日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

先進国の出生率の低下は文明発展の証か

2022年06月25日 09時10分35秒 | 日々雑感
 6月4日、厚生労働省は1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は2020年には1.34となり、5年連続の低下となったと発表した。今の日本は、若年層が減る一方、2025年には団塊の世代の約800万人が後期高齢者となり、国民の5人に1人が75歳以上となる超高齢化社会に突入することになる。

 社会保障や経済活動の“担い手”である20~65歳の生産労働人口は減少し続け、30年前は現役世代5人で高齢者1人を支えていたのに、今から3年後の2025年には現役1.8人で高齢者1人を支えなければならなくなる未知の世界が待っている。

 少子化問題は日本だけに限らず、先進国では共通の課題になりつつある一方では、人口爆発の問題がある。現在、世界の人口は78億人を超えるが、このまま増加を続けると2050年には100億人を突破すると予想されている。国連報告書によると、世界人口の増加の過半は、インド、ナイジェリア、パキスタン、等発展途上国で発生すると言われている。

 人口が増加すると資源の消費が増え、さまざまな生産が追いつかなくなる。この結果、食糧や水、資源、住宅、雇用などの不足を引き起こし、貧困や経済格差の拡大がもたらされる。

 先進国の少子化の原因である”未婚化や晩婚化の進展”及び”夫婦の出生力の低下”の背景にあるものとして、教育を受け仕事をする女性が増え、避妊の知識が増えたこと等で、女性が子ども数を制限するようになったとのことだ。

 少子化に悩む国は、仕事と子育てを両立できる環境整備として女性の産休や父親の育休の拡充、無料の保育制度、奨励金、雇用における権利の拡充と言った政策を試みてきたが、捗々しい改善はされていない。

 低開発国で出生率が高く、人口が増え続けるのは、根本に貧困とそれに伴う教育不足があるだろう。労働力の確保のため、また子供の死亡率の高さを考え出来るだけ沢山産む。更に、避妊に関する知識が浸透していない要因も考えられる。その上先進国が途上国の資源や労働力を奪い、貧困をさらに加速させる悪循環も重なる。

 野生動物は生きるための環境が整えばいくらでも増える。人間と野生動物の違いはなんであろう。人間は生きるための環境は当然として、生活を享受する種族だ。子どもを産み、子供を育てるのは人生の喜びであるが、それ以上に享楽を求める。

 暮らしが豊かになるにつれて、多くの人々が教育を受け、公衆衛生も普及してくると社会は必然的に”多産”から ”少産”へと向かう。少子社会は、高齢社会を支える問題があるが、それも時が解決してくれる。少子社会は少子社会なりの生き方があり、これも文明発展の一過程とそれほど嘆くことでは無い。2022.06.25(犬賀 大好ー825)