とこしへの まよひの谷に こもりゐて うそをまことに するすべをこふ
*人間は今、嘘と本当の間で迷いに迷っています。
自分の生きている世界が、嘘ばかりの世界であることはわかってきた。だがその嘘をまったく嘘にしてしまえば、いろいろなことが崩れてきて大変なことになる。しかし嘘はまことに苦しい。自分が嘘でかためた偽物の存在であることは苦しい。なぜ苦しいのか。
本当の愛の姿を見たからです。本当の愛の世界が、どのようにすばらしいかを知ったからです。神の実在を、知ったからです。
その圧倒的な真実の前には、人間のついた嘘の小汚さがあまりにも苦しい。
しかしその嘘を全くの嘘にしてしまえば、世界が崩壊する。人間は嘘でいろいろなものを作りすぎているからです。
たったひとつの真実が、この世にあるだけで、嘘を元にしてなしたあらゆる人間の努力が、どぶに捨てられるごみになる。そんなことになれば、あらゆるものが倒れてしまう。ゆえに、簡単に嘘をやめるわけにはいかない。だが、嘘をついている自分が苦しくてならない。
永遠に続くかに見える迷いの中で、人間は、どうにかして嘘を本当にできないかと、そんな方法はないかとさえ、探し迷うのです。
だがそんな方法はありはしない。嘘は嘘。本当は本当。両者はまじりあうことのない光と闇です。
人間は、嘘をなんとかしながら、ゆっくりと本当の世界に戻っていくよりない。それには何世代かかかるでしょうね。今は本当に苦しい時代だ。
嘘と本当にねじられる自分の苦悩を耐えながら、少しでも本当の世界をこの世界に呼ぶべく、努力していかねばならない。