しなしなの記録

 しなしなの趣味の記録です。洋楽カラオケ、郵便局訪問、川、猫など

環境サスペンス 「川をたずねて三千海里」

2008-10-04 14:09:21 | Weblog
 10月2日に、紀伊国屋書店の玄関ホールで開催された上記イベントに参加しました。川をたずねるのは、サケたちです。探偵ピエールや参加者が専門家に質問をして、答えをいただくという環境サスペンス、たいへんおもしろかったと同時に色々なことを知ることができました。
 北海道に住む縄文人にもサケは貴重な食料でした。札幌市近郊の石狩紅葉山49号遺跡では、約4000年前の「えり」と呼ぶサケを捕獲するための施設が発見されたそうです。
 現在、豊平川にも多くのサケが遡上しますが、全く遡上しなかった時期がありました。サケの姿が豊平川から消えたのは太平洋戦争後、まもなくだったようです。原因は川の汚染でした。札幌の人口の増加に伴い、多くの生活排水が豊平川に流されたことによる汚染です。一番汚れていたときで、BOD(生物学的酸素要求量)は26だったそうです。サケの養殖に適するとされているのは水産2級のBODが3です。とてもサケたちが生活できる環境ではありません。下水道の普及に伴い、水質はどんどん改善されました。現在はBODは2以下です。
 昭和53年に「さっぽろサケの会」が組織され、カムバックサーモン運動が展開されます。しかし、簡単にはサケの稚魚が放流できなったとこことです。というのも、サケの稚魚は国が管理する資源で、サケ・マスの増殖河川以外には放流できないことになっていたからです。このため、「さっぽろサケの会」ほか多くの行政機関が参加する(北海道警察まで参加しています)協議会を設立し、関係者の理解を得て、昭和54年春、20万匹の千歳川のサケ稚魚を放流したそうです。
 サケは生まれた川に帰ってくると言われていますが、シロザケでは、実は2割程度は別の川にも遡上するそうです。同じサケ科でも、カラフトマスは、ほとんどが別の川に遡上しているそうです。でも、カラフトマスがお馬鹿さんなのではないそうです。もっとも進化したのがカラフトマスだそうです。逆に古いサケはサクラマスで、次がシロザケだそうです。だから、サクラマスが一番数が少なく、次がシロザケ、圧倒的に数が多いのはカラフトマスだそうです。
 生まれた川にしか帰らないと、たとえば、土砂崩れで川が途切れたりすると、そこの川には遡上できなくなり、そこには子孫がいなくなってしまいます。でも、他の川に行くパイオニアが出現するものがいる種類はどこかに子孫が残っていきます。そう考えると、どこにでも遡上するカラフトマスが一番優位に立っており、その結果、数が多くなっているそうです。
 前に、知能の面で頂点に立っているのは人間だが、数という面で進化を計ると、昆虫が一番進化していると言えると聴きました(頂点はハチだそうです)。アキアカネなどはそこらの水溜りに、無駄と思えるような産卵をしています。しかし、どこにでも産卵するから、どこにでも繁殖でき、圧倒的な数の多さを実現しているのが現実です。
 生き物の世界は複雑ですが、たいへん面白いし、微妙なバランスの上に成り立っているなと改めて思いました。
コメント
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