株式日記と経済展望

株式をはじめ政治経済外交文化歴史などの論評です。

国内企業による生産拠点の海外移転が進み、円安効果を相殺した。輸出は改善の兆候がない

2014年07月26日 | 経済

国内企業による生産拠点の海外移転が進み、円安効果を相殺した。輸出は
改善の兆候がないまま、日銀による金融緩和から1年以上が経過している。


2014年7月26日 土曜日

V字回復、輸出に誤算 貿易赤字過去最大 成長戦略のアキレス腱 7月25日 産経新聞

 財務省が24日公表した平成26年上半期(1〜6月)の貿易収支は、半期ベースで過去最大の赤字幅となった。輸出が2カ月連続で前年割れするなど、国の「稼ぐ力」が目減りし、政府は今年度の実質成長率見通しの下方修正を余儀なくされている。消費税率引き上げの影響で、個人消費などの下ぶれが避けられない中で輸出が回復しなければ、政府の経済成長シナリオにも狂いが生じる恐れがある。(佐久間修志)

「Jカーブ」不発

 「(貿易収支は)次第に持ち直すだろう」

 菅義偉(すが・よしひで)官房長官は24日の記者会見で、今後の貿易赤字縮小に期待感を示した。現在の貿易赤字については「円安の影響が大きい」と輸入額の増加を指摘した上で、米国などの経済が回復傾向にあることなどを挙げ、外需拡大にも強気の姿勢を見せた。

 だが、輸出回復の具体的道筋は見通せないままだ。政府は、金融政策による円安効果が短期的には輸入コスト増となるものの、中長期では輸出拡大につながる「Jカーブ」効果を見込んだ。しかし、為替変動のリスク回避を目的に、国内企業による生産拠点の海外移転が進み、円安効果を相殺した。輸出は明確な改善の兆候がないまま、日銀による金融緩和から1年以上が経過している。

 加えて、最近は人手不足が企業の生産余力を低下させるという新たなボトルネックも浮上している。設備投資の先送りとも相まって、供給制約に直面する企業は少なくない。欧州経済や米国経済が回復基調にある一方で、外需の伸びに応えるだけの国内供給力には不安が残る。バブル期に10%程度だった世界の輸出総額に占める日本のシェアは、現在4%程度にまで低下している。

下方修正相次ぐ

 輸出の伸び悩みは、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」のアキレス腱(けん)となる危険性がある。政府や民間エコノミストらが口をそろえる「消費税率引き上げで4〜6月の国内景気は一時的に落ち込むが、夏以降には持ち直す」という日本経済のV字回復シナリオは、「輸出の回復が前提」(SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミスト)だからだ。

 ここに来て、政府も見通しの甘さを認めはじめた。内閣府は22日、26年度の実質国内総生産(GDP)成長率見通しを1・2%と1月時点より0・2ポイント下方修正した。日銀も15日の金融政策決定会合で、同様の見通しを従来の1・1%から1・0%に引き下げた。麻生太郎財務相は22日の閣議後会見で、「外需の低下が大きい」として、輸出低迷が今後の景気下ぶれリスクとなっている現状を指摘した。

日本経済は4月の消費税率引き上げの影響で、個人消費の不安定さがぬぐえないほか、公共事業も人手不足の影響から“カンフル剤”としての効果が薄くなっている。さらに輸出が低空飛行を続ければ、景気の牽引(けんいん)役が不在となるのは必至だ。安倍首相が今年中にも表明する消費税率10%への引き上げ判断にも、影を落とす恐れがある。



(私のコメント)

日本の貿易赤字が続いていますが、円安になっても輸出が不振なのは、日本の製造メーカーが工場を海外に移転させてしまったからだ。むしろ海外の子会社からの輸入が増える結果となり、日本のメーカーの製品でもラベルを見ればメイドインチャイナと書かれていたりする。特に電気製品は小型商品が多いから外国に工場を移転させやすかった。

さらには円高による価格競争に負けたというよりも、スマホやタブレットなどの新製品を出す事が出来なくなり、掃除機すら外国製品に負けるようになった。本来ならばスマホやタブレット型パソコンなど日本のお家芸だったのですが、OSソフトから作らなければならず、アンドロイドOSにも後れを取ってしまった。

日本の電気メーカーが新製品開発力が無くなってしまったのは、多くの技術者の首切りを行って来たからであり、開発プロジェクトも相次いで中止してしまったから新製品が出せないでいる。日本の経営陣は新製品を開発する事よりも首切りや正社員を減らして非正規社員を増やして人件費コストを引き下げる事を選んだ。

新製品を開発するにはスティーブ・ジョブスのような才能豊かな人材が必要だし、リーダーシップも無ければならない。新製品を開発しても売れなければ責任を取らされるが、リストラや社員の非正規化なら確実だし責任を取らされる事は無い。そうすれば利益は増えるし業績が回復すれば経営者たちのボーナスも増やせる。

しかし円安に転換して、日本製品の価格競争力が増しても工場を移転させ技術者の首を切って来たのだから輸出需要が増えても輸出を増やせるわけがない。国内でも人手不足になり、特に高度な技術者が不足して工場があっても稼働させられない。現代の工場はコンピュータ制御だから技術者がいなければ動かせない。

1ドル=100円台なら自動車なども外国で生産するよりも国内で生産したほうが儲かる水準ですが、日本の自動車メーカーはタイなどに工場を移転させている。しかしこれらの工場を海外に移転させてしまうと円安になっても簡単には国内に工場は戻せない。中国などに工場を移してしまうと従業員への補償などで簡単には工場を移せない。

工場を戻すには5年から10年はかかるだろうし、円安も長期化しなければ工場は国内には戻せない。1985年から30年近くも超円高が続いてきたのだから、円高対策は完成された水準になって円高の方が儲かるようになっていた。そこへ円安転換したのだから輸出メーカーは円安で苦しめられるようになってしまった。高い外国工場から輸入するから貿易赤字になる。

テレビなども3Dテレビや4Kテレビなどを作っても、韓国や中国のメーカーにすぐにコピーされて競合した製品が出て来るのは、日本のリストラされた技術者によって中国や韓国のメーカーに技術が提供されているからだ。つまり日本の電機メーカーは自分で自分の首を絞めた結果となり、技術でもリードできなくなってしまった。

アベノミクスでも輸出の回復が前提となっていたのですが、効果が出るまでには5年以上はかかるだろう。工場を国内に戻すには5年以上はかかるからだ。さらには技術者も養成しなおさなければならず、国内は人手不足で新卒社員を集めるのは大変だ。首切りや非正規化で社内でのモラルも低下して悪循環が続いている。

赤字が続く理由としては、原発の停止でLNGガスの輸入が増えている事で円安も影響して赤字額が増え続けている。「株式日記」では原発の再稼働を主張してきましたが、再稼働反対派の活動などで再稼働が遅れている。確かに40年以上も経っている旧式の原発は解体すべきだが、安全対策が施された原発なら再稼働させるべきだ。

このように長く続いた超円高から円安に転換したことは、黒田日銀総裁による金融緩和の効果ですが、このように為替水準は中央銀行の金融政策によってコントロールできることが分かってきた。だから最近は1ドル=101円台で固定されたように変わらない。これではFX投資もままならなくなりますが、日銀によって円相場がコントロールできるのだから、FX投資は日銀からインサイダー情報をもらった方が儲かる。


コメント (7) |  トラックバック (0) |