日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

安倍政権4選は泥沼に嵌まるばかり

2019年04月10日 09時28分32秒 | 日々雑感
 自民党の二階幹事長が連続3期までの総裁任期を延長する可能性に言及したが、朝日新聞社が3月中旬に実施した全国世論調査で、安倍首相の自民党総裁4選への任期延長について尋ねると、賛成;27%、反対;56%だったそうで、有権者の間で反対の方が多いが、それでも1/4が賛成とは驚きだ。

 二階幹事長のこの発言には、色々な政治的な思惑があるようである。素人目には単に幹事長の椅子欲しさのご機嫌取りと映るが、安倍4選を阻止するための策略との週刊誌の見出しもあり、複雑怪奇である。

 安倍長期政権の弊害は、安倍首相の独走を許す官僚組織と政治家集団のムラ社会化である。安倍氏の首相誕生は運がよかった。旧民主党政権のだらしなさから、自民党は総選挙で圧倒的な勝利を勝ち取り、更に内閣人事局に官僚の人事権を一本化したことにより、安倍一強体制を築くことが出来た。忖度の気風は人事権を握られた官僚ばかりでなく、更にポストを欲しがる政治家にまで広がっている。

 折りしも、塚田国交副大臣は、北九州市で4月1日に開かれた集会で同市と山口県下関市を結ぶ ”下関北九州道路”の国による直轄調査への移行に関し、安倍首相や麻生総理の意向を私が忖度した、と発言した。翌日発言は事実と異なるため撤回したが、確信犯であることは間違いない。例により首相は罷免を否定しており、塚田氏はご機嫌取りに成功した。

 安倍首相の弁舌は実に明快であるが、言葉に責任が伴わず、軽々しいが、官僚や政治家はその意向を忖度し、その尻拭いに粉骨砕身努力し、自分を売り込む。

 その典型は、森友学園問題では、私あるいは妻が関係していたならば首相は当然議員も辞める、と大見得を切っていたが、当時の理財局長であった佐川宣寿氏を始めとする財務官僚が首相の意向を忖度し、一切関係ないと言い張ったため、難を逃れた件である。

 霞が関のムラ社会化が安倍政権の最大の弊害かも知れない。これは安倍首相個人の責任と言うより、ワンマン体制の欠点であろう。安倍首相は神輿に担がれ得意満面であるが、裸の王様になりかけている。先述の塚田国交副大臣はついに辞任に追い込まれたが、安倍首相はいつものように罷免するつもりは無いと高を括っていた。すなわち周辺の辞任させるのが当然だとの雰囲気を感じ取れずにいたのだ。

 憲法改正問題は安倍氏の最大の関心事で、昨年10月の臨時国会に自民改憲案を提出することで、衆参両院憲法審査会での各党協議を本格化させ、今年通常国会の会期末までに国会発議にこぎ着ける、腹づもりであったようだ。

 しかし、安倍首相が目指す自衛隊を明記する案は、仲間の公明党の協力も得られず、憲法審査会で一度も審議されていない。しかも、この夏の参院選での改憲勢力3分の2の維持はほぼ不可能と予想されるだけに、このままでは後1.5年を残す任期内での改憲も困難との見方が広がる。

 この他、アベノミクスの出口問題、財政健全化問題、年金問題や原発問題、果ては外交問題等難問が山積みであり、安倍首相は例え任期を更に延長できたとしても、泥沼に嵌まるばかりであろう。かと言って、安倍首相に代わる人材は見当たらない。ひょっとすると安倍4選もあるかも知れない。2019.04.10(犬賀 大好-536)

福島第1原発事故は自然災害だったのか?

2019年04月06日 09時08分19秒 | 日々雑感
 東京電力福島第1原発事故を招いた刑事責任を問う裁判が東京地裁で先月3月14日結審した。業務上過失致死傷罪で強制起訴された元会長と元副社長2人の被告に、検察側は禁錮5年を求刑しているが、3名の被告は事故の予見可能性はなかった、と無罪を主張している。

 福島第1原発事故は東日本大震災での大地震が引き起こした大津波が切っ掛けであった。大津波で電源が喪失し原子炉のメルトダウンと繋がった。当時大津波の到来を予測していた人はいたが、大勢の意見では無かったとの主張であろう。

 少数意見を尊重し、津波対策をしておけば先見性のある偉大な指導者となっていただろうに、大勢に従う平凡な指導者でしかなかった。彼らが日本の最高学府の卒業生であったとは、最近の世界の大学ランキングでの地位低下が推し量れる。

 この原発事故の対応費用が総額81兆~35兆円になるとの試算を民間シンクタンク「日本経済研究センター」がまとめた。経済産業省が2016年に公表した試算の約22兆円を大きく上回る数値である。81兆円の内訳は、廃炉・汚染水処理で51兆円(経産省試算は8兆円)、賠償で10兆円(同8兆円)、除染で20兆円(同6兆円)であるそうだ。

 現在事故現場では廃炉に向けて必死な努力が払われているようだが、今もって事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)が何処にあるか探っている状態だ。今後の展開により費用は更に増えることも懸念される。国家予算に匹敵する費用が発生する大事故であった訳だ。

 大事故となる直接の原因は原子炉のメルトダウンであり、人間が作った建造物だ。責任は誰にも無いとは不思議な気がする。第1原発事故が誰にも責任が無いとの結論になると、この事故は不可抗力の自然災害であったと我慢するしかないのであろうか。

