日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

拡大する中国経済と阻止する米国さて日本はどちらへ

2019年03月20日 16時08分29秒 | 日々雑感
 トランプ米大統領は昨年3月、対中国の貿易赤字を減らすため、ハイテク産業を中心に幅広い中国製品に対する制裁関税を指示する文書に署名した。そして、9月には中国からの家具や家電など輸入品計5745品目に10%の関税上乗せを決めた。

 更に、トランプ氏は昨年12月の米中首脳会談では、今年3月1日までに中国側が譲歩をしなければ、関税を25%の引き上げに踏み切るとの姿勢を示していた。

 中国も米国が関税を上げるたびに米国から輸入される農作物に報復関税を課しており、米国農家の打撃も大きくなった。そこでトランプ大統領は自国農家へ配慮せざるを得なくなり、今年に入ると対中融和方針に傾き、3月1日、ツイッターに、関税の25%への引き上げはしなかった、と投稿したのだ。

 そもそも米国の貿易相手国は中国抜きでは語れない程深い仲になっており、米国が一方的に要求するばかりでは問題は解決出来ない状態に陥っている。

 2015年の米国の輸入相手国の1位は中国であり、輸入総額の19%を占め、EUの17%を上回る。片や輸出相手国の1位はカナダの19%であるが、3位は中国の8%となっている。

 既に経済面ではお互いに持ちつ持たれつの関係になっており、トランプ大統領が中国に一方的に要求しても、その弊害は自国民にも跳ね返る。

 米国と中国は、軍事力の面では争っているが、その根にあるのは経済であり、軍事力はあくまでも経済発展のための道具に過ぎない。中国は自国経済のため、一帯一路戦略やアジア地域における経済連携協定を強力に推し進め、米国は阻止しようと懸命である。

 習近平政権は一帯一路戦略の一環として、アジアやアフリカ諸国にインフラ投資を積極的に行っている。これに対抗し、トランプ米政権は政府系金融機関を再編し、海外のインフラへの投融資枠を倍増する計画だ。中国がアジアやアフリカで影響力を強めるのをけん制するのが狙いだ。

 また、アジア圏における経済連携協定(RCEP)の議論は、2011年11月にASEANの提唱により始まっており、実現すれば世界の人口の約半分である34億人、世界のGDPの3割にあたる20兆ドル、世界の貿易総額の約3割に当たる10兆ドルを占める広域経済圏が米国抜きで実現することになる。

 昨年11月にシンガポールで開かれたRCEPの首脳会合は、来年の妥結を目指すことで一致したが実現の見通しは暗い。すなわち米国がちょっかいを出してきているのだ。

 米国が先にカナダ、メキシコと合意した北米自由貿易協定(NAFTA)の新協定には、中国を念頭に非市場経済国との自由貿易協定(FTA)締結を阻止する条項が盛り込まれた。日本も今春に始まる米国との通商交渉で米側は同様の条項盛り込みを迫ってくると予想され、米国に頭が上がらない日本としてはRCEP交渉が難しくなるのだ。

 米国は中国の経済進出を阻止しようと懸命であるが、日本の貿易も中国への依存度を深めている。日本の輸出貿易額は、米国と中国が1位と2位を共に20%弱で争っている。米国への輸出は自動車が主であるが、トランプ大統領は米国の貿易赤字を自動車のせいにしており、今後米国への輸出は減る方向にあるのに対し、中国へは先端技術関係が多く、今後増加の一途であろう。

 輸入貿易額では、2002年にアメリカから中国にトップの座が変わってからずっと中国が1位だ。日本の企業が労働賃金の安い中国に工場を建てて現地にて製造し、日本に輸入するという新しい経済・貿易の体制が出来上がった為であるが、この状態は当面続くであろう。

 安全保障の面では日本は米国に依存しているが、貿易の面では中国に依存する状態となっており、日本の将来へのかじ取りを如何にすべきか、難しい局面に差し掛かっている。2019.03.20(犬賀 大好-530)

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