生物の生物たる所以は自己複製能力にあるとのことだそうだ。生物には雄と雌があり両者の結び付きから子孫を残す。
地球誕生から46億年、地球に生命が現れたのは約38億年前だそうだ。最初の生命はどのように生まれたかは長年の探求に拘わらず今もって謎のままだ。私たちの生命の誕生については、地球外起源説、原始大気起源説、原始海洋起源説などいくつかの説があるが、いずれにしても生命の源はアミノ酸だと言われている。
先日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「はやぶさ2」が地球に持ち帰った小惑星「リュウグウ」の砂から、アミノ酸が20種類以上見つかったとのことで、生命の起源の謎がこれで明らかになるかも知れないとマスコミは大騒ぎである。
自然界には約500種類ものアミノ酸が発見されているが、私たちのカラダのたんぱく質を構成しているのはわずか20種類だそうで、リュウグウでこの内の何種類かが発見されたそうだ。
アミノ酸は地球上に落下した隕石からも見つかっているが、落下の際地球上のアミノ酸が付着した可能性もあったとのことで、今回宇宙にも生命の基となるアミノ酸が発見されたことで、生命の地球外起源説を後押しする結果となりそうだ。
しかし、地球上でもある種のアミノ酸は無機物からも合成可能であり、そう驚くほどの話ではない。肝心なのはこれらのアミノ酸から自己複製能力を有するDNAあるいはRNAがどうやって誕生したかである。
生命誕生の過程は化学進化⇒原始生命体⇒共通祖先⇒細菌と古細菌と進むと考えられている。化学進化とは地球上で生命が出現するまでの物質の変化あるいは進化であり、原始大気中のメタン・アンモニア・水素などから、放電などによってアミノ酸・糖などの有機化合物が生成され、それらが結合してたんぱく質・核酸などになり、原始生命体が生成される過程を言うようだ。
水素などの原子からメタン等の分子が作り出され、更に複雑な各種の分子が作り出される過程は、地球誕生後の特殊な環境と相まって、純粋な化学反応としてまだ想像が出来る。しかし、物事が複雑化する過程は想像できても、ある規則正しさが要求される自己複製が可能な原始生命体の誕生を想像するには余りにも飛躍がある。
一旦原始生命体が出来れば、周りの環境に適用出来る生命体が生き延び、適者生存の原則に従い進化を進め、人類が誕生したこともまだ想像できる。化学進化の最終段階で生命誕生の種が出来たのであろうが、特殊環境の下での偶然の産物かあるいは必然的な産物か興味が尽きない。
リュウグウから持ち帰った物質の中にアミノ酸ばかりでなく、もっと複雑な例えばたんぱく質の類が発見されれば、生命誕生の謎に一歩迫り世紀の大発見となるだろう。2022.06.11(犬賀 大好ー821)