日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

自国第1主義はトランプ大統領の専売特許では無い

2020年02月12日 09時09分49秒 | 日々雑感
 トランプ大統領を代表とする自国第1主義が世界的に広がりを見せている。この自国第1主義はかってのモンロー主義と同じであり、トランプ大統領が最初に始めたものでは無い。

 そもそも国同士の争いは昔からある。15世紀末以降のヨーロッパ諸国によるアフリカやアジア、あるいはアメリカ新大陸に対する国家的な植民化競争、17~18世紀はイギリス、フランス等の激しい植民地争奪戦が、18~19世紀は資本主義国による植民地支配が激突した時代であった。

 モンロー主義とはこのような時代を背景に1823年に米国モンロー大統領がラテンアメリカ諸国独立に対するヨーロッパの干渉を非難する主張であった。独立に反対する非難と言えば聞こえは良いが、自分らの利益を横取りするなと言う米国の自国第1主義であった。

 19世紀を通じてモンロー主義は米国の外交政策の基本とされ、トランプ大統領の自国第1主義には立派な先例があるのだ。19世紀末に米国も国同士の争いに参加して第一次世界大戦を引き起こし、その反省から発足した国際連盟も世界各国を融合させることが出来ず結局第二次世界大戦を引き起こすことになった。

 米国は連合国を主導して戦争に勝ち、世界のリーダーとしての米国の地位を築き、世界融合のための国際連合を結成し、またヨーロッパにはEUが出来た。このような自国第1主義の反省機運は第2次世界大戦後のことであり、残念ながら歴史的には自国第1主義がほとんどなのだ。

 トランプ大統領の自国第1主義は、米国のそれまでの世界の警官としての役目を担う外交政策を放棄したために有名になったが、決して目新しいものではなく、現に典型をイスラエルの自国第1主義に見ることも出来る。

 イスラエルは第2次世界大戦後、ユダヤ人迫害に反省したヨーローッパ諸国が現在の地にアラブ人を押しのけて作ったため現在もパレスチナ問題として数々の問題を引き起こしている。ヨルダン川西岸地区は第3次中東戦争でイスラエルによって占拠されたパレスチナ人の土地であるが、現在もそこに続々とユダヤ人を入植させ土地の拡大を図っている。

 安全のためと称して入植地には高い壁を作ってパレスチナ人と隔離しており、国際的には違法とされているが、どこ吹く風で着々と進めている。トランプ大統領が先月28日に発表した中東和平構想は画期的と自画自賛しているが、イスラエルに与する提案であり、米国社会に深く浸透するユダヤ系国民に対する選挙目当てのプレゼントであると論評される。

 また先日英国のEU離脱が実行され、英国のジョンソン首相はこれから世界の英国になると意気込みを示した。英国はかって大英帝国として7つの海を制してきたがその栄光をもう一度と夢見ていることに間違いない。正に自国第1主義の丸出しである。

 第二次世界大戦後、米国は様々な先端技術を生み出し、情報化社会を先導し、世界の経済を引っ張てきた。しかし、中国の経済的な発展や技術的な進展が目覚ましく、中国企業のファーウェイが次世代通信規格5Gで世界の標準になる恐れが出始め、米国の世界1の座が危うくなると、米国は慌てだし米国第1主義が首を持ち上げてきた。トランプ大統領で無くとも例え民主党の誰かが大統領になっても多かれ少なかれこの傾向は維持されるであろう。2020.02.12(犬賀 大好-573)

異常気象の主原因は自然のゆらぎ現象と説明されても

2020年02月05日 09時04分12秒 | 日々雑感
 地球温暖化の影響であろうか、今年の日本の冬は異常に暖かい。高齢者にとってありがたいが、雪が少なかったり、氷が張らない等、寒さを売りにする観光事業に大きな痛手となっているようだ。

 この暖冬は地球温暖化の影響か、あるいは最近頻発する異常気象の一つかよく分からない。前者であれば毎年の現象となりそれに合わせて生活様式を変えれば対処出来そうであるが、後者となると突発現象であるため対処が難しい。 

 地球温暖化は統計上紛れもない事実であるが、最近の異常気象が地球温暖化の原因かとなると断定できないようだ。気象庁のホームページには、異常気象の多くの場合、上空の偏西風が通常と異なる位置を流れる状態が続いたことや、熱帯地域の対流活動の影響が遠い場所に伝わったことなど、地球の大気と海洋の自律的な変動による自然のゆらぎが主原因であると記されている。

 このような自然のゆらぎは元々自然界にあり、このゆらぎの幅が地球温暖化の影響で大きくなっていると言えれば、ストーリーとして分かり易いが、断定できないと歯切れが悪い。

 さて”ゆらぎ”とは、大なり小なり自然界にあまねく見られる現象で、一般的に知られるゆらぎは”1/fゆらぎ”であり、人間にとってそれが心地よく感じられる事象であるとのことだ。例えば海岸に打ち寄せる波の音は規則正しく一定のリズムを刻んでいるようだが、そのリズムは微妙に変動しておりこの変動が人間にとって心地よさを感ずる原因だそうで”1/fゆらぎ”と称せられる。

 このゆらぎ現象は自然界のあらゆるところに存在し人の心を癒すが、異常気象の原因となるゆらぎは人間に脅威を与え、到底同じ現象とは思えない。

 オーストラリアの火事は、日本国土の半分にも匹敵する面積を焼失させたとの報道がある。これほどまでに拡大した直接の原因は異常高温と異常乾燥だそうだが、この異常気象の遠因はインド洋のダイポールモード現象と呼ばれる海面水温の偏在であると解説される。

 日本の異常気象もしばしばエルニーニョやラニーニャと呼ばれる海面温度の偏在で説明されるが、このような海面温度の偏在の原因が自然界のゆらぎとなるのであろう。

 振動の一種に自励振動と称する振動がある。例えばブレーキの軋み音の発生であるが、速度や摩擦力等いくつかの要因が重なって発生する。気候を支配する要因は、温度、湿度、風、気圧等、更には地球の動きまである。これらの要因がゆらぎにどのように影響するか、解明には相当時間がかかりそうである。

 さて、地球の近年の気温は、大気中の温室効果ガス濃度が増加し続けているにもかかわらず、2000年頃からは明瞭な上昇傾向が見られないのだそうだ。地球温暖化がこのところ足踏みをしておりこのまま続けば一安心ではあるが、これもゆらぎが関係しているようで油断できない。

 この原因は、太平洋の表層が冷たく、西側の太平洋内部に暖かい海水が閉じ込められる状態にあることで、地球表面の平均気温が上がっていないように見えるだけなのだそうだす。このような自然のゆらぎは十年から数十年程度の間隔でゆれ動くので、地球温暖化はいずれ元のスピードに戻るだろうと恐ろしいことを予言している。2020.02.05(犬賀 大好-572)

トランプ大統領の人気に影が射し始めたか

2020年02月01日 09時37分59秒 | 日々雑感
 トランプ大統領は今年11月に行われる大統領選挙に向けて必死である。世界では国際協調精神をぶち壊し極めて評判が悪いが、米国内においては根強い人気があるようだが、影が射し始めた感もする。

 トランプ大統領の人気は景気の良さが好材料のようである。大統領は1月21日、スイスのダボスの世界経済フォーラム第50回年次総会で、減税と政府支出増加により過去最長の景気拡大局面を実現したと、自身の功績を強調した。

 さて、トランプ政権と連邦議会は2017年末に10年で100兆円を超す大型減税を決定し、またロシアとの間に結ばれていた中距離核戦力全廃条約(INF)破棄に連動して国防費を増大した等で財政赤字も2019年度には前年度比26%拡大したらしい。

 米財務省は、2019会計年度の財政赤字は9840億ドル(約107兆円)と7年ぶりの水準に悪化したと発表した。20年度以降は赤字額がさらに膨らむとされ、過去最大の貿易赤字とともに、中長期的にはドル相場の暴落など米経済・市場のリスクを増大させているようで、現在好調と見える米国経済も砂上の楼閣かも知れない。

 ウクライナ疑惑をめぐりトランプ大統領は、自らの政治的利益のためにウクライナに圧力をかけ、更に議会による調査を妨害したとして、弾劾裁判が1月22日開始された。

 ウクライナとの交渉には大統領補佐官だったボルトン氏が深く関わっており、議会での証人喚問が注目されていたが、共和党の反対で実現出来ないと懸念されていた。しかし、ボルトン氏は近く出版する著書の草稿に、大統領がウクライナ政府に軍事支援の実施と引き換えに政敵バイデン前副大統領の調査を行わせようとした、との内容があると米メディアが報じた。大統領は、民主党の攻撃に魔女狩りだと感情的に反論していることも更に形勢を悪くしている。

 また、米国民の約1/4が所属するキリスト教系福音派は盤石なトランプ支持派と見られていたが、福音派の大手誌の編集長は先日、トランプ氏の権力乱用は罷免に値するとの社説を発表し、盤石基盤の一角が崩れ始めたようだ。

 また米中貿易戦争のあおりで関税が急上昇し、米国産農産物の中国への輸出に急ブレーキがかかり農家は悲鳴を挙げていたが、昨年12月米中の第一段階の貿易合意によって、近いうちに年間5.5兆億円規模に回復すると勝利宣言した。

 そもそも中国との貿易戦争は大統領自らが主導して始めたもので、先端技術開発に対する国家の支援中止等の本来の目的は達せられていないが、選挙に向けて農家の気を引くための気休めとしか見えない。このマッチポンプ手法がいつまでも効果があるようには思えない。

 トランプ大統領は1月24日、ワシントンで開かれた人工妊娠中絶に反対する集会に現職大統領として初めて参加したそうだ。この問題は米国内で賛否両論半ばしているようで大統領も態度を明らかにしてこなかったが、11月の米大統領選に向けて、キリスト教福音派等、中絶に批判的な支持基盤を固める狙いがあるそうだ。トランプ大統領のなりふり構わぬ選挙運動はいよいよ追い込まれた裏返しと思える。2020.02.01(犬賀 大好-571)