図の出典:(BRITISH) NAVAL INTELLIGENCE DIVISION B.R. 493A, GEOGRAPHICAL HANDBOOK SERIES JUGOSLAVIA VOLUME II, HISRORY, PEOPLES AND ADMINISTRATION, 1944、 p.149、Fig.41
2.「セルビア人・クロアチア人・スロヴェニア人王国」、後のユーゴスラヴィアの地域構成
後で述べるユーゴスラヴィアの成立過程を理解するために、最初に地域構成を理解しておく必要がありますのでまとめておきます。
新しく建国された国は、オーストリア帝国、ハンガリー王国、セルビア王国、モンテネグロ王国という4つの国に属していた地域(それぞれ通貨も法律も社会制度も異なります)と、オーストリア・ハンガリー帝国の軍事占領地であったボスニア・ヘルツェゴビナが1つの国にまとまろうというのですから、並たいていのことではありません。
しかも、オーストリア・ハンガリー帝国側と、セルビア・モンテネグロ王国側は、つい先日まで同盟軍や連合軍として激しい戦闘を繰りひろげて、互いに多大な死者を出していたのですから、敵意や感情的なしこりを乗り越えて一つの国家にまとまるのは常識的には無理であったはずです。
第2時世界大戦勃発前までのユーゴスラヴィアは、以下の地域から構成されていました。
Slovenia: スロヴェニア。
旧オーストリア帝国領のクラインと、シュタイアーマルク、キュステンラントそれぞれの一部。大部分はスロヴェニア人で、主として北部にドイツ人も居住。
P.: Prekomurjeプレコムリエ。旧ハンガリー王国領、スロヴェニア人居住地域。
M.: Medjumurjeメジュムリエ。旧ハンガリー王国領、クロアチア人居住地域。
Crotia-Slavonia: クロアチア-スラヴォニア。
旧ハンガリー王国領、西部がクロアチア、東部がスラヴォニア。クロアチア人とセルビア人が居住。ハンガリー王国支配下である程度の「地方自治権」を与えられていた。
Vojvodina: ヴォイヴォディナ。
旧ハンガリー王国領。セルビア人、ハンガリー人、ルーマニア人、ドイツ人が居住。
Bosnia: ボスニア。オーストリア・ハンガリー帝国の軍事占領地。
Herce.: Hercegovina: ヘルツェゴヴィナ。オーストリア・ハンガリー帝国の軍事占領地。
ボスニアとヘルツェゴヴィナには、クロアチア人、セルビア人、ムスリム人が居住。
Dalmatia: ダルマチア。旧オーストリア帝国領。
クロアチア人とセルビア人がほとんどで、イタリア人はほとんとがザダル(ザーラ)(当時はイタリア王国領)に居住。
Serbia: 旧セルビア王国。
セルビア人、アルバニア人、マケドニア人、ブルガリア人が居住。
Mont.: Montenegro: 旧モンテネグロ王国。
モンテネグロ人(民族的にはセルビア人と同一)とアルバニア人が居住。
備考:
ソチャ川流域(ジューリア・アルプスの流域)、イストリア半島、リエカ(フィウメ)及びフィウメ湾の幾つかの島、ザダル(ザーラ)、ラストボ島(ラゴスタ島)は、イタリア領になりました。
イタリア領に残されたスロヴェニア人とクロアチア人は、ムッソリーニによるファシズムの到来とともに、学校・文化施設・経済施設・教会でのスロヴェニア語とクロアチア語の使用を抑圧されました。
2.「セルビア人・クロアチア人・スロヴェニア人王国」、後のユーゴスラヴィアの地域構成
後で述べるユーゴスラヴィアの成立過程を理解するために、最初に地域構成を理解しておく必要がありますのでまとめておきます。
新しく建国された国は、オーストリア帝国、ハンガリー王国、セルビア王国、モンテネグロ王国という4つの国に属していた地域(それぞれ通貨も法律も社会制度も異なります)と、オーストリア・ハンガリー帝国の軍事占領地であったボスニア・ヘルツェゴビナが1つの国にまとまろうというのですから、並たいていのことではありません。
しかも、オーストリア・ハンガリー帝国側と、セルビア・モンテネグロ王国側は、つい先日まで同盟軍や連合軍として激しい戦闘を繰りひろげて、互いに多大な死者を出していたのですから、敵意や感情的なしこりを乗り越えて一つの国家にまとまるのは常識的には無理であったはずです。
第2時世界大戦勃発前までのユーゴスラヴィアは、以下の地域から構成されていました。
Slovenia: スロヴェニア。
旧オーストリア帝国領のクラインと、シュタイアーマルク、キュステンラントそれぞれの一部。大部分はスロヴェニア人で、主として北部にドイツ人も居住。
P.: Prekomurjeプレコムリエ。旧ハンガリー王国領、スロヴェニア人居住地域。
M.: Medjumurjeメジュムリエ。旧ハンガリー王国領、クロアチア人居住地域。
Crotia-Slavonia: クロアチア-スラヴォニア。
旧ハンガリー王国領、西部がクロアチア、東部がスラヴォニア。クロアチア人とセルビア人が居住。ハンガリー王国支配下である程度の「地方自治権」を与えられていた。
Vojvodina: ヴォイヴォディナ。
旧ハンガリー王国領。セルビア人、ハンガリー人、ルーマニア人、ドイツ人が居住。
Bosnia: ボスニア。オーストリア・ハンガリー帝国の軍事占領地。
Herce.: Hercegovina: ヘルツェゴヴィナ。オーストリア・ハンガリー帝国の軍事占領地。
ボスニアとヘルツェゴヴィナには、クロアチア人、セルビア人、ムスリム人が居住。
Dalmatia: ダルマチア。旧オーストリア帝国領。
クロアチア人とセルビア人がほとんどで、イタリア人はほとんとがザダル(ザーラ)(当時はイタリア王国領)に居住。
Serbia: 旧セルビア王国。
セルビア人、アルバニア人、マケドニア人、ブルガリア人が居住。
Mont.: Montenegro: 旧モンテネグロ王国。
モンテネグロ人(民族的にはセルビア人と同一)とアルバニア人が居住。
備考:
ソチャ川流域(ジューリア・アルプスの流域)、イストリア半島、リエカ(フィウメ)及びフィウメ湾の幾つかの島、ザダル(ザーラ)、ラストボ島(ラゴスタ島)は、イタリア領になりました。
イタリア領に残されたスロヴェニア人とクロアチア人は、ムッソリーニによるファシズムの到来とともに、学校・文化施設・経済施設・教会でのスロヴェニア語とクロアチア語の使用を抑圧されました。