日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

ハンコの廃止には、まずその重要性のランク分けから

2020年10月10日 09時31分59秒 | 日々雑感
 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため在宅勤務が急速に広がっているようだが、コロナが収束した後どの程度定着するか非常に興味のあるところだ。コロナ騒動が無くても、過密都市の弊害が問題視され、在宅勤務や職場の分散化等が望まれる一方で、家庭に居場所が無いと嘆く人も多いからである。

 さて、在宅勤務や職場の分散化が出来ない大きな理由の一つが、出社し押印しなければならない様々なハンコの存在だそうだ。ハンコが個人を特定するものとして重要視されるのは、日本の他、かって日本が統治したことがありその影響が残る韓国と台湾だけだそうだ。欧米ではサインがほとんどで、ハンコそのものの存在が珍しがられ、日本を訪問した外国人観光客が自分のハンコを作り悦に入っている報道もある位だ。

 表彰状等に押された赤いハンコはそれだけで目立ち有難味を増すが、役所等で稟議される書類に押されるハンコの多さには呆れ果てる。ハンコの多さは多くの人が内容に責任を持つためが本来の主旨であろうが、責任分散もいい加減にしろと言いたい位だ。また、役所に提出する婚姻証明書等の書類には大抵ハンコが必要とされるが、そのハンコは近くの文房具店で誰でも安く買うことが出来ることが多く、何のためのハンコか訳が分からなくなる。

 このようなハンコの不合理さと、最近のパソコンの発展に伴い、押印を廃止して電子化するケースが目立ってきたようで、IT企業では社内手続きのペーパーレス化が進んでいるそうだ。大企業は以前からインターネット等のITインフラを整えており、その活動の一環として”脱ハンコ”が進んでいるのは当然の流れである。

 しかし社外との関係では押印を求められることが多く、在宅勤務が奨励されても、社印を管理する担当者は毎日押印のために出社しなければならないそうだ。脱ハンコのためには、社会全体がまずパソコン等のITインフラを整える必要がある。しかし現状ITインフラが整っているのは大企業のみだ。日本企業の99.7%は中小企業であり、それらの企業はパソコン等の使用環境整っておらず、脱ハンコは容易でない。

 さて、菅新政権で新たに任命された河野太郎行革相が脱ハンコに積極的である。全府省で年間1万件以上発生する手続きのうち、押印を求めているものは820種類もあったという。9月末時点で存続を希望するのは4%にあたる35種類だったとのことだ。官公庁は既にITインフラは万全の筈だ。まず率先して庁内の無駄なハンコを廃止すべきだ。

 河野行革相が行政手続きを巡る脱ハンコを打ち出したことに慌てて、自民党の”日本の印章制度・文化を守る議員連盟(はんこ議連)”は、10月8日拙速で行き過ぎた”脱ハンコ”化で押印に対する信頼が揺らいでいる、として、業界を含めた国民の十分な理解を得るよう求める要請書を加藤官房長官に提出したそうだ。

 しかし、はんこ議連も、何が何でも脱ハンコに反対では無いとの意向だ。まず、押印の重要性のランク分けから始めるべきだろう。天皇陛下の印章を始め各種の表彰状における印章は当面は無くないだろうが、権威付けのためには印章より自筆のサインの方が良いと思うが。2020.10.10(犬賀 大好-642)


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