みかんの部屋

自分の趣味(映画・漫画など)に関しての雑記ブログです。

「蜩ノ記」観ました。

2015-08-08 17:00:00 | 邦画
20014年:東宝。 監督:小泉堯史。 WOWOWからの録画。
葉室麟氏の原作(小説)は読んでいません。
ここに記した感想はすべて映画からのものになります。
本作を観おわって感じたのは「登場人物がみな良い人ばかりだなあ」ということ。
そして当時の社会の在りようをいま現代の基準で考え当てはめようとしていること。
従ってちょん髷を結い刀を帯びている侍たちが出演している「現代劇」の印象を受けました。
もっともそれはこの映画に限らずいまどきの時代劇には普通に見られることですが。

高潔で練れた人格の主人公・戸田のお陰もあって春風のような爽やかさが感じられる映画です。
しかし本当にそれで良いのか?
武士社会の理不尽さを叫ぶ割には切実さがあまり感じられません。
誤解を恐れずに言えば仲良しごっこのような和やかな気分が常に流れる映画です。
俳優陣の力もあって一応それなりには観れる映画にはなっています。
しかし本当にそれで良いのか? 
映画に少々リアルさに欠けるところがあるのではないでしょうか。

 
突然の強風のため同僚に墨がかかる。        怒り狂った同僚。已むなく刃傷沙汰に。

藩の祐筆役・檀野庄三郎。藩内有数の剣の使い手でもあった。
仕事中のあるとき運悪く強風が吹きこんできて、隣席の同僚の衣服の家紋に
墨がかかってしまう。同僚は激怒して何度詫びても聞く耳持たぬ態度。
遂には庭に出て襲いかかる同僚。やむなく檀野も応戦せざるを得なかった。

 
家老職・中根から密命を受ける檀野。        手紙を読み快く迎え入れる戸田。

本来ならば喧嘩両成敗のところだが、家老職の穏便な処置で切腹を免れた壇野庄三郎。
その代わりと言ってはナンだが、藩内の僻村で羽根藩の家譜作成に携わっている
戸田秋谷の監視役を仰せつかる。これは何か事情がありそうだが.....。
ともかく家老・中根の手紙を携えて戸田の家を訪れる。
手紙を読み事情を呑みこんだ戸田は檀野を快く受け入れる。
しばらく同じ家で寝起きするうちに、檀野にもおいおい事情が見えてくる。

かつて戸田は大殿の側室と不義密通を致した。本来ならば直ぐに切腹を賜るところだが
そうはならなかった。
戸田が進めていた家譜の作成事業。余人には成し難きによって大殿の意向で
家譜完成までの10年間、切腹の猶予期間が与えられたという。
檀野の役目は万一戸田が切腹を恐れて逃げたりしないように見張る、あるいは
その場合は即刻斬り捨てることにあった。
しかし更に事情を知るにつれて、檀野は不義密通は表向きのことで、真の理由は藩の
世継ぎ問題だったことを知る。公儀の目をそらすための苦肉の案だったと。
戸田は藩のため大殿のために敢えて泥をかぶることを引き受けただけのことだった。

 
当時羽根藩には世継ぎ問題があった。        檀野は戸田家の長女に親しみを抱いていく。

念願の家譜の完成が成った直後、欣然と切腹の場に赴く戸田秋谷。見送る家族。
その中には長女・薫を娶った檀野の姿もあった。

初めに書いたように役者陣の好演もあり、それなりには観れる映画になっていると思います。
ですが自分のようなヒネクレ者が観ると「おや?」と思うようなところが折々に目につきます(^^;

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