日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

韓国と北朝鮮の統一イメージはどうしても思い描けない

2018年10月06日 09時02分51秒 | 日々雑感
 文在寅大統領と北朝鮮の金正恩委員長の祖国統一は長年の悲願であることはよく理解できる。その点で両者が意気投合し、その親密さをアピールしているが、両国の政治体制、経済格差は違い過ぎるため、両者の統一イメージが合致しているとは到底思えない。

 更に両者の統一には、後ろ盾の中国と米国の合意も必要となろうが、習近平主席とトランプ大統領の統一イメージは更に相反するものがあろう。

 統一イメージは、西ドイツが東ドイツに対して行ったような、吸収併合による統一がまず考えられる。これは、韓国による北朝鮮の吸収合併となろうが、金王国の崩壊が前提となる。金委員長が世界の状況を見て、己の限界を悟り、民主化するべく清水の舞台から飛び降りない限り無理である。

 次に、文在寅大統領が理念に掲げている ”対話による統一”だろう。韓国と北朝鮮が相互に統一の条件について平和的に話し合い、段階的に交流を増やして統一に至るというものである。この方法により両国の統一が平穏に行われるためには相当長い時間をかける必要があるだろう。

 しかし、これについても北朝鮮は難色を示すこと間違いない。南北交流を通じて韓国の物資が北朝鮮で流通すれば、生活様式に変化をきたし、人々はもはや金正恩の君臨する体制を望まなくなり、結果的に、北朝鮮の体制を崩壊させる可能性が高まるからだ。

 最後に考えられるのは、武力による統一だ。しかし、北朝鮮には中国やロシアが、韓国には米国が後ろ盾として控えているため、世界第3次大戦でも覚悟しなければ起こり得ないであろうが、北朝鮮の金体制が生き残るためにはこの方法により、勝利するしか思い浮かばない。

 このところ、金委員長と文大統領は仲の良い所を見せつけているが、これが表面上の演出で、お互い隙の出来るのを虎視眈々と狙っているとしか思えない。中国や米軍が乗り出す前、極めて短時間に武力で制覇できれば可能かも知れないが、情報の発展した現在、非現実的な考えであろう。

 かって金委員長の斬首作戦が練られたとの噂であるが、委員長が居なくなった場合、北朝鮮の軍部はどう出るであろうか。殺害された金正男の息子である金漢率氏を中国が担ぎ出し、傀儡政権を立てれば軍部も従うかも知れない。

 兎も角、両国の統一には多大な障壁が立ちはだかる。政治体制の違いもさることながら、経済格差の問題が大きい。ドイツ人は東西格差の是正のために多額の税金を払ってきたが、今もって解消はされていないようだ。現韓国内だけでも経済格差の問題が顕在化して居るようだし、まして北朝鮮はかつての東ドイツより遥かに経済的に遅れており、問題を更に大きくする。

 実際のところ、韓国の若い世代は南北統一に反対しているそうだ。ただ、高齢の世代になると、北朝鮮に家族や友人が住んでいる者もおり、未だに統一を望む考えが根強い。この世代がいなくなれば、北朝鮮との間に民族的連帯を見出す韓国人は減少し、南北統一の願望も薄れていくだろうとの話だ。

 このような心配をよそに表面的には韓国と北朝鮮の接近は進んでいる。これまで米国は核の放棄無くして北朝鮮に対する戦争終結宣言はしないと言っているが、韓国と北朝鮮が2国間のみで朝鮮戦争の終結を宣言するか、平和条約を締結する可能性はあると主張する専門家もいる。

 今月7日米国のポンペオ国務長官が北朝鮮を訪問する予定だそうだが、米国はどう出るであろうか。トランプ大統領は、11月の中間選挙を控え、国内の逆風を跳ね返すため、成果を焦っているとのことだ。

 北朝鮮の真の核放棄が実現できればノーベル平和賞級の大きな成果に違いないが、金委員長はトランプ大統領の焦りに乗じて、大幅な経済的な譲歩を引き出し、挙句の果てに核保有国家を確固たるものにするのではなかろうか。
2018.10.06(犬賀 大好-483)

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