日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

アフガニスタンはコロナウイルス騒動どころではない!

2020年03月18日 09時37分24秒 | 日々雑感
 アフガニスタンは先史時代からメソポタミア文明やインダス文明とも交流があったと言われる歴史ある国であるが、その地政学的理由から、長年にわたり他民族からの侵攻や他国からの干渉を受けてきた。1989年、ソ連軍はアフガンから撤退したが、その後の主導権をめぐりイスラム系各派が衝突し内戦状態に陥った。そんな中で1994年頃から台頭したのがタリバンであり、1999年までには国土の9割を支配するまでに至った。

 しかし、2001年の米国同時多発テロ事件が起こり、タリバン政権が事件の首謀者アルカイダのオサマ・ビンラディン容疑者を匿っているとして、米国はアフガンでの軍事作戦を始めた。それが現在まで続いており、主にアフガン政府やそれを支援するアメリカ合衆国や北大西洋条約機構(NATO)加盟国などとタリバンやアルカイダなどの武力集団の間の紛争となっている。

 さて、米国とアフガンの反政府武装勢力タリバンは今年2月29日、カタールの首都ドーハで和平合意に署名した。この合意では、米国が135日以内に駐留米軍を現在の1.3万人規模から約8600人にまで縮小、米軍とNATO軍は来年春にもにアフガンから完全撤収するとし、タリバンはアフガン国土をテロ攻撃の拠点にしない等を約束したそうだ。

 これを契機に約18年に及んだ戦争の終結へとなる筈であったが、そもそもこの合意はトランプ大統領の選挙目当ての成果稼ぎと言われており、早くも綻びも出てきた。最大の欠陥はこの和平交渉にアフガン政府が加わって居なかったことである。
合意には、タリバンの捕虜約5000人とアフガン治安部隊の捕虜約1000人を交換することも盛り込まれていたが、アフガンのガニ大統領は捕虜5000人を解放すると約束はしていないと主張したのだ。

 そこでタリバンは、政府が拘束しているタリバンの捕虜約5000人を解放しない限り、政府との和平交渉には臨まないと述べ、3月2日、政府軍に対する攻撃を再開すると表明したのだ。

 そもそもタリバンとアフガン政府の関係が悪く、和平交渉に政府が加わっておれば、こんなに早く交渉はまとまらなかったであろう。トランプ大統領の焦りが伺われる。米軍撤退の後はタリバンが政権を狙うと見られており、事ある毎にタリバンと政府軍の衝突は必須である。

 アフガニスタン紛争はブッシュ元大統領が始めたが、次のオバマ前大統領はアフガンに民主的な政治制度や女性の基本的人権の保護のための体制を作ることを目指していた。しかし、トランプ現大統領の頭にはそんな理想は始めから無いように思われる。

 米軍撤退後アフガニスタン政府の崩壊、基本的人権を否定するタリバンによる過酷な独裁、IS系を含む過激派グループの勢力拡大闘争で、国内は一層の混乱が生ずるのではないかと危惧する。

 イスラム社会に西欧的な民主主義を根付かせるのは至難の業であり、米国第1主義を掲げるトランプ大統領にとって単なる金の無駄使いと映るのも理解でき無い分けではない。

 世界は新型コロナウイルスの流行で非常事態宣言を発する国が相次いでいるが、アフガニスタンは部族間、宗派間等様々な争いで、このウイルスが流行したところで、それほど大きな問題では無いだろう。2020.03.18(犬賀 大好-583)


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