日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

エネルギー基本計画は原発推進となるか

2021年10月09日 09時45分41秒 | 日々雑感
 先の自民党総裁選で河野太郎氏は岸田文夫氏に破れた。河野氏は反原発派であり、総裁選では既存原発の再稼働は認めながらも、核燃サイクルは”なるべく早く手じまいすべきだ”、と主張していた。

 河野氏は有識者会議(再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース)を主導しており、これまで国のエネルギー基本計画をまとめる経済産業省の資源エネルギー庁とことごとく対立していたようだ。

 さて、7月21日、経産省は「エネルギー基本計画」についての素案を発表したが、これには、菅前政権の”2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロ”とする目玉政策が反映されていたが、原発に関してはほとんど触れられていなかった。

 すなわち、2030年度の電源構成は、脱炭素電源を6割程度に引き上げ、化石燃料発電に関しては現行目標の56%から41%に縮小させる等の内容であった。原発に関しては現行目標の20~22%を維持するとしており、自民党内の原発推進派や電力業界が求めていた原発の新増設やリプレースも明記されなかった。”可能な限り原発依存度を低減する”という計画案の表現にも、党内の推進派の不満が強かった。

 ところで今回誕生した岸田新総裁は、党役員や大臣に原発推進派を登用したため、今後のエネルギー基本計画がどのように変更されるか注目される。

 さて、核燃サイクル政策はとっくに破綻しており、これまでに蓄えられてきたプルトニウムの使い道等、岸田新政権は打開策を迫られるだろう。今回政調会長に抜擢された推進派の高市早苗氏は新たな原子炉開発を主張している。世界の流れは脱原発であり、原子力に身を委ねようとする若手人材はいないか、いたとしても少ないであろう。

 電力会社は原発の再稼動を急ぐが、一方では廃炉作業を進めなくてはならない。廃炉作業はこれまでに経験の無かった作業であり、多くの人材が必要であるが高齢化のための退職も相次ぐようで、若手人材の確保は大丈夫であろうか。

 東京電力は9月22日、柏崎刈羽原子力発電所でテロ対策の不備が相次いだことについて、原因と再発防止策をまとめた報告書を公表した。この中で安全意識の欠如や閉鎖性といった組織風土の問題を指摘し、原子力部門の本社機能を新潟県に移すことも発表した。

 しかし、本質的な問題はこの仕事には将来への夢が無いことである。夢が無ければ、率先してこの仕事には就きたくないのは人情だ。いやいやながらの仕事には熱意が沸かない。柏崎刈羽原発での度重なる不祥事は従業員のやる気の欠如であろう。

 原発に慎重で再エネ導入を牽引してきた前環境相の小泉進次郎氏や、前規制改革担当相の河野太郎氏らが閣内から去り、政府与党の要職を原発推進派が占めたことで、原発回帰に転じるとの見方が出ているが、岸田政権が安定すればの話であろう。

 この秋の衆議院総選挙、来春の参議院選挙で自民党が議席を保つことが出来るかで岸田政権の寿命が判断できる。2021.10.09(犬賀 大好ー753)


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