売などを『犯罪インフラ事犯』と位置づけ、取り締まりに力を入れる。県警も来年春をめどに外国人犯罪を専門とする『国際捜査課』を新設する方針だ。
ただ取り締まりの強化だけでは本質的な解決にはならないとの意見も。外国人労働者の問題に詳しい神戸大大学院国際協力研究科の斎藤善久准教授(49)は留学生らが『学費や生活費はアルバイトで捻出できる』などと言われ、次々と来日している現状がある』と指摘。実際は学費を稼ぐのが困難で退学させられ、在留資格を失う例があるといい、『来日に日本での生活について正確な情報を周知し、無理な来日を減らす必要がある』と話す。
【偽造在留カード】日本での在留期限が切れるなどし、不法残留状態になった外国人が主に在留資格を偽って就職する際に使われる。外国人労働者の雇用主は、在留資格の確認で義務づけられてあり、偽造カードと気付いていながら雇うと入管難民法違反罪に問われる。(ソース:神戸新聞)
【コメント】
●偽造残留カードで雇うブラック会社の淘汰。
●大半が留学生(補助金目的)の糞大学の淘汰。