日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

ポスト安倍は負の遺産の後始末

2019年04月03日 09時41分46秒 | 日々雑感
 安倍氏の自民党総裁としての任期は2021年9月末まであと1年半もあるのに、二階幹事長が安倍4選を打ち上げた。その提案理由は、余人をもって代え難い、とのことだ。確かにこの指摘はある意味で当りだ。すなわちこれまでのまき散らした負の遺産の後始末だ。責任をとってもらわねばならないと思うが、任せておいたらますます泥沼に入り込む懸念は十分にあるが。

 次期総裁候補に、岸田政調会長や石破元幹事長の名前が挙がっているが、彼らから問題収拾の話は一向に聞こえて来ない。二階幹事長の先の発言も両者を鼓舞していると理解すればまだ救われる。

 安倍政権が残すであろう最大の負の遺産は国の借金だ。黒田日銀総裁と共謀した異次元金融緩和はデフレ脱却が目的であった。民間銀行が保有する国債を日銀が買い取り現金化すれば、民間投資が活発化し好景気になるとの予想であったが、サラリーマンの実収入は増加せず、企業の内部留保が増加しただけであり、肝心のデフレ脱却は未だに果たせていない。

 当初、異次元緩和は歯止めのかからないインフレを招くと心配する識者もおり、筆者もそちらの方を信じていた。何しろ当時一千兆円に迫る国の借金を確実に解消する為に、戦後生じたハイパーインフレの再現が裏の目的であると思っていたからだ。しかし、それどころかデフレ脱却が出来ないとは驚きだ。経済学者も当てにならないと思う反面、経済学とは如何にいい加減なものか学問呼ばわりするには違和感を覚える。

 さて先日国会で承認された国家予算約100兆円の内新規国債発行による収入はその約1/3である。昨年度に比べ好景気で税収が多いため、国債発行は減少はしているが、それでも1/3は借金に頼っているのだ。

 財務省が2月8日に発表した国の借金は2018年12月末時点で1100兆5266億円と1年前に比べて1.4%、14.7兆円余り増加したそうだ。国の借金は、GDP(国内総生産)の200%という先進国内で最悪の財政状態で、このままでは早晩、財政破綻を引き起こすという見方がある、一方で、国が持つ資産を差し引いた純債務はそれほど大きくないので、大騒ぎするほどではない、という主張もあり、経済素人にはどちらが正しいか判断できない。

 ただ、国家予算における歳出部門で国債費に関する歳出は全体の1/4もあり、利払い費や債務償還費に充てられるようだ。すなわち、過去のつけを払うために必要な金であり、この金は増える一方であろうと心配するが、これに関してはマスコミはほとんど論評しないのは、私の勘違いであろうか。

 また、安倍内閣もこの状態を健全と思っていないようで、2025年度の国と地方を合わせた基礎的財政収支(PB)の黒字化を財政健全化目標として閣議決定している。

 しかし、2019年1月の試算では経済政策が最大限旨く行ったと前提でも、2025年のPBは1.1兆円の赤字となる見通しだそうだ。試算で用いた2019年度の実質成長率は民間予測の倍近い1.3%であり、2020年度の見通しは民間予測の3倍の1.6%と大甘な見通しであり、本気に健全化に取り組んでいるとは思えない。

 現在、日本はアベノミクス景気と呼ばれる程の好景気らしいが、それでも国家予算の1/3は借金に頼っているのだ。今が良ければすべて良しとのことで、子供たちにつけを回しているのだ。ポスト安倍はこれに対する答えを準備しているだろうか。2019.04.03(犬賀 大好-534)