日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

命の源は宇宙にあるのか

2022年06月11日 09時05分02秒 | 日々雑感
 生物の生物たる所以は自己複製能力にあるとのことだそうだ。生物には雄と雌があり両者の結び付きから子孫を残す。

 地球誕生から46億年、地球に生命が現れたのは約38億年前だそうだ。最初の生命はどのように生まれたかは長年の探求に拘わらず今もって謎のままだ。私たちの生命の誕生については、地球外起源説、原始大気起源説、原始海洋起源説などいくつかの説があるが、いずれにしても生命の源はアミノ酸だと言われている。

 先日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「はやぶさ2」が地球に持ち帰った小惑星「リュウグウ」の砂から、アミノ酸が20種類以上見つかったとのことで、生命の起源の謎がこれで明らかになるかも知れないとマスコミは大騒ぎである。

 自然界には約500種類ものアミノ酸が発見されているが、私たちのカラダのたんぱく質を構成しているのはわずか20種類だそうで、リュウグウでこの内の何種類かが発見されたそうだ。

 アミノ酸は地球上に落下した隕石からも見つかっているが、落下の際地球上のアミノ酸が付着した可能性もあったとのことで、今回宇宙にも生命の基となるアミノ酸が発見されたことで、生命の地球外起源説を後押しする結果となりそうだ。

 しかし、地球上でもある種のアミノ酸は無機物からも合成可能であり、そう驚くほどの話ではない。肝心なのはこれらのアミノ酸から自己複製能力を有するDNAあるいはRNAがどうやって誕生したかである。

 生命誕生の過程は化学進化⇒原始生命体⇒共通祖先⇒細菌と古細菌と進むと考えられている。化学進化とは地球上で生命が出現するまでの物質の変化あるいは進化であり、原始大気中のメタン・アンモニア・水素などから、放電などによってアミノ酸・糖などの有機化合物が生成され、それらが結合してたんぱく質・核酸などになり、原始生命体が生成される過程を言うようだ。

 水素などの原子からメタン等の分子が作り出され、更に複雑な各種の分子が作り出される過程は、地球誕生後の特殊な環境と相まって、純粋な化学反応としてまだ想像が出来る。しかし、物事が複雑化する過程は想像できても、ある規則正しさが要求される自己複製が可能な原始生命体の誕生を想像するには余りにも飛躍がある。

 一旦原始生命体が出来れば、周りの環境に適用出来る生命体が生き延び、適者生存の原則に従い進化を進め、人類が誕生したこともまだ想像できる。化学進化の最終段階で生命誕生の種が出来たのであろうが、特殊環境の下での偶然の産物かあるいは必然的な産物か興味が尽きない。

 リュウグウから持ち帰った物質の中にアミノ酸ばかりでなく、もっと複雑な例えばたんぱく質の類が発見されれば、生命誕生の謎に一歩迫り世紀の大発見となるだろう。2022.06.11(犬賀 大好ー821)

岸田首相の「新しい資本主義」はどこへ行ったか

2022年06月08日 09時11分01秒 | 日々雑感
 昨年10月8日、岸田首相は衆参両院の本会議で初の所信表明演説を行い、富の分配によって中間層を拡大させることなどを目指す ”新しい資本主義の実現”を打ち出した。首相は新自由主義的な政策が深刻な貧富の格差を生んだとの認識を示し、”成長と分配の好循環”のコンセプトの下、新しい資本主義の実現へ「成長戦略」と「分配戦略」を車の両輪に位置づけ、分配なくして次の成長なしと主張した。

 これまでのどの政権も成長戦略を計画したが、いづれもまともな成功は無かった。それを踏まえ岸田首相は分配なくして成長なしと、新基軸を打ち出し分配の重要性を訴えた。これまでの政権は分配戦略に言及したことなく、この点で何か新しいことをやってくれると期待が膨らんだ。

 首相が分配戦略で富裕層から中間層へ富を再分配するとして訴えたのは、株式や配当で得た利益に課税する金融所得課税の強化や、所得が1億円を超えると税負担率が下がっていく税制の改革だった。

 政府は昨日7日「新しい資本主義」の実現に向けた実行計画を閣議決定した。しかしそこには分配の考えはどこにも無かった。金融所得課税等は経済からの猛反発があったようだし、また安倍元首相の猛批判もあったようだが、岸田首相の所信表明演説における分配なくして成長無しの考えは信念ではなく単なる思い付きだったようだ。

 新しい資本主義で車の両輪だった筈の分配戦略はどこかに消えてしまい、成長戦略だけが生き延びたが、その成長戦略たるや歴代の政権と同様に馬の鼻面に人参をぶら下げる作戦の域を出ていない。

 これまでの政権と同じ成長戦略一辺倒であり、異なるのはお題目だ。格差拡大や気候変動問題など社会的課題を新たな官民連携で解決し、非正規雇用者を含む約100万人を対象に能力開発や学び直しなどの支援を進める方針を盛り込んではいるが、手法は同じだ。

 社会は若者中心にデジタル社会に変化しつつあるが、欧米の国々と比べ周回遅れの現状だ。この現実を直視せず馬や人参を変えるだけでは同じ失敗を繰り返すことになる。

 また、個人の金融資産を貯蓄から投資へ誘導する資産所得倍増計画を打ち出した。これは莫大な個人の金融資産を貯蓄から投資に促すためであろうが、これにより個人が得をするには企業が成功した場合に限られる。これまで銀行は異次元金融緩和により莫大な資金を抱えている筈であるが、有効な投資を行えなかった。いくら投資資金を集めたところで、企業は成長しない。成長するためには資金以外の何かが欠けているのだ。

 岸田首相の実行計画は経済成長一辺倒になったが、成長は必然的に格差を生む。日本社会の経済格差による分断解消は岸田首相の念願だった筈だ。税制改革の機運は影を潜めたが、首相の独自の政策を期待する。2022.06.08(犬賀 大好ー820)

成長戦略の失敗はお金の問題か

2022年06月04日 10時22分45秒 | 日々雑感
 日銀が先月17日発表した資金循環統計によると、2021年12月末時点の個人の金融資産残高は2023兆円となり、2000兆円の大台を初めて突破したとのことだ。一方、国の借金が2022年3月末時点で過去最大の1241兆円だそうだが、個人の金融資産はその1.6倍もあることになり、この点で国の借金も大した事でないとを主張するエコノミストもいるが、楽観的過ぎる。

 金融資産のうち現金・預金残高が約50%を、株式や投資信託は15%を占めているそうだ。米国の個人金融資産と比べると、現金・預金の構成比はわずか13%で、株式や投資信託の占める比率が約50%だそうで、日米の資産に関わる考え方の違いが良く表れている。

 さて現金・預金の約1000兆円の内訳は現金であるタンス預金が初めて2020年12月末時点で100兆円を突破し101兆円と過去最高となったそうだから、ほとんどは預金されていることになる。しかし、現在銀行預金の利子はほぼゼロであり、タンスが銀行の金庫となっただけでタンス預金と何ら変わらないことになる。

 5月31日、岸田首相は個人の金融資産を貯蓄から投資へ誘導する資産所得倍増計画を発表した。これは銀行に眠る1000兆円弱の個人預金に目を付けたのであろう。その具体策はこれからだそうだが、岸田首相が提唱する新しい資本主義においても成長は必須とのことで、この金を如何に投資に向かわせるかがポイントになるだろう。

 安倍前首相の異次元金融緩和でも経済成長が重要と言いながら失敗した。日銀は市中の国債を買い取り市中に金をばらまいたが、企業はその金を有効に投資に回せなかった。つまり、成長戦略は金のある無しではなく、成長の基になる種を見出すことが重要なのだ。

 銀行の本来の役目は一般市民から集めた金を企業に投資し、企業はその金で儲け、その利益の一部を市民に返却することだ。ところが銀行は多大な預貯金を抱える一方、国債を現金化した資金を有効に活用できなかったのは、銀行が将来性のある投資先を見いだせなかったことが原因であろう。

 西欧社会、特に米国では成長分野の成長は著しい。この差は銀行ばかりでなく、日本の経済界全般の過去の成功体験から抜け出せない体質によるだろう。その抜本的な問題を解決しないでお金ばかりを注いでも失敗に終わるのは目に見えている。

 世界はキャスレス化、デジタル社会化が進んでいるが、日本がその流れに乗り遅れているのも一因であろう。日本人の国民1人当たりの資産は平均約1650万円との計算になるが、その大半は50歳以上の高齢者が所有者だ。日本社会も徐々にではあるがデジタル化が進みつつあると言え、主流は若者層だ。

 この矛盾を解決するのが政治の役目であろう。個人資産を投資に振り向けようと岸田首相がいくら努力しても、社会の変化が伴わなければ過去の政権のように失敗に終わる。2022.06.04(犬賀 大好ー819)

新型コロナウイルス騒動も生物進化の一過程か

2022年06月01日 08時52分02秒 | 日々雑感
 5月24日 東京都は、新型コロナウイルスのオミクロン株の系統の一つでBA5と呼ばれる新たな変異ウイルス1件が確認されたと発表した。現在流行の主流はオミクロン株の中でもBA2と呼ばれる変種であるが、この仲間BA5の国内での確認は今回が初めてだそうだ。しかし、感染した70代の男性は、海外への渡航歴や渡航歴のある人との接触はなく、市中で感染したと見られることから、市中には感染者は結構いると思われる。

 新型コロナウイルスはアルファ株、デルタ株、そしてオミクロン株のBA1、BA2と変異株が相次いでいる。これはコロナウイルスが変異し易いせいかも知れないが、遺伝子解析の進歩が発見を促しているのだろう。

 生物学者の福岡博士によれば、ウイルスを生物とするか無生物とするかは長らく論争の的であり、いまだ決着がついていないそうだ。生物は自己複製能力を有することが本質であり、ウイルスは遺伝子を有するが、単独では増殖できず他の生命体の細胞の中でしか増殖できない不思議な存在である。その遺伝子構造は生物の遺伝子より単純なため、生物の誕生以前にウイルスが存在していたと考えたくなるが、この件もまだよく分かっていないようだ。

 ウイルスには様々な種類があり、大きさも細菌の1/10程度以下と思っていたが細菌と同程度の大きさのものもあるようだし、遺伝情報の実体がDNAだったりRNAだったり、一本鎖のものもあれば二本鎖のものもあるそうで、実に多様だ。

 地球に生命が現れたのは約38億年前だそうだが、ウイルスは遅くとも30億年前には地球に存在していたと言われている。地球誕生から46億年、それから8億年経ち生命が誕生したが、最初の生命すなわち原始生命体はどのような形であったであろう。生命の起源を求めて、火山口から深海の熱水噴出孔まで、果ては宇宙まで探索が続けられているが、依然として謎のままだ。

 ウイルスは、地球に現れてから常に自らを増やす場を求め、生物に感染し続けてきた。新型コロナウイルスばかりでなく、最近急性肝炎やサル痘のウイルス性疾患がマスコミを賑わすが、それもその活動の一環なのだろう。通常これらのウイルスは人類に害を与える宿敵と見なされるが、近年の研究ではウイルスは必ずしも人類の敵だとばかりは断言出来ないと明らかにされているそうだ。

 すなわち生物の進化に関与するといった別の顔も持っており、生物と共生する中で、ウイルスは数々の重要な役割を担っているのだそうだ。ウイルスは感染先である宿主に感染するための効率よい手段を模索する。すると、私たち宿主も、そのウイルスに対抗するための手段を獲得する。このいたちごっこで、常にお互いが進化し続けると言うことであろうが、現在の新型コロナウイルス騒動もワクチン騒ぎするより自然のままに放っておいた方が良いのかもしれない。2022.06.01(犬賀 大好ー818)