 事故から8年が経過しても4万人以上が住み慣れた地域に戻れない、廃炉の見通しも立っていない、過去最悪の事故である。東電の3名の被告は法的には無罪となっても、良心的呵責により一生重荷を背負って生きていかなくてはならないだろう。

 自然災害とは通常異常天候や地震が原因で発生する。昨年7月の西日本豪雨、9月の北海道胆振地方での大きな地震は記憶に新しい。このような大規模自然災害ばかりでなく、地球温暖化の影響と思われる異常高温や集中豪雨が各地に被害をもたらしており、今後も増え続けるであろう。

 政府の地震調査研究推進本部は今年2月中旬、青森県東方沖から房総沖にかけての日本海溝沿いで、今後30年以内にマグニチュード7級の地震が発生する確率は90%と公表した。東日本大震災ではマグニチュード9級であり、それより小規模であっても被害が出る恐れは十分にあり、引き続き注意が必要と警告している。

 関係する自治体は対応が求められるが、予算との関係もあり対応に苦慮しているだろう。南海トラフの大地震でも同様だが、被害の規模はシミュレーション等により膨大になると想定されている。

 対策がなされないまま災害が起こった場合、想定以下の被害であれば幸運、想定通りの被害であれば行政の怠慢、想定以上の被害であれば自然災害と言うことになるのであろうか。

 予測能力は近年向上していると思われるが、これまで大災害を確実に言い当てた例はない。更に火山噴火、特に阿蘇山や富士山の大爆発を予想する人もいる。自然災害は莫大な出費を強いるが、災害が起こる前の対策費には二の足を踏む。恐らく今日の安全は明日も続くだろうと何もしないのが人間だ。2019.04.06(犬賀 大好-535)

ポスト安倍は負の遺産の後始末

2019年04月03日 09時41分46秒 | 日々雑感
 安倍氏の自民党総裁としての任期は2021年9月末まであと1年半もあるのに、二階幹事長が安倍4選を打ち上げた。その提案理由は、余人をもって代え難い、とのことだ。確かにこの指摘はある意味で当りだ。すなわちこれまでのまき散らした負の遺産の後始末だ。責任をとってもらわねばならないと思うが、任せておいたらますます泥沼に入り込む懸念は十分にあるが。

 次期総裁候補に、岸田政調会長や石破元幹事長の名前が挙がっているが、彼らから問題収拾の話は一向に聞こえて来ない。二階幹事長の先の発言も両者を鼓舞していると理解すればまだ救われる。

 安倍政権が残すであろう最大の負の遺産は国の借金だ。黒田日銀総裁と共謀した異次元金融緩和はデフレ脱却が目的であった。民間銀行が保有する国債を日銀が買い取り現金化すれば、民間投資が活発化し好景気になるとの予想であったが、サラリーマンの実収入は増加せず、企業の内部留保が増加しただけであり、肝心のデフレ脱却は未だに果たせていない。

 当初、異次元緩和は歯止めのかからないインフレを招くと心配する識者もおり、筆者もそちらの方を信じていた。何しろ当時一千兆円に迫る国の借金を確実に解消する為に、戦後生じたハイパーインフレの再現が裏の目的であると思っていたからだ。しかし、それどころかデフレ脱却が出来ないとは驚きだ。経済学者も当てにならないと思う反面、経済学とは如何にいい加減なものか学問呼ばわりするには違和感を覚える。

 さて先日国会で承認された国家予算約100兆円の内新規国債発行による収入はその約1/3である。昨年度に比べ好景気で税収が多いため、国債発行は減少はしているが、それでも1/3は借金に頼っているのだ。

 財務省が2月8日に発表した国の借金は2018年12月末時点で1100兆5266億円と1年前に比べて1.4%、14.7兆円余り増加したそうだ。国の借金は、GDP(国内総生産)の200%という先進国内で最悪の財政状態で、このままでは早晩、財政破綻を引き起こすという見方がある、一方で、国が持つ資産を差し引いた純債務はそれほど大きくないので、大騒ぎするほどではない、という主張もあり、経済素人にはどちらが正しいか判断できない。

 ただ、国家予算における歳出部門で国債費に関する歳出は全体の1/4もあり、利払い費や債務償還費に充てられるようだ。すなわち、過去のつけを払うために必要な金であり、この金は増える一方であろうと心配するが、これに関してはマスコミはほとんど論評しないのは、私の勘違いであろうか。

 また、安倍内閣もこの状態を健全と思っていないようで、2025年度の国と地方を合わせた基礎的財政収支(PB)の黒字化を財政健全化目標として閣議決定している。

 しかし、2019年1月の試算では経済政策が最大限旨く行ったと前提でも、2025年のPBは1.1兆円の赤字となる見通しだそうだ。試算で用いた2019年度の実質成長率は民間予測の倍近い1.3%であり、2020年度の見通しは民間予測の3倍の1.6%と大甘な見通しであり、本気に健全化に取り組んでいるとは思えない。

 現在、日本はアベノミクス景気と呼ばれる程の好景気らしいが、それでも国家予算の1/3は借金に頼っているのだ。今が良ければすべて良しとのことで、子供たちにつけを回しているのだ。ポスト安倍はこれに対する答えを準備しているだろうか。2019.04.03(犬賀 大好-534)