岸田文雄首相は8月10日に、第2次岸田改造内閣を発足させた。当初内閣改造は9月と見られていたが、旧統一教会と自民党の関係が思いのほか強いことが次第に明らかになり、沈静化の為急遽早めたと勘繰られる。
発足後の記者会見で新内閣のネーミングを問われると、有事に対応する ”政策断行内閣”と命名し、山積する政策課題に対応するとともに、自らの政策思想”新しい資本主義”の実現を目指すと語った。ここでは旧統一教会より、政策優先の方針を示したのは当然であろう。異次元金融緩和の出口問題、ロシアのウクライナ侵攻に関わる諸問題、気候の温暖化に関わる問題等山積みであり、どれ一つ解決に容易でない。
旧統一教会の思想はこれらの問題に直接関係しないであろうが、思いのほか自民党内に深く浸透した教会は、ジェンダーフリーに関わる問題等に本人の意識以上に影響を与えるだろう。
さてこれまで”新しい資本主義”の内容がはっきり示されていないが、これまで安倍元首相の異次元金融緩和と相反するところがあるとのことで、岸田首相も遠慮していたようであり、元首相の死去によりいよいよ具体的な内容が示されると期待している。
第2次岸田改造内閣の評判は経済界からはご祝儀も含めて歓迎のようである。「政策通の人材が多数登用され、極めて強力」「本格的な経済再生に向かうための手堅い布陣」と評価する声が聞かれる。政界に疎い人間からは判断できないが、本当にそうあって欲しいと願うばかりだ。
異次元金融緩和は日本に膨大な借金を負わせ、財政健全化もどこ吹く風で将来に大きな負の遺産を残している。日銀総裁も来年4月に黒田総裁が退職し次に誰になるかが注目されるが、最近日銀政策委員会メンバーの任期満了に伴い、異次元金融緩和に消極的なメンバーが加わった。また推進派の若田部副総裁も来年3月に任期満了になるが、異次元金融緩和の方針変更の公算は小さいと予測されるのだそうだ。何しろ、異次元金融緩和の影響が大き過ぎるため、その中止に伴う弊害も懸念されるとのことだ。
今回の改造内閣で岸田首相は19閣僚のうち14人を交代した。旧統一教会との関係を徹底的に絶つと思われたが、10日の内閣改造当日、留任が決まった山際経済再生相、再入閣の加藤厚労相、新入閣の寺田総務相と西村環境相について、関連会合への会費支払いや会合への参加などが明らかになり、完全払拭までに至らなかった。
これまで何らかの関係があった議員は口々に見直す等の発言を繰り返しているが、本当に関係を断つかどうかは分からない。旧統一教会の宣伝材料に使用され、そのために寄付や霊感商法で被害を受けた人々が受けた被害に対する損害を自ら補填する等の発言は誰一人からも聞かされていないからだ。
デジタル大臣と消費者担当相を兼ねる河野太郎氏は、旧統一教会を巡る霊感商法の被害対応に関し「消費者庁の中で検討会を速やかに立ち上げたい」との考えを示した。将来の首相候補でもある河野氏に大いに期待する。2022.08.13(犬賀 大好ー838)