クラシック音楽のひとりごと

今まで聴いてきたレコードやCDについて綴っていきます。Doblog休止以来、3年ぶりに更新してみます。

アイザック・スターンのベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」

2006年06月25日 04時45分48秒 | 室内楽曲
雨上がりの湿度が高い朝、ムッとするような空気の中をジョギング。
この数日ドンヨリしております。そして、今日は大雨の予報。
梅雨らしい天気であって、季節の動きを考えれば、喜ばしいことかもしれません。
伸び始めた稲は、この雨を喜んでいるでしょう。

さて今日は、ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ第9番「クロイツェル」。
アイザック・スターンのヴァイオリン、ピアノはユージン・イストミン。
1982年録音のCBS盤。

スターンは、五味康祐がその著書の中で「靴磨き」と罵っていたが、なかなかどうして、やはり当代最高のヴァイオリニストの一人だったと思う。
ベートーヴェンやブラームス、メンデルスゾーンにチャイコフスキー、どのヴァイオリン協奏曲をとっても、スゴイ、素晴らしい演奏だった。これらは今も愛聴盤。

この梅雨空のせいか、今日は、久しぶりに室内楽曲をしっとりと聴いてみたくいと思い、スターンのベートーヴェンのソナタを取り出した。
ピアノの相棒は気心の知れたイストミン。息のあったコンビだと思う。

第1楽章アダージョ・ソステヌート、プレスト。
冒頭から迫力十分のヴァイオリン。技巧も完璧で、速いパッセージでは目映いくらい。そして、音は強靱。ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタは綺麗だけでは済ませられないものがある。スターンはさすが、このクロイツェルでは、美しさより靱さを押し出してくる。(それでも、スターンの美音は前に出てきてしまうが・・・・)。
プレストの部分は快速で心地よい。イストミンのピアノとともに流麗そのもの。

第2楽章アンダンテ・コン・ヴァリオツィオーニ。
変奏曲の大家ベートーヴェンらしい、美しく変化に富んだ第2楽章。
スターンの美音は、明るい長調の変奏よりも、短調の方が生きる感じ。愁いを含んだ涙目のような旋律線が、ことのほか美しく奏される。
イストミンのピアノも雄弁で、アンサンブルも息があって心地よい。
それにしてもスターンの高音は美しい。ホンマに魅惑的な音。

終楽章はプレスト。
再び急速が戻って、いかにもベートーヴェンの終曲。溌剌としていながら、少々理屈っぽい作曲家の表情が見えてくるような楽章。
スターンの強靱な音と、そこから漏れてくる美音とは、第1楽章と変わらない。ゴツゴツしたところもあるが、滑らかな高音での美音がたまらない。
終曲に向かって、音楽がどんどん熱を帯びてくるのもイイ。


録音から20年以上経過しましたが、十分に美しく綺麗な録音。
CBSソニーの録音は乾いた感じがおおいのだが、これは濡れたようなヴァイオリンが美しく、名録音と云えそうであります。
スターンの至芸に酔いました。



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