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日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

政府は己への批判には率直に耳を傾けるべき

2020年10月14日 09時04分21秒 | 日々雑感
 菅義偉首相が日本学術会議の新会員候補6人の任命を拒否したことが、マスコミを賑わしている。菅首相は10月5日、インタビューで”同会議は政府機関で、会員は公務員、年間10億円の予算を使っており、人選は事実上、現在の会員が後任を指名することも可能で、そうした前例を踏襲していいのかを考えた”と述べたが、踏襲したくない前例とは、この文脈からは、会員が公務員となることか、10億円の予算の使い方か、現在の会員が後任を指名することであろう。

 しかし、本音は別の所にあり、状況的には拒否理由は明確である。すなわち、任命拒否された6人は、いづれも政府の方針に異を唱えたことのある人だ。”国税で雇っている輩が上司である俺の言うことを聞かないのはけしからん”が本音であろう。

 そもそも、学術会議の設立理由が、かって戦争を推し進める政府に学者が加担した反省からのことであるので、拒否理由を ”総合的、俯瞰的な活動を確保する観点から判断した”との言い訳も本音をぼやかして言ったに過ぎない。この言い方は企業における人事に使われる常套句であり非常に便利な言い回しだ。

 菅首相は首相就任の挨拶で、国民には丁寧に説明することを心掛けたいとの趣旨の挨拶をしたが、これでは安倍前首相のやり方をそっくり真似したことになり、そこまで継承しなくて良いと思うが。

 拒否された人間が学術会議のメンバーになれなくとも、今後の研究活動に不便を来たすことが無いので、学問の自由を侵すことにならないと主張するテレビのコメンテータがいたが、近視眼的な発想だ。

 学術会議のメンバーになれば世間的な拍が付く。人間誰しも自尊心があり人から一目置かれることを好む。残念ながら世間一般の評価は中身より表面ずらで決まる。学術会議のメンバーになりたい者は沢山いる。このような者は政府に異議を唱えることを避ける。学術会議の全員が政府の方針に賛成となれば、学術会議の設立趣旨に全く反する。

 政府には経済諮問会議等、無数の諮問機関がある。その人選は政府が決める為、結論は先にありきであり、単に外部の識者の意見で包装したに過ぎない。学術会議がこのような諮問機関の一つにならないように、反対意見にも真摯に耳を傾ける姿勢を示して欲しいものだ。

 この点、独立系シンクタンク、アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)の活動が注目される。今年7月30日に発足させた「新型コロナ対応・民間臨時調査会」(コロナ民間臨調)が政府の新型コロナウイルス対策の是非の調査結果を近く発表するそうだ。

 新型コロナウイルス感染症の日本の感染者数、死者数は主要先進国の中では少なく、政府の対策を「日本モデル」として安倍前首相は胸を張ったが、このコロナ民間臨調は政府のコロナ対策に関し苦言を呈しているようだ。

 調査結果では、緊急事態宣言の遅れた理由を小池都知事のせいにしたり、学校の一斉休校に対する説明不足が目立ったり、政府の対応には不手際が目立ったと指摘しているようだ。この指摘に対し日本モデルがやはり誇れるものであったとの政府の反論があって、言論の自由が成り立つ。2020.01.14(犬賀 大好-643)

ハンコの廃止には、まずその重要性のランク分けから

2020年10月10日 09時31分59秒 | 日々雑感
 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため在宅勤務が急速に広がっているようだが、コロナが収束した後どの程度定着するか非常に興味のあるところだ。コロナ騒動が無くても、過密都市の弊害が問題視され、在宅勤務や職場の分散化等が望まれる一方で、家庭に居場所が無いと嘆く人も多いからである。

 さて、在宅勤務や職場の分散化が出来ない大きな理由の一つが、出社し押印しなければならない様々なハンコの存在だそうだ。ハンコが個人を特定するものとして重要視されるのは、日本の他、かって日本が統治したことがありその影響が残る韓国と台湾だけだそうだ。欧米ではサインがほとんどで、ハンコそのものの存在が珍しがられ、日本を訪問した外国人観光客が自分のハンコを作り悦に入っている報道もある位だ。

 表彰状等に押された赤いハンコはそれだけで目立ち有難味を増すが、役所等で稟議される書類に押されるハンコの多さには呆れ果てる。ハンコの多さは多くの人が内容に責任を持つためが本来の主旨であろうが、責任分散もいい加減にしろと言いたい位だ。また、役所に提出する婚姻証明書等の書類には大抵ハンコが必要とされるが、そのハンコは近くの文房具店で誰でも安く買うことが出来ることが多く、何のためのハンコか訳が分からなくなる。

 このようなハンコの不合理さと、最近のパソコンの発展に伴い、押印を廃止して電子化するケースが目立ってきたようで、IT企業では社内手続きのペーパーレス化が進んでいるそうだ。大企業は以前からインターネット等のITインフラを整えており、その活動の一環として”脱ハンコ”が進んでいるのは当然の流れである。

 しかし社外との関係では押印を求められることが多く、在宅勤務が奨励されても、社印を管理する担当者は毎日押印のために出社しなければならないそうだ。脱ハンコのためには、社会全体がまずパソコン等のITインフラを整える必要がある。しかし現状ITインフラが整っているのは大企業のみだ。日本企業の99.7%は中小企業であり、それらの企業はパソコン等の使用環境整っておらず、脱ハンコは容易でない。

 さて、菅新政権で新たに任命された河野太郎行革相が脱ハンコに積極的である。全府省で年間1万件以上発生する手続きのうち、押印を求めているものは820種類もあったという。9月末時点で存続を希望するのは4%にあたる35種類だったとのことだ。官公庁は既にITインフラは万全の筈だ。まず率先して庁内の無駄なハンコを廃止すべきだ。

 河野行革相が行政手続きを巡る脱ハンコを打ち出したことに慌てて、自民党の”日本の印章制度・文化を守る議員連盟(はんこ議連)”は、10月8日拙速で行き過ぎた”脱ハンコ”化で押印に対する信頼が揺らいでいる、として、業界を含めた国民の十分な理解を得るよう求める要請書を加藤官房長官に提出したそうだ。

 しかし、はんこ議連も、何が何でも脱ハンコに反対では無いとの意向だ。まず、押印の重要性のランク分けから始めるべきだろう。天皇陛下の印章を始め各種の表彰状における印章は当面は無くないだろうが、権威付けのためには印章より自筆のサインの方が良いと思うが。2020.10.10(犬賀 大好-642)

米大統領選と米中の争いの行方

2020年10月07日 09時07分37秒 | 日々雑感
 米国の大学が9月24日、11月の米大統領選挙で激戦が予想されるテキサス州とオハイオ州で実施した世論調査結果を発表した。それによると、テキサス州では共和党のトランプ大統領が民主党のジョー・バイデン前副大統領を5ポイントリードし、オハイオ州でもトランプ氏が1ポイントリードしたそうだ。

 これまで、バイデン氏が有利との報道が多かったが、トランプ氏が猛烈に追い上げているようで、この先予断を許さないようだ。支持の理由は、両州ともに”人種差別”の点ではバイデン氏が有利であるが、”経済”や”軍事”に関してはトランプ氏の方が有利とのことだ。

 米国大統領選挙に対するトランプ大統領の基本政策は、中国に対し特に強硬であり、他の外交政策とは別に項目を立てて重要性を強調し、例えば中国への依存を終わらせるとして、中国から100万人分の製造業の雇用を取り戻す他、更に、中国に新型コロナウイルスの感染を拡大させた責任をとらせる、などとしている。

 さて、大統領選の行方であるが、9月30日のテレビ討論会では両者が非難合戦したため勝者無しの引き分けとの見方が強いが、2日には、トランプ米大統領とメラニア夫人が新型コロナウイルスの感染検査で陽性だったと判明し、大統領選挙が一層混沌としてきた。

 中国が推進する巨大経済圏構想”一帯一路”はアジアとヨーロッパを陸路と海上航路でつなぐ物流ルートをつくって、貿易を活発化させ、経済成長につなげようとするものだ。世界各地への中国の進出は地域の経済発展の可能性が高まる一方で、さまざまな懸念やトラブルを起こしている。

 中国と米国は経済的には深く関わっているが、”一帯一路”の戦略は脱米国の動きの一環であろうし、中国の世界への進出を米国は快く思っておらず、中国に対する強い姿勢が、トランプ人気の根源であろう。

 南シナ海問題もその一つだ。中国は、南シナ海のほぼ全域に領有権を主張し、人工島を造成するなど実効支配を進めている。これに対し、南シナ海に接するフィリピン、マレーシア、ブルネイ、台湾、ベトナムとは領有権を巡って対立しているが、中国は経済的な支援をちらつかせ懐柔を計っているのも、米国を苛つかせる原因であろう。

 日本も南シナ海は多くの船の交通路に当たるため懸念の意を表しているが、南シナ海に関する問題は日本には関係がなく、日本にはこの問題に介入する権利はないと中国は一蹴している。マイク・ポンペオ米国務長官も、南シナ海における中国の領有権主張は大半が違法だとする声明を発表したが、中国は内政干渉と強く反発している。

 米国は東南アジア諸国に対中包囲網への参加を求めるが、加盟国の対応はバラバラである。日本は両国を刺激しないように八方美人を振舞っているが、中国の新型コロナウイルスのワクチン供与、景気てこ入れ支援に期待する国も多いのも現状だ。

 米国ではトランプ大統領の中国に対する強硬政策が幅広く支持されており、バイデン大統領になっても継続せざるを得ないだろう。日本は両国の狭間で、難しい外交を強いられそうである。2020.10.07(犬賀 大好-641)

新型コロナウイルスの免疫抗体の持続性は不明

2020年10月03日 09時48分02秒 | 日々雑感
 9月22日、中国の習近平主席は、国連総会の一般討論演説で、新型コロナのワクチンについて、使用可能になれば、国際公共財として優先的に発展途上国に提供する、と述べ、トランプ氏とは対照的に国際協調をリードする姿勢をアピールした。

 コロナウイルスが世界中に蔓延する現在、この演説は大いに宣伝効果があったであろう。習主席は漢民族第1主義者であるが、世界に貢献しているとの宣伝が実に巧みな点では、トランプ米大統領の自国第1主義とは大いに異なる。

 中国科学技術省は、9月5日の会見で、現在11種類のワクチンについて臨床試験を行っており、このうち4種類が最終段階に進んでいることを明らかにしたうえで、年末までにおよそ6億回分を生産できる見通しを示した。中国13億人分には足りないが、それでも他国へ回した方が得との戦略であろうか。

 また、現在中国製ワクチンが世界中で臨床試験されているらしいが、日本にもどこかで試験されているに違いない。国有企業の傘下の企業「中国生物技術」が開発中の2種類のワクチンは中東で3万5000人以上に投与され、”目立った問題は起きていない”としているが、全く問題が無かったとは言っていない。

 中国企業のワクチン開発はいずれも政府が後押ししているのだろうから、最終の臨床試験において、多少の問題が発生しても、”目立った問題は起きていない”で片づけるであろう。

 これまで開発中のワクチン摂取により人体に抗体が出来たと成功の報告はあるが、副作用やその抗体の持続性がどの程度あるかは明らかにされていない。副作用や持続性の確認の為には年単位の時間がかかるので、ワクチンの本当の価値はなかなか分かり難いが、世界の多くの指導者が年内に入手できると楽観的に主張しているのは、政治的な配慮からであろう。

 さて新型コロナウイルスに実際感染し回復した人に出来た抗体の持続性も良く分かってない。7月29日、横浜市立大学では、新型コロナウイルス感染症より回復した人を対象に、大規模な抗体検査を開始すると発表した。8月より予約受付を開始し、9月より各協力医療機関での血液検査を行っていくそうだから、現在進行中に違いない。

 横浜市立大学によると、調査の対象は20歳以上の感染者で300人から400人の参加を目指し、回復後の約半年後と1年後に血液の中の抗体を調べ、新たな感染を防ぐ抗体があるのか、更にどのくらいの期間持続するのかも調べるのだそうだ。感染した人の免疫を大規模に調べるのは国内で初めてだそうで、最初の結果が分かるのは早くても来年3月以降だ。4月に感染が確認されたフリーアナウンサーの赤江珠緒さんも参加するのだそうだ。

 新型コロナウイルスの抗体に関しては様々な疑問がこれまで述べられている。一度感染したのに再度感染した人がおり、人によっては抗体が出来ないのではないか、あるいは抗体の効き目は極めて短時間でしかないのではないか。日本人に感染者の数が少ないのは、日本では既に類似の風邪に感染しておりその抗体が効果を発揮しているのではないか等、あるが、後半年もすればもっと真実に迫れるかも知れない。2020.10.03(犬賀 大好-640)