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みかんの部屋

自分の趣味(映画・漫画など)に関しての雑記ブログです。

「夏の終わり」観ました。

2015-09-03 16:00:00 | 邦画
2013年:「夏の終わり」製作委員会。 監督:熊切和嘉。 WOWOWからの録画。
瀬戸内寂聴さんの小説の映画化らしいけど、そっちの方は読んでいません。
なのであくまで映画を観た感想ということで書かせて頂きます。
この映画の結論を言ってしまうと「人間なるようにしかならない」ってことですかね。
これは無気力ゆえではなく「それだからこそ人は有意に生きなければ」という肯定的な
発想だと自分は解釈しました。

それにしても満島ひかり、小林 薫、綾野 剛の俳優陣。きっちり仕事していてますね~。
それだけでもう映画の骨格は成立していると感じさせます。
原作の風合いなんでしょうけど、いかにも文芸映画というか、文学本でも読んでいるような
感覚があります。

 
年上の愛人・慎(吾)と知子。             年下の恋人・涼(太)。

年上の愛人・慎悟は所帯もち。正妻と知子の家を月の半分づつ平等に暮らしている。
知子は気分次第で年下の恋人・涼太と会い愛を交わす。

 
知子の昔の夫と子。 涼太と出奔。          知子は染色作家として自立している。

もともと知子は普通の家庭の妻だった。そこを涼太にコナをかけられてその気になり
駆落ちを決意。しかし長くは続かず結局は別れてしまった。
いまは慎さんとの関係が主だが、知子の気まぐれで涼との関係もなんとなく復活。

 
慎さんと涼クン。 別に仲が悪いわけではない。     「もうこんな生活イヤ」と泣き出す知子。

ときに自分の現在の生活の在りようを振り返って、何とも云えず物悲しくなってくる。
そんな時は辺り構わずに泣いたりもする。って、そりゃ自業自得だ。
知子さん、程度の違いがあっても人は誰しもどこかにそういう思いを持っていますよ(^^;

映画を観ながら「結婚という制度」について多少考えました。
やはり社会を安定維持させるためのモノ以上ではないのだな、ということ。
身体の拘束は出来ても心の自由までは無理だということですかね。

「陸軍中野学校(三) 竜三号指令」観ました。

2015-08-31 18:00:00 | 邦画
1967年:大映。 監督:田中徳三。 WOWOWからの録画。
正直、前二作に比べてややパワーダウンの気味はあります。
発表年を見ると全5作が僅か3年間の間に作られています。一作目がヒットしたので
観客の関心が去らないうちにと矢継ぎ早の制作が強行された感もあります。
映画製作も一種の営利活動ですので、ある程度の拙速は已むを得ないということですかね。

 
政府要人の乗る車が爆破される。          草薙中佐は急ぎ椎名中尉を呼び対応を検討。

しかし何かコトあるたびに椎名クンを呼びますな~この草薙のおっさんは(^^;
普段は立派そうなことを言ってるけど、イザというときには案外頼りないタイプかも(←独り言)

日中戦争を早期和平に導くために重慶に派遣された日本の関係者5人が上海郊外を移動中に
襲撃を受け殺害されるという事件が勃発。西洋列強の諜報機関が工作している疑いが濃い。
日本側の方も実は和平に賛成する者、反対する者が入り混じっていた。

 
上海の特務機関のオフィス。            親日派の大物・張宇源氏。

椎名中佐は特務機関長・辻井氏から張宇源氏の身辺を探るよう依頼を受ける。
張宇源氏本人は親日派なのだが、どうも彼の身辺から日本側の情報が漏れている様子だという。
雇われている女中とコックを調べたが何も出てこないとのことだ。

 
親日派商社マンを装うシュタイナー氏。       敵側スパイの連絡所を探り出す。右端=椎名中尉。

捜査を進めるうち、遂に情報を漏らしていた人間を見つけだす。それはコックの如康文だった。
足が悪く一切外出をしないため嫌疑を免れていた如だったが、外出はせずとも巧妙な方法で
連絡を取っていたのだった。

第二の和平使節が飛行機の故障で不時着し、現在は八路軍(共産党)に囚われているとの
情報が入り、急ぎ方針決定のための会議がもたれる。
大部隊の強襲による奪還策か、それとも少人数による救出策か。

 
作戦会議。一応は救出策に傾く。           同期の杉本と二人で救出作戦を練る。

結果として少人数による救出策に傾く。ただし期限は一週間。
命令は中野学校出身の椎名中尉に下った。
結局、軍部と特務機関にとっては責任を取らずにすむ、都合のいい結論ですね。
うまく行けば見つけモノ、失敗しても「あいつらヤッパリ使えんな~」の一言で
済ませられるでしょうから(^^;

この映画にも映画的な感興が味わえるパートは有りますが、全体としてみるとやや弱い。
各エピソードの配置にもちょっと「?」なところが感じられますね....。

「陸軍中野学校(ニ) 雲一号指令」観ました。

2015-08-22 15:30:00 | 邦画
1966年:大映。 監督:森 一生。 WOWOWからの録画。
8/19に観た「陸軍中野学校」の続編。
いよいよ中野学校を卒業した元生徒たちは各々の配属地を目指す。
椎名少尉も例外ではない。赴任地の朝鮮半島北部を目指していたが、列車で移動中に
”急ぎ神戸に戻れ”との電報を受け取る。何か大きな事件があったようだ。

 
列車で移動中に電報を受け取る。          神戸での活動拠点=東亜経済研究所。

最高機密の”高性能砲弾”を積んだ軍用船が航行中に爆発を起こして沈んだ。
これが偶然の事故なのか或るいは敵側スパイによる破壊工作なのか、現段階では断定できない。
しかし後者のケースを想定して憲兵隊は犯人探しに躍起になっていた。
そこに中野学校出身のグループが別働隊として参加する。

 
軍港の様子を探る椎名。憲兵から嫌疑を受ける。    同僚・杉本との頻繁な連絡。

憲兵隊は港湾労働者たちが怪しいとみて調べていたが、杉本の意見は違っていた。
むしろ人目のない時間帯に動ける夜警が怪しいとみていた。
そこで杉本は自らも夜警として潜り込み、元から居る夜警・元川を監視することにする。

 
元川氏は昼間から銭湯を楽しむ。          湯船の仕切りを使って何やらの連絡。

椎名は昼の時間帯の元川の監視を担当。
ある日、銭湯内で女湯との仕切りの隙間を利用して元川が何かの連絡をしていることに気づく。
このことにより女湯の方にいた芸者・梅香の動きにも目を光らせる。

 
二件目の軍用船爆沈。                ついに元川の現場を押さえる杉本。

そうこうするうちに二件目の軍用船の爆沈事故が発生。もはや敵側スパイの仕業に間違いない。
杉本は元川の破壊工作の現場を遂に押さえるが、もう一歩のところで逃げられ自爆されてしまう。
一方椎名少尉は梅香について調査を進め、いま梅香と名乗っている人物は実は別人である事実に
突き当たる。少しづつ敵組織の全貌が見えてくるのだったが....。

昔の映画なので、少々ストーリーのテンポが今と違うところはありますが、
その辺を呑みこんで観るぶんには問題ないし、面白い内容だと思います。

「陸軍中野学校」観ました。

2015-08-19 19:30:00 | 邦画
1966年:大映。 監督:増村保造。 WOWOWからの録画。
封切当時、自分は高校生。大人たちの間で評判になった映画だったように思います。
これまで観ようという気はあったのですが何となく縁がなく67歳になってようやく視聴。
あの頃の親父殿の年齢をずっと超えてしまっています(^^;

当時の軍部には”スパイ=卑しいもの”という感覚があったように描かれています。
道理で近代的な情報戦に置いてけぼりにされたわけですわ。敗戦の一因ですね。

私見ですが、スパイというものは、いま現在でも日本の国防上に絶対に必要なものだと
思っています。時代が進むほどに国家間の戦争は総合戦の様子を見せています。
情報戦に関しても、他国に遅れをとってはならないでしょう。
大昔の戦国時代には、どの国の領主も他国の情報を絶えず収集していました。
相手側の情報を早く正確に知ることは自国の方針を立てる上での大前提ですから。
ただ士農工商のいずれにも属しない半端者という低い身分に甘んじていた時代が長かった
ために忍者(スパイ)というものを軽んじる風潮が生じてしまったのは残念です。

 
スパイとしての適性を見るために質問攻め。     家族(母・婚約者)との最後の団欒。

支那事変が勃発、続いて太平洋戦争が間近い時代。
スパイというものの重要性を知る草薙中佐はその養成機関をスタートさせようとしていた。
すなわち、陸軍中野学校。
そのために優秀な人材を候補生として集めて、極秘裏に訓練をさせていく。
候補生たちは入学以降、家族・親戚・友人との音信は全て無期限に禁止される。

 
ささやかながら開校の辞。             暗号解読法を学ぶ。

武道全般・ダンス・外国語習得・マナーそれにスパイとしてのあらゆる座学。
カリキュラムはとても幅広い。それらを一年の内にマスターするようにと強制される。
あまりのハードさに音をあげて首をくくる者も出てきた。
そうした者に対しても通常の戦死者同様に丁重な葬式を行う。遺族年金も出る。

 
自殺者も戦死者として扱い、丁重な葬式。       音信不通の三好の消息を探ろうとする雪子。

いきなり三好少尉と音信不通になり不安になる許婚者の雪子。
三好少尉の消息を求めて、陸軍の関連部署に聞きまわる。
だが英国側スパイから”彼は死亡した”との偽情報。絶望し投げやりな気持ちに堕ちていく。

 
英国大使館内でポーカーに熱中する。        その間に暗号コード表を写しとる。

訓練も最終段階を迎えて、卒業試験として”英国大使館内の金庫にある暗号コード表を
盗め”との実戦命令が下りる。
三好少尉は、館員の中でも賭博好きで借金漬けのデビットソン氏に近づき親しくなる。
ある夜、大使館の使用人以外はすべて外出するという好機が訪れる。
徹夜でポーカーをしようと誘ってくるデビットソン氏。
その間に仲間によってコード表の写しとりは悠々と成功。

しかし何故かそのコード表は全く使いものにならなかった。何故だ?
どうしてかは解らないが、英国側がコード表を写しとられたと即座に気付いたと考えるしかない。
形跡を残すようなヘマな仕事はしていないはずだ。原因はなんだ?
そこで三好少尉は、ある可能性に気づくことになる....。

細かいところで気になるような部分もありますが、全体的にはけっこう見ごたえの
ある映画と言えます。
芝居達者な俳優さんがズラリと並んでいて現在の邦画とは画面からくる迫力が全然違いますね。


「蜩ノ記」観ました。

2015-08-08 17:00:00 | 邦画
20014年:東宝。 監督:小泉堯史。 WOWOWからの録画。
葉室麟氏の原作(小説)は読んでいません。
ここに記した感想はすべて映画からのものになります。
本作を観おわって感じたのは「登場人物がみな良い人ばかりだなあ」ということ。
そして当時の社会の在りようをいま現代の基準で考え当てはめようとしていること。
従ってちょん髷を結い刀を帯びている侍たちが出演している「現代劇」の印象を受けました。
もっともそれはこの映画に限らずいまどきの時代劇には普通に見られることですが。

高潔で練れた人格の主人公・戸田のお陰もあって春風のような爽やかさが感じられる映画です。
しかし本当にそれで良いのか?
武士社会の理不尽さを叫ぶ割には切実さがあまり感じられません。
誤解を恐れずに言えば仲良しごっこのような和やかな気分が常に流れる映画です。
俳優陣の力もあって一応それなりには観れる映画にはなっています。
しかし本当にそれで良いのか? 
映画に少々リアルさに欠けるところがあるのではないでしょうか。

 
突然の強風のため同僚に墨がかかる。        怒り狂った同僚。已むなく刃傷沙汰に。

藩の祐筆役・檀野庄三郎。藩内有数の剣の使い手でもあった。
仕事中のあるとき運悪く強風が吹きこんできて、隣席の同僚の衣服の家紋に
墨がかかってしまう。同僚は激怒して何度詫びても聞く耳持たぬ態度。
遂には庭に出て襲いかかる同僚。やむなく檀野も応戦せざるを得なかった。

 
家老職・中根から密命を受ける檀野。        手紙を読み快く迎え入れる戸田。

本来ならば喧嘩両成敗のところだが、家老職の穏便な処置で切腹を免れた壇野庄三郎。
その代わりと言ってはナンだが、藩内の僻村で羽根藩の家譜作成に携わっている
戸田秋谷の監視役を仰せつかる。これは何か事情がありそうだが.....。
ともかく家老・中根の手紙を携えて戸田の家を訪れる。
手紙を読み事情を呑みこんだ戸田は檀野を快く受け入れる。
しばらく同じ家で寝起きするうちに、檀野にもおいおい事情が見えてくる。

かつて戸田は大殿の側室と不義密通を致した。本来ならば直ぐに切腹を賜るところだが
そうはならなかった。
戸田が進めていた家譜の作成事業。余人には成し難きによって大殿の意向で
家譜完成までの10年間、切腹の猶予期間が与えられたという。
檀野の役目は万一戸田が切腹を恐れて逃げたりしないように見張る、あるいは
その場合は即刻斬り捨てることにあった。
しかし更に事情を知るにつれて、檀野は不義密通は表向きのことで、真の理由は藩の
世継ぎ問題だったことを知る。公儀の目をそらすための苦肉の案だったと。
戸田は藩のため大殿のために敢えて泥をかぶることを引き受けただけのことだった。

 
当時羽根藩には世継ぎ問題があった。        檀野は戸田家の長女に親しみを抱いていく。

念願の家譜の完成が成った直後、欣然と切腹の場に赴く戸田秋谷。見送る家族。
その中には長女・薫を娶った檀野の姿もあった。

初めに書いたように役者陣の好演もあり、それなりには観れる映画になっていると思います。
ですが自分のようなヒネクレ者が観ると「おや?」と思うようなところが折々に目につきます(^^;