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みかんの部屋

自分の趣味(映画・漫画など)に関しての雑記ブログです。

『イミテーション・ゲーム』観ました。

2016-10-27 16:00:00 | 洋画
2014年:英・米。 監督:モルテン・ティルドゥム。 WOWOWからの録画。
評判の良い映画のようなので観ることにしました。
導入部から雰囲気があって「ああ~映画を観ているな~」というゾクゾク感がありました。

 
ブ無線機器製造所。実は英国の機密機関。      デニストン中佐による採用面接。

ブレッチリー無線機器製造所。第二次欧州戦争時における英国の最高機密機関のひとつ。
ドイツ軍の難解な暗号文書(エニグマ)を解読するため、各界最高の頭脳の持ち主に招集がかかる。
大学の数学教授アラン・チューリング氏もその一人。

 
独軍の最高機密、エニグマ無線機。         暗号通信のため全く意味が解らない。

第二次欧州戦争時。英国軍はドイツ軍の非常に難解な軍事暗号文書に手を焼いていた。
それは通称エニグマ(=謎)と呼ばれ、当初は解読不可能とさえ考えられていたほどだった。
しかし日々増大してゆく自国軍の損害に、英国側も黙って手を拱いているわけにはいかない。
暗号の専門家、チェスのチャンピオン、またアランのような数学者が急ぎ招集されチームが
結成され、国家命令として早急なエニグマ解読が求められた。

 
アランは自分だけのオフィスを要求。        周囲の反感を買うアラン。

しかしアラン・チューリングだけはチーム制を受け入れず、自分専用のオフィスを要求。
(これは流石に受け入れられず、専用の机が与えられただけだった)
周囲のメンバーにも心を開かず、自分だけが皆と違う方向で何やら研究を重ねる。
アランのこのような態度は当然まわりの反発を買う。

 
ジョーンはアランに助言。             助言を受け入れて皆にリンゴを配るアラン。

アランに好意を持つジョーン。別部署に勤務する女性オフィサーだが、周囲から浮いて
いるアランの状況を感じ取り、まわりと巧くやっていく努力をするべきだ、とアドバイス。
忠告を受け入れ、さっそく皆にリンゴをぎこちなく配るアラン。
以来、他のメンバーとの関係は好転し始める。

アランの研究は進んでいくが、大きな障害が見えてきた。それは圧倒的な予算不足。
ざっと試算しただけでも10万ポンドは必要だ。
エニグマ作戦の責任者、デニストン中佐はもともとアランに反感を持っていた。
普段から上官である自分に対して敬意が足りず、命令にも素直に従わない。
10万ポンドの予算要求など問題外だとキッパリ拒否。
やむなくアランはチャーチル首相に直訴して予算の認可を得る。
自分を無視して頭越しの行動に出たアランに対して、デニストン中佐はますます
不快の念を抱いたようだ....。

 
大変な苦労のすえクリストファーは完成するが。   ついに暗号解読に成功。だが....。

研究スタッフ全員が次第にアランに対して協力的になってくる。さまざまな試行錯誤のすえ、
アランの方法以外では良い結果は出そうにないことを感じ取ってきたからだ。
そして遂にクリストファーと命名された電子システムが完成。今でいうコンピューターである。
しかし結果は思わしくなかった。あまりに要求される計算量が多すぎてクリストファーの
能力では少々きつい。
暗号のキーワードを見つけ出せれば、クリストファーの負担を大幅に減らせるのだが。
なかなか巧い方法が見つかず、悩むアラン。
だが意外なところで解決の糸口に辿りつく。
気分転換のため訪れたクラブでの、ジョーンの女友達の何気ないひとことが突破口となる。

ストーリーの中盤から徐々に明らかにされますが、この作品にはもう一つ”同性愛者”という
重いテーマがあります。アランが実は同性愛者だったということです。
当時同性愛者の存在は社会に混乱や悪徳をもたらすものとして、明確に不法行為と
断じられていたようです。傷害や泥棒などと同様に犯罪行為と看做されていたようです。
逮捕を留保する条件として、司法からはホルモン剤の自己投与を義務付けられてしまうのですが、
精神や体調に異常をきたし、一年ほどの後に自ら命を絶ってしまいます。

いまの時代の目で見て、同性愛者=重犯罪者の扱いに対してさすがに違和感を覚えるのは
確かですが、それにしても(個人的にですが)映画表現として今ひとつリアリティを感じ
られない部分があります。
これは演技が下手とか演出がマズイとかいう問題ではなく、おそらくティルドゥム監督や
主演のカンバーバッジ氏が所謂それ系の人じゃないからっということなんだろうと思います。
実感が掴めないため、どうしても描き方がサラッとしてしまうのはある程度しかたのない
ことかもしれません。

戦争の早期終結に大きな功績を残したにもかかわらず歴史上の泡のごとく消えてしまった
アランの命。今その功績が再評価されつつはあるようですが、国家の機密に関する事項で
世間の表面に現われにくい分野だけに”知る人ぞ知る”といった感じではありましょうね